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.社会  投稿日:2014/5/28

[木村映里]<市場規模5兆円以上の性風俗>30万人の風俗嬢が直面する「40歳の壁」


木村映里(一般社団法人GrowAsPeole広報)

執筆記事プロフィール

 

 今年の始め、NHKクローズアップ現代にて、貧困状態のシングルマザーが性風俗産業に従事しているという特集が大きな反響を呼びました。

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性風俗産業に従事する女性のセカンドキャリアの支援を行う非営利型社団法人GrowAsPeopleが風俗嬢200人に対して行った調査では、レイプ経験や借金の有無が性風俗産業への従事に影響していることが示されています。

もちろん、レイプを経験した女性や借金がある女性が全員風俗嬢になるわけではないけれど、少し前まで当たり前だった「風俗嬢はお金に汚い、だらしない女」とイメージがもはや時代遅れになっているということは誰の目から見ても明らかです。

今まで社会は、風俗嬢を「働き始めたことが悪い」と全て「自己責任」で切り捨ててきました。確かに「性」を仕事にすることに嫌悪感を覚える人もいるでしょうし、低学歴な女性でも短時間で高収入を得られることに対して「楽して稼いでいる」という勝手な先入観を持つ人もいるでしょう。

そして、だらしない女が風俗で働くというイメージが崩壊しつつある現在でも、風俗で働くことそのものが問題視され、「風俗で働くことは良いか悪いか」という女性たちのニーズとかけ離れた議論に矮小化されてしまうのではないかと危惧しています。

彼女らが風俗で働く理由は様々です。目標のために短時間でお金を稼ぎたい人、病気を持っているために長時間の労働ができない人、風俗の仕事にやりがいを感じている人、子どもとの時間を長く取りたいシングルマザー…。性風俗産業を一概に否定することは難しいし、風俗で働くことが良いか悪いかという議論は間違いなく無意味です。

では、性風俗産業が抱える課題とは何か?

それは、性風俗産業で働く女性が直面する「40歳の壁」にあります。

性風俗産業は基本的に年齢が低いほど価値が高く、若いうちに高額の収入を得ていたとしても30歳を過ぎたあたりからだんだんと収入が下がっていきます。そして多くの風俗嬢は40歳を過ぎた頃にはいくら働いても稼げない、働く場所がないという問題に直面します。

例えば20歳から風俗だけで収入を得ていた人がいたとします。その人は、40歳の時点で次の職を探そうとしても履歴書の20年分の職歴が白紙となります。そこまで長くはなくても、人生の数年間、履歴書に書けない期間がある、ということは、その後の人生において、とてつもなく大きなハンディキャップになりえます。そうして彼女たちが行きつく先は、生活保護であったり、個人売春であったり、ということが少なくなく、どんどん生き辛さが深まっていくのが現状です。

風俗嬢が抱える問題は、性感染症のリスクや客とのトラブルなどとても多様ですが、風俗嬢が「社会」の中で生きているからこそ発生する「40歳の壁」の問題が、もっと可視化されるべきではないかと感じます。

風俗嬢と知っても雇ってもらえるような企業はほとんど無く、これから増えるかどうかというと夢のまた夢なくらいに遠い話のような気もするのですが、理想は風俗嬢であっても元風俗嬢であっても「引かない」社会です。そのような社会は他の多くの「人に立場を言えない」人にとってもきっと生きやすい社会なのではないかな、と考えています。

 

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