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.政治  投稿日:2026/8/31

国民民主党代表選 投票用紙の未着は二度と起きないと言えるのか


執筆者:安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)

【本稿のポイント】

・玉木雄一郎候補は投票用紙の未着を詫び、秋に導入する党員・サポーターの情報管理システムで再発を防ぐと述べた。

・このシステムは今回の未着を受けて決めたものではなく、今年2月の衆議院選挙のあとから検討されてきた計画である。

・最終的に何人が投票できなかったのかは公表されておらず、本人確認の受け付けは8月30日で終了した。

国民民主党代表選挙2026で起きた投票用紙の未着について、玉木雄一郎候補が再発防止の中身を語った。8月30日夜の自身のネット配信で、秋に導入する党員・サポーターの情報管理システムを挙げ、「投票権が届かないなんてことは絶対なくす」と述べた。本人確認の申請受け付けは8月30日で終わり、投票は9月3日23時59分に締め切られる。

本編はこちらから:たまきチャンネル(2026年8月30日の生配信)

玉木雄一郎氏は何を約束したのか

玉木候補は、投票用紙が届かない事態を「絶対なくす」と言明した。玉木候補は8月30日夜に自身のチャンネルで配信し、「今回も、組織の運営であったり、投票権が届かないっていう話も含めて本当に皆さんには申し訳ない点が多々あって」と詫びたうえで、秋の導入を目指す党員・サポーターの情報管理システムを再発防止策として挙げた。8月29日の埼玉県での討論会では「今回投票用紙の話もありましたけども、様々な課題があることも事実であります」と触れるにとどまっており、踏み込んだ形になる。8月30日の愛知県での討論会でも、代表選挙管理委員の伊藤孝恵参議院議員が冒頭で「一部党員サポーターの皆様に投票用紙が届いていないということが発生をしております」と詫びた。

そのシステムは何をするのか

登録された情報を一人分にまとめ、本人が中身を確認できるようにする。玉木候補が挙げたのはCRMと呼ばれるもので、もとは企業が顧客情報を一元管理する仕組みだ。玉木候補は「自己情報コントロール権」の考えを重視して制度を設計したいとしたうえで、「ユニークなアカウントで、本人をユニークユーザーとしてきちんと紐づけますから、システムに入る時点で名寄せができて1人だということが分かる」と説明し、さらに「どういう情報が本部あるいは県連に登録されてるのかということを本人が確認して、場合によってはそれを修正できるような機能」を設けたいと述べた。

代表選挙管理委員会の8月29日の報告によると、8月28日12時時点で、有権者45,155人に対し2,447件が宛先不明で返送された。党は、宛名から一部の住所が欠落した影響だと説明している。これとは別に、党は全国117の支部(県連・総支部)のうち104支部では正確に有権者登録がされていたが、13支部では一部または全部(党本部のカード決済会員を除く)で適切な登録がされていなかったとしている。登録がされていない人には、投票用紙を送ること自体ができない。

玉木候補の説明に沿えば、どちらも本人が自分の登録内容を見られる仕組みがあれば防げたことになる。

橋本幹彦氏は投票の仕組みをどう見ているのか

郵便に頼らざるを得ない現状を認めたうえで、電子化は長期的な課題だとした。8月30日の愛知県での討論会で、党員から郵便投票への疑問が出た際、橋本候補は「投票のあり方について、やはり多々反省残すところあろうかと思います」と述べ、続けて「メールアドレスを把握していない党員の方、サポーターの方というのもいらっしゃいますから、郵便に頼らざるを得ないところはあろうかと思います」と答え、長期的には電子でできるのが望ましいとした。橋本候補は前日の埼玉県での討論会で、執行部の組織運営を10点満点の4点と採点し、今回の投票の件を「一つの氷山の一角に過ぎない」と述べている。

約束が守られたかはいつ分かるのか

最初の節目は今年の秋である。玉木候補は配信で、秋に間に合わせたいと述べている。その後は来年春の統一地方選挙、3年後の代表選挙が検証の機会になる。このシステム自体は、今回の未着を受けて決めたものではない。玉木候補は今年2月の衆議院選挙のあとから見直しを始めたと述べており、導入するという説明は代表選挙の前から繰り返されていた。今回の投票には間に合わなかったことになる。愛知県での討論会で党の反省点を問われた玉木候補は、5年半で5回の国政選挙に追われ、組織の課題を制度の見直しにつなげてこなかったことを挙げた。次の3年間は政権準備期間と位置づけており、組織の立て直しはその土台にあたる。

