.国際  投稿日:2017/3/1

金正男暗殺報道に興じるメディア

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宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)

宮家邦彦の外交・安保カレンダー 2017#9(2017年2月27日-3月5日)

日本のメディアはまだ金正男の暗殺事件を報じ続けている。「もう、そろそろ飽きませんか?」と聞いたら、「そうなんですけど、まだ(視聴率の)数字が出るんですよ」と関係者は本音を漏らした。正男の事件がそれほど興味深いのか、それとも、日本の視聴者のレベルがあまりに低いのか。前者を信じたいのだが。

2月23日、ワシントン近郊で開かれたCPAC(保守政治行動会議)なるイベントが注目された。トランプ政権の黒幕ともいわれるSバノン主席戦略官とRプリーバス首席補佐官が揃って出席したからだ。この二人、巷では「仲が悪く、対立している」と噂されてきたのだが・・・。

この御両人が一緒に壇上に登り、笑顔でお互いを賞賛し合ったのだから面白い。勿論、不仲説を一蹴するための政治ショーなのだが。それよりも筆者は二人、特にバノン氏の発言に注目した。詳細は今週木曜日産経新聞の筆者コラムを御一読頂きたい。バノン氏の動向には今後も目が離せない。

ちなみに、28日にはトランプ氏が当選後初めて米議会で演説する。例年のState of the Union演説に相当するものだろうが、内容は経済政策になるといわれる。今のマーケットはまだご祝儀市場のようだが、28日の経済政策発表が凶と出るか、吉と出るか。市場は決して甘くないと思うのだが。

〇欧州・ロシア

 27-28日にロシア大統領がカザフスタン、タジキスタン、キルギスタンを歴訪する。三国とも中国のウイグル自治区と国境を接する中央アジアの国々であり、その戦略的位置付けは極めて重要だ。「一帯一路」には欠かせない国々だが、ここでのロシアの存在感は実に大きい。中国は一体どう巻き返すのだろう。

〇東アジア・大洋州

 26-27日にインドネシア大統領が訪豪する。26日から3月1日まではサウジアラビア国王がマレーシアとインドネシアを訪問する。29日からASEANと中国の作業グループが南シナ海でのCode of Conduct(行動規範)について議論するが、恐らく進展はないだろう。

〇中東・アフリカ

 相変わらず中東諸国の動きは鈍い。3月1日にはアルジェリア、エジプト、チュニジアの閣僚がリビア問題について話し合うというが、これら三国が集まったからといってリビア問題に進展があるとは思えない。何度も言うが、アラブ諸国の自己統治能力の欠如は昔から変わらないようだ。

〇南北アメリカ

 27日に北朝鮮問題に関する六者協議について日米韓三国の担当局長クラスがワシントンで集まる。北朝鮮のミサイル発射と金正男らしき人物の暗殺を踏まえ、話すべきことは山ほどある。しかし、米国は国務副長官以下の幹部が未就任、韓国も大統領の外交は事実上止まっている。一体何を話すのだろうか。 

〇インド亜大陸

 3月1日にパキスタンで、インド大統領、トルコ大統領と中央アジア五カ国首脳が参加する首脳会議が開かれる。今週はこのくらいにしておこう。

いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。

 

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