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.経済  投稿日:2014/1/21

[安倍宏行]【オランダ・リポート①】政府主催で各国のジャーナリストを集めた政策PRイベントを開催するオランダ〜世界規模の課題解決にグローバルな知恵の共有を。


Japan In-Depth編集長

安倍宏行(ジャーナリスト)

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唐突だが、私は今、オランダはアムステルダムにいる。何故かというと、はオランダ政府に招かれたからだ。彼らは、世界中のジャーナリストを招き、自国の医療産業についてより深く知ってもらいたいと思ったようだ。参加者は、ブラジル、フィンランド、ハンガリー、ヨルダン、モロッコ、メキシコ、ポルトガル、ロシア、スリナム、ベトナム、中国と12か国に渡る。

gazou367さて、到着してすぐ、オランダの医療の現状についてプレゼンテーションが行われた。オランダ厚生労働省のシニア政策アドバイザー、ハルマン氏によると、オランダの人口は1680万人。年間医療費の総額はおよそ10兆円(1ユーロ=136円)国家予算の33%にあたるという。国家の規模を考えるとかなりの負担だ。オランダの平均寿命は女性が83.3歳、男性は78.3歳と比較的長い。更に、慢性成人病に罹る平均年齢は男性で48歳、女性で42歳と若い。糖尿病などの慢性疾患は2005年時点から見て、20年間で40%増加すると予測されている。これでは医療費の負担は重くなる一方だということで、近年、予防医学に力を入れているという。具体的には、

  • 慢性疾患罹患者の増加率を下げる。
  • 慢性疾患に罹る平均年齢を上げる。
  • 慢性疾患の合併症を防ぐ。
  • 慢性疾患罹患者の生活の質を向上させる。

・・・ということに注力しているという。

こうした目標を達成するためにオランダ政府は改善に取り組む疾患のプライオリティを、

  • 糖尿病
  • メタボリック症候群
  • 喫煙
  • アルコール依存症

・・・においている。

その上で、慢性疾患の予防について、ハルマン氏は、地方政府の役割と、家庭における教育などの重要性も強調した。こうした取り組みが必要なのはどこの国も同じであろう。オランダでは医療従事者の不足も深刻化しているといい、彼らの育成も大きな課題だという。

20日(月)から24日(金)までオランダ中の様々な医療機関や研究機関、企業などを視察する予定で、この後リポートする。

gazou368それにしても、私企業が行うならまだしも、政府がこうして世界中のジャーナリストを集めて自国の政策についてPRを展開するというのも珍しい。

自国の取り組みについて公にすることで、ある意味、自らの政策を国際公約にすることにもなるわけで、国家のブランディング化にも資する、という考えなのだろう。

日本的発想からすれば、なぜわざわざそんなこと海外のジャーナリストに説明しなければならないんだ、となりそうなものだ。

しかし、考えてみれば少子高齢化と膨れ上がる社会保障費の削減に真っ先に取り組んでいるのは日本である。その取組やノウハウを世界各国に知らしめることは、グローバルな観点から必要なことではあるまいか。

いずれにしても、世界共通の課題解決に、各国が単独で取り組むのは非効率だ。グローバルに知恵とスキルを共有してこそ、この困難な課題の解決に繋がるだろう。

 

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