投票できなかった人は何人いたのか

現時点で正確には分かっていない。党が示しているのは8月28日12時時点の暫定値までで、最終的に何人が票を投じられなかったのかは公表されていない。同じ時点で、本人確認の申請は852件、名簿で氏名を確認してメールで投票案内を送ったのは749件である。返送2,447件との差は1,595件だが、その後に投票用紙が届いた人も、総支部や県連を通じて申請した人も含まれるため、そのまま投票できなかった人数にはならない。有権者登録そのものがされていなかった人はさらに難しい。名簿に名前がない以上、本人確認をしても投票の案内は届かない。

党は、本人確認ができた人には9月1日までに電子投票権の送付を完了する予定とし、確認できなかった人にはその旨を知らせるとしている。登録がなかった経緯については、登録先の総支部か県連に問い合わせるよう求めている。本人確認の受け付けは8月30日で終わり、それ以降に申し出た人への対応は示されていない。

規約と規則に沿って有権者と認められた人が、党の側の不備で票を投じられなかったのだとすれば、それは票数とは別に、選ばれた代表の正統性に関わる。

加えて、システムの見直しを今年2月から進めていた党で、なぜこの規模の欠落が起きたのかという問いも残る。代表選挙管理委員会は「代表選終了後に総括を行い、次回はこうした事象が起きないよう努めてまいります」としているが、総括の中身も、公表するかどうかも示されていない。

両候補とも、党員・サポーターとの関係を組織の要に置いている。玉木候補は配信で「もっと繋がってるっていう感じのある政党になること」が大切だと述べ、橋本候補は執行部の伸び代に党員・サポーターとの関係構築を挙げた。

繰り返しになるが、投票する資格を認められながら、票を投じることができなかった党員・サポーターがいるなら事態は深刻だ。最終的に何人が投票できなかったのか、その人たちに今後どのような対応をするのか、党本部は早急に示す必要があろう。9月6日に選ばれる代表の最初の仕事になることはいうまでもない。

本編はこちらから:たまきチャンネル(2026年8月30日の生配信)

討論会と配信で語られたそのほかの論点

・対ロシア外交への懸念と「今のヨーロッパは明日のアジア」(8月30日の配信11分47秒〜、愛知49分2秒〜)

・食料品の消費税1%をめぐる対案と「外食離れ促進減税」(8月30日の配信9分7秒〜)

・残業代の割増率1.25倍から1.5倍への引き上げと可処分時間確保法の党内議論(8月30日の配信28分7秒〜、埼玉35分13秒〜)

・特定技能2号の上限管理(8月30日の配信48分57秒〜)

・少子化対策と年少扶養控除の復活(愛知39分9秒〜)

・地方自治と憲法、国と地方の財源・権限の整理(愛知54分59秒〜)

【よくある質問(FAQ)】

Q. 政党が持つ党員名簿に、個人情報保護法にもとづく開示請求はできるのか

A. できない。個人情報の保護に関する法律は第57条で、政治団体が政治活動の用に供する目的で個人情報を扱う場合、本人からの開示請求などを定めた第4章の規定を適用しないと定めている。ただし同じ条文は、こうした団体に対して、個人データの安全管理や苦情の処理のために必要な措置を自ら講じ、その内容を公表するよう努める義務を課している。

Q. 投票用紙が届かなかった人がいた場合、選挙のやり直しを求めることはできるのか

A. 国政選挙であれば、公職選挙法第204条により、選挙の効力に異議がある選挙人や候補者が、選挙の日から30日以内に高等裁判所へ訴訟を起こす道がある。地方選挙の場合は、第202条にもとづき選挙管理委員会に異議を申し出て、その決定に不服があれば第203条で高等裁判所に訴えることになる。ただし同法が定めているのは公職の選挙についてであり、政党の代表選挙はこの仕組みの対象にならない。

関連リンク

国民民主党代表選 投票用紙2,447件の未着はなぜ起きたのか(Japan In-depth)

国民民主党代表選 年金の支給開始年齢は引き上げるべきか(Japan In-depth)

・国民民主党 代表選投票用紙 未着対応に関するご報告(2026年8月29日、国民民主党代表選挙管理委員会)

・国民民主党【お知らせ】代表選挙の投票用紙が未着の場合のお問い合わせ先について (2026年8月26日)

・国民民主党【代表選2026】スケジュール (2026年8月17日)

 

