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.政治  投稿日:2018/2/18

「高等教育無償化は疑問」遠藤利明衆議院議員


「細川珠生のモーニングトーク」2017年1月27日放送

細川珠生(政治ジャーナリスト)

Japan In-depth 編集部(駒ヶ嶺明日美)

【まとめ】

・遠藤氏、幼児教育無償化には理解示す。

・勉強しない仕組みのままでは高等教育無償化は認められない。

・グローバル人材育成の為の英語教育改革が必要。

 

安倍内閣は看板政策として「人づくり革命」を掲げており、政府の「人生100年時代構想会議」は、昨年12月に中間報告案を公表している。中間報告案では「幼児教育の無償化」「待機児童の解消」「私立高校の実質無償化」について明記された他、「大学改革」「リカレント教育(学び直し)」については2018年夏に基本方針を打ち出す、とされた。

今回は、ゲストに、自民党教育再生実行本部長の経験を持つ、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長代行で衆議院議員の遠藤利明氏を招き、政治ジャーナリストの細川珠生氏が「教育再生」について話を聞いた。

細川氏は「政府は義務教育の範囲を超える幼児教育や高等教育を無償化するというが、教育的目的はなにか。」と質問した。

遠藤氏は幼児教育について、「行動規範も、モノの考え方の基本も、“三つ子の魂百まで”で、幼児教育が一番大事だということで、幼児教育を無償化しようという議論は昔からある。子供達が最初の段階で、誰もが同じように等しく教育を受けられることが大切。」と幼児教育無償化に理解を示した。

次に細川氏は高等教育の無償化の意義について「どれだけの意味があるのか」と疑問を呈した。

それに対し遠藤氏は「高等教育の前に高等学校の義務化の話がある」と述べ、それには「費用の問題がある」とした。また、高等教育の無償化については、アメリカのように自己負担を多くして社会人と学生を繰り返しながら多様なパターンで学ぶやり方と、ヨーロッパの多くの国に見られるような税負担で大学を無償化するやり方の2つの方法がある、と述べた。

その上で、「無償化に至る過程は色々あるが、機会を増やすことには大賛成。しかし、今の大学の勉強しない仕組みのままでは、無償化は認められない。大学で勉強する仕組みを作って初めて、この無償化の議論が成り立つ。」と述べ、無条件の高等教育無償化に異を唱えた。

続いて細川氏は「義務教育さえ立て直すことができれば、教育の問題は解決するのではないか。」と述べ義務教育の重要性を強調した上で、「先生の質の向上をどのように図るのか。」と質問した。

遠藤氏は、「自民党教育再生実行本部長のときに、一番やりたかったのは、先生が親にも社会からも評価され、子ども達からも尊敬される状態をどう作るかだった。今の先生は世の中にかつてほど評価されていない。」との問題意識を示し、大学進学率が上がったことにより相対的に教師が尊敬されなくなったことが原因の1つだと述べた。

遠藤氏はこれまでに、教職大学院を設立し、その中に実務経験のある教師を4割置いた他、現在は教職課程認定の教師について、半分は実務経験のある人にすることを提案しているという。これによって、「学校の先生になった上で大学教授になる道も開け、全体のイメージ向上にもつながる。」との考えを示した。

最後に細川氏が「グローバル人材」の育成が急務であると述べると、遠藤氏は、「日本人が最近内向き志向になってきて、留学や(海外で引用される)論文が減ってきている。英語が分かってないことが一因。子供のうちから聞いて話すことが肝要。だから(必要な英語力は)聞く、話す、読む、書くの4技能にしよう、と言ってる。」と述べ、大学の入試改革では、受験資格を得るための英語の予備試験として、4技能を測定する民間のテストを課す制度を導入することで、中・高校の英語教育を読み書き中心から変化させる考えを示した。

 

(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2018年1月27日放送の要約です)

 

「細川珠生のモーニングトーク」

ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分

ラジオ日本HP http://www.jorf.co.jp/index.php

細川珠生公式HP http://hosokawatamao.com/

細川珠生ブログ  http://tamao-hosokawa.kireiblog.excite.co.jp/

トップ画像:©Japan In-depth編集部


この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト

1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。

細川珠生

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