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.経済  投稿日:2013/10/14

[安倍宏行]ITSの拓く未来


Japan In-Depth編集長

安倍宏行(ジャーナリスト)

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ITS? 何だっけ? ITは、Internet Technologyか・・・じゃ、 Sは? System? Standard? それが違う。答えは、”Inteligent Transport Systems”(高度道路交通システム)。聞いたことない?そうかもしれない。

簡単に言うと、最新テクノロジーを使って、事故の起きにくい、安全な道路交通環境を実現しよう、ということ。国土交通省らが実証実験を続けてきた。

そのルーツは意外と古く、調べてみると、今から8年前の2005年。「より高精度な道路交通情報提供のため、道路交通情報の収集インフラの整備を推進するとともに、インフラからの情報を補完するものとして、VICS車載器を活用した自動車からの情報(プローブ情報)の収集等について産学官が連携を図り、2005年度中に規格・仕様を策定する」為に、VICSプローブ懇談会を発足させている。

VICSというのは、カーナビを使った事がある人ならVICS情報というのを目にした事があるだろう。VICSとは、Vehicle Information and Communication System(道路交通情報通信システム)のことで、渋滞や交通規制等の道路交通情報を体系的に収集・処理・編集し、車に搭載された

カーナビゲーション等を通じて、画面に表示している。FM多重波や電波ビーコン等が使われている。その後2006年からはスマートウェイ推進会議が発足。ETCの普及に向け協議が重ねられ、筆者が2001年に車載器を買った時4万円もしたのが嘘のよう、ついていない車の方が珍しい。

しかし、これだけITが発達している現在、それだけでは物足りない。昨今、CMで良く見るのは、車が勝手にミリ波を使って障害物を検知しブレーキをかけてくれる、アレだ。自動ブレーキの進歩は目覚ましく、低速域からの衝突回避システムはかなり普及してきたが、次世代は、歩行者をも検知し、中速域でも作動するようになるという。

更には、高速道路上の自動運転を実現するシステム(オートパイロットシステム)が2012年から研究されている。Googleも自動運転車の開発に乗り出しているが、高層道路で大型トラックが連なって自動運転されれば、事故も渋滞も減り、より効率的な物流が実現できる。政府は、2020年初頭に高速道路上で車線変更を含む連続走行を目指しているという。

しかし、14日の日経朝刊が指摘しているように、安全運転支援システムが普及してくると、運転車がシステムに依存し、注意力や運転技術が低下する可能性がある他、事故が起きた場合の原因究明や、責任の所在などを明確にするため法整備が必要になってくるという。こういう解説記事は重要だ。

技術の進歩は私達の知らないところで着々と起きている。それが社会にどのような利便性をもたらすのか。同時に、どのような問題を引き起こす可能性があるのか。それを知ることは自らを護る事につながる。

 

補記)

交通安全、渋滞対策、環境対策などを目的とし、人と車と道路とを情報で結ぶITS技術を活用した次世代の道路のことをスマートウェイといい、この実現に向け、次世代路車協調システムの研究開発・実証実験が行われている。カーナビ・ETCを進化させて一体化し、道路側の「ITSスポット」とクルマ側の「ITSスポット対応カーナビ」との間で高速・大容量通信を行うことにより、広域道路交通情報や画像も提供されるなど、様々なサービスの実現が可能になる。その近未来のITSスポットサービスについての動画はこちら

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