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.JID  投稿日:2015/4/5

[Japan In-depthチャンネル ニコ生公式放送リポート]【実際は長期化、今年の就職戦線】~3か月後ろ倒しの影響は?~


2015年4月1日放送

Japan In-depth 編集部(Emi)

「マスコミ就活革命」などの著書があるソーシャルトレンドニュース編集長の霜田明寛さんが今回のゲスト。全国の大学で就活生向けの講演をするなど就活生の支援を続ける霜田さんが今年の就活を鋭く分析した。

4月に入り、例年なら就活真っ只中のはず。しかし2016年卒の就活のスケジュールは激変。就職活動の開始の時期が3か月後ろ倒しとなり、企業の選考開始も4年生の8月からだ。しかし、実はもう内定が出ている学生も大勢いるという。今年の就活の実態は複雑そうだ。

まずは、就活に欠かせない「リクルートスーツ」についての話題。就活生の多くが真っ黒のスーツで活動する光景は没個性的にも見える。霜田さんも「違和感がある」と言う。2,30年前の就活の写真を見ると、スーツの色や形はバラバラだった。しかし今は、面接の際に企業から「自由な服装で」と言われても結局スーツで来るという学生が多い。面接官は多くの学生と会うので、例えば「ベージュのスーツの子」と後で、キーワードで思い出してもらえるようにするのも、手だ。

霜田さんのマスコミ就活についての著書のタイトルは「パンチラ見せれば通るわよっ!」だが、正確に言うと「ぎりぎり見えるか見えないか…」くらいが良いらしい。これは極端な話だが、面接官の印象に残る為の工夫は必要だ。

続いて、「リクナビ」や「マイナビ」などの就活情報サイトについて。簡単にエントリーできることは便利ではあるが、1社に何万人も応募が殺到することもある。ワンクリックで一括エントリー出来る機能もあり、霜田さんが知る学生の中には、不安感からまるで賃貸物件を探すように閲覧してクリックし、結果として、かなりたくさんの企業にエントリーする人も少なくない。

しかし企業側としては「楽にいい人を取りたい」というのが本音。例えば100人規模の会社で万単位のエントリーがあれば、サイト側に「学歴フィルター」を依頼することもあるのが実態だ。

そして話題はいよいよ今年の就活について。経団連のお触れで会社説明会の解禁は3年生の12月から3月になり、選考開始の時期は4年生の4月から8月になった。巷では「短期決戦」と言われるが、そんなに単純な話ではない。まず経団連の会員企業でなければ、そもそも関係ないし、会員企業でも守らなかったからといって法に触れる訳ではなく罰則もない。解禁前に動きのある企業に接触する学生にとっては、解禁後の活動も含めると、結局「長期化」することになるかもしれない。

もうひとつ今年の傾向として言えるのは、選考開始が遅れることでインターンは活性化しているということ。インターンにも色々あって、1,2回の企業説明会だけという所もあれば、1か月間実際に働いてみるというのもある。働いてみれば、その会社が自分に合うか、合わないか、就職前に確認出来る。その時間が出来たのは良いことだが、就活の時期を遅らせて「学生に学業に専念してほしい」という目論見からは外れてしまっている。

更に、最近の就活生について。宇多田ヒカルは「Keep Tryin’」という曲で「将来国家公務員だなんて言うな、夢がないなあ」と歌っていたが、ここ数年の就活生は「保守的」と言われていた。それがここに来て少し様子が違ってきているという。今就活をしている学生は高校2年生の終わりに東日本大震災が起きている。特に東北の学生の中には、震災で進路を変更したり、将来についてより真剣に考えたりする傾向も目立つ。

リーマンショック前までは「ゴールドマン・サックスいいね~」というような学生が目立ったが、自分の「志」を大切にする学生が増えてきた。実際、東大の卒業式で取材をしたが、ミス東大の女子学生が、大手企業ではなく、子どもを支援するNPOに就職すると言っていた。

最後に、霜田さんから就活生に向けてのアドバイス。面接でペラペラ話すのが良いわけではない。大切なのは、「大人に慣れている」ことだ。「慣れる」というのは、大人とどういう風に話せば、自分の思いを伝えることが出来るか分かっているということ。正式なインターンではなくても、1,2年生の段階から企業と接触するなどして大人がいる環境に慣れることが重要だ。

(この記事は2015年4月1日に、ニコ生Japan In-depthチャンネルで放送されたものです。アーカイブは後日、YouTube Japan In-depthチャンネルにアップロードされます)


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