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.国際  投稿日:2017/1/26

トランプ大統領は口ひげ嫌い?


古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)

「古森義久の内外透視」

ドナルド・トランプ新大統領は閣僚らの任命にあたっては候補の人物たちの外見を極度に重視し、とくに口ひげを嫌う。保守の論客で元国連大使のジョン・ボルトン氏が国務長官候補となりながら、結局外されたのは同氏の口ひげが理由だった――

アメリカの複数の大手新聞がこんな報道をトランプ側近らから得た情報として伝えた。そういえば確かに新大統領がこれまでに選んだ閣僚やその他の政権高官たちにはひげをはやした人物はみあたらず、みな一定タイプの外見があるようだ。

トランプ氏の容貌重視や口ひげ嫌いの傾向はまず12月下旬にワシントン・ポストの2本の記事で詳しく報じられたが、なお新政権の高官ポストへの候補選びが進むにつれ、ワシントンのメディアやシンクタンクの関係者たちの間で「やはり事実のようだ」として改めて語られるようになった。

ワシントン・ポストの第一の記事は、トランプ氏側近たちの話として「トランプ氏は閣僚などの高官を選ぶ際にその人物の能力や経験をみると同時に外見も重視する」という言葉を伝え、トランプ氏はとくにひげが嫌いなのだとも報じた。同記事はさらにトランプ氏の側近の話として国務長官の有力候補とされたボルトン氏が結局、任命されなかったのは同氏のトレードマークのような大きな口ひげが理由の一つだった、とも伝えていた。

この記事の直後にザ・ヒルが「ジョン・ボルトン『私は口ひげを剃らない』」という見出しの記事を掲載した。同記事はボルトン氏自身がトランプ氏が口ひげを理由に自分を排したという情報を聞き、「たとえその話が本当でも、私は新政権に入るためにひげを剃るようなことはしない」とツイートで発信したことを伝えていた。

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ワシントン・ポストはさらに第二の記事で「トランプ氏は口ひげが公職への資格を失うと考えている」という見出しでボルトン氏の事例について詳しく報道した。ちなみにボルトン氏は第43代大統領のジョージ・ブッシュ氏の政権で国務次官や国連大使を務めたほか、日ごろは国際関係の学者として活躍してきた。政治的には共和党系の保守主義を信奉する形でオバマ政権の外交政策などに厳しい批判を浴びせてきた。トランプ氏とはその点で歩調が一致するわけで、新政権の国務長官探しのプロセスでは確実に有力候補の一人だとされていた。

トランプ政権の国務長官には結局、エクソン社会長だったレックス・ティラーソン氏が選ばれたが、同氏は確かにひげはなく、外見もさっそうとして、いかにもトランプ氏好みの威風堂々という感じである。さらに国防長官に任命されたジェームズ・マティス氏も第二次大戦で名声をあげたジョージ・パットン将軍に似たハンサムで、トランプ氏自身がその相似を好意的に何度も指摘していた。トランプ大統領がこれまで任命した閣僚候補らにもひげを生やした人物はみあたらず、「ボルトン氏はひげのために国務長官ポストを逸した」という観測が裏づけられた形となっている。

トップ画像:John Bolton氏のtwitterより


この記事を書いた人
古森義久ジャーナリスト/麗澤大学特別教授

産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授。1963年慶應大学卒、ワシントン大学留学、毎日新聞社会部、政治部、ベトナム、ワシントン両特派員、米国カーネギー国際平和財団上級研究員、産経新聞中国総局長、ワシントン支局長などを歴任。ベトナム報道でボーン国際記者賞、ライシャワー核持込発言報道で日本新聞協会賞、日米関係など報道で日本記者クラブ賞、著書「ベトナム報道1300日」で講談社ノンフィクション賞をそれぞれ受賞。著書は「ODA幻想」「韓国の奈落」「米中激突と日本の針路」「新型コロナウイルスが世界を滅ぼす」など多数。

古森義久

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