写真)はしもと幹彦候補(左)、玉木雄一郎候補(右) 2026年8月30日 愛知県討論会

出典)国民民主党

 

 

 

記事訂正・お詫び

2026年8月31日 

Japan In-depth編集長安倍宏行

対象記事:国民民主党代表選 投票用紙の未着は二度と起きないと言えるのか(Japan In-depth)

訂正1 「そのシステムは何をするのか」節

元の文 これとは別に、全国117の支部のうち13支部では有権者登録そのものが行われておらず、この人たちには投票用紙を送ること自体ができなかった。

修正文 これとは別に、党は全国117の支部(県連・総支部)のうち104支部では正確に有権者登録がされていたが、13支部では一部または全部(党本部のカード決済会員を除く)で適切な登録がされていなかったとしている。登録がされていない人には、投票用紙を送ること自体ができない。

訂正2 「投票できなかった人は何人いたのか」節

元の文 有権者登録そのものが行われていなかった13支部の人はさらに難しい。名簿に名前がない以上、本人確認をしても投票の案内は届かない。

修正文 有権者登録そのものがされていなかった人はさらに難しい。名簿に名前がない以上、本人確認をしても投票の案内は届かない。

訂正3 同節(末尾近く)

元の文 党は個別の事情を登録先の総支部か県連に問い合わせるよう求めているが、党本部としての救済には触れていない。本人確認の受け付けは8月30日で終わり、それ以降の対応も示されていない。

修正文 党は、本人確認ができた人には9月1日までに電子投票権の送付を完了する予定とし、確認できなかった人にはその旨を知らせるとしている。登録がなかった経緯については、登録先の総支部か県連に問い合わせるよう求めている。本人確認の受け付けは8月30日で終わり、それ以降に申し出た人への対応は示されていない。

訂正4 「よくある質問(FAQ)」

投票用紙が届かなかった人がいた場合、選挙のやり直しを求めることはできるのか

元の文 A. 公職の選挙であれば、公職選挙法第204条により、選挙の効力に異議がある選挙人や候補者が、選挙の日から30日以内に高等裁判所へ訴訟を起こす道がある。ただし同法は適用範囲を公職の選挙に限っており、政党の代表選挙はこの仕組みの対象にならない。

修正文 A. 国政選挙であれば、公職選挙法第204条により、選挙の効力に異議がある選挙人や候補者が、選挙の日から30日以内に高等裁判所へ訴訟を起こす道がある。地方選挙の場合は、第202条にもとづき選挙管理委員会に異議を申し出て、その決定に不服があれば第203条で高等裁判所に訴えることになる。ただし同法が定めているのは公職の選挙についてであり、政党の代表選挙はこの仕組みの対象にならない。

【訂正とお詫び】

本稿の初出時、国民民主党代表選挙管理委員会の8月29日の報告について、「全国117の支部のうち13支部では有権者登録そのものが行われておらず」と記載しましたが、党の説明は「104支部では正確に有権者登録がされておりました」「13支部においては一部または全部(党本部カード決済会員を除く)において、適切に登録がされていなかった」というものでした。

また、本人確認後の対応について「党本部としての救済には触れていない」「それ以降の対応も示されていない」と記載しましたが、同報告には、本人確認ができた方への9月1日までの電子投票権の送付と、確認できなかった方への通知が示されていました。

さらに、よくある質問(FAQ)のうち、

投票用紙が届かなかった人がいた場合、選挙のやり直しを求めることはできるのか

との質問に対し、

公職選挙法第204条にもとづく選挙訴訟について「公職の選挙であれば」と記載しましたが、同条が対象とするのは衆議院議員および参議院議員の選挙であり、地方選挙は同法第202条および第203条によります。

該当箇所を修正し、お詫びして訂正いたします。

当該記事初配信日時: 2026年8月31日12:02

同 訂正日時: 2026年8月31日14:55

 




この記事を書いた人
安倍宏行ジャーナリスト/元・フジテレビ報道局 解説委員

1955年東京生まれ。ジャーナリスト。慶応義塾大学経済学部、国際大学大学院卒。

1979年日産自動車入社。海外輸出・事業計画等。

1992年フジテレビ入社。総理官邸等政治経済キャップ、NY支局長、経済部長、ニュースジャパンキャスター、解説委員、BSフジプライムニュース解説キャスター。

2013年ウェブメディア“Japan in-depth”創刊。危機管理コンサルタント、ブランディングコンサルタント。

安倍宏行

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