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.国際  投稿日:2021/1/17

仏、コロナ14歳以下の感染増


Ulala(ライター・ブロガー)

フランスUlala の視点」

【まとめ】

・フランスの新型コロナウィルスの感染者が全体で30%増加。

・今年第1週感染増加率(対前週)は0~14歳が+46%と一番高い値に。

・原因は不明。子供の感染が更に増加するか、公衆衛生局が観察中。

毎週発表されるフランス公衆衛生局の報告によれば、2021年の1週目は、前週に比べて、フランスの新型コロナウィルスの感染者が全体で30%増加していることがわかった。その中で、特に注目されたのは、増加割合が多かった14歳以下の結果についてである。これは子供にも感染しやすいと言われている英国の新型コロナウイルスの変異種の影響ではないかと不安が広がっているが、ハッキリした原因はまだよくわかっていないのが現状だ。

14歳以下の新型コロナウイルスの感染者が46%増加

2021年の第1週目にあたる1月4日~10日は、前の週(2020年第53週目)と比較して、全体の新型コロナウイルスの感染者が30%上昇した。年齢別の増加率は次の通りであり、その中では0〜14歳が46%と一番高い値となっている。

0〜14歳(+46%)、15〜44歳(+33%)、45〜64歳(+27%)、65〜74歳以上(+20%)、75歳以上(+24%)

また、各年齢層の陽性率についても、0〜14歳が最も高くなっている。

0〜14歳(+2.4ポイント)、15〜44歳(+1.5ポイント)、45〜64歳(+0.6ポイント)、65〜74歳(+0.3ポイント)、75歳以上(+0.1ポイント)

ただし、0〜14歳の感染者数はもともと以前から少なかったのも事実だ。そのため割合的に増加したものの、件数的には現在でも一番少ない。

全国レベルで確認された感染者数(住民10万人あたり)は、0〜14歳で83人、15〜44歳で243人、45〜64歳で187人、65〜74歳で144人、75歳以上の場合は230人

いずれにしても、15歳未満の子供に対して、緊急医療サービス(SOSM édecins)が診療した割合も+73%に増加していたことから、この一週間は、通常時よりも健康不安にある子供が多かったことは間違いないようだ。

学校での感染と、心配な英国のコロナ変異種

英国やドイツが対面学習を取りやめオンライン学習に切り替えている中、フランスではいまだに学校に登校しての対面学習を続けている。しかしながら、1月4日~10日に感染が確認された子供の感染原因が学校であるかと言えば、それは違うと言い切れるだろう。なぜなら、フランスでは12月19日~1月3日まで冬休みに入っており、子供たちは学校には行っていなかったからである。このため感染が増加したのは、どちらかと言えばクリスマスや年末を祝う集まりが原因である可能性が高そうだ。

ただ、気がかりなことがある。それは、英国と南アフリカの変異種である。若者にも感染しやすいと言われている変異種は、現在、フランスでは毎日200~300人が感染しており、感染者全体の1%~2%を占めていると予測されている。これらが、現在学校にも入り込んでいるとしたら、今後、学校に行くことで感染する可能性もでてくるのではないだろうか。しかし、変異種の及ぼす影響については詳細がまだわかっていない。

そこで、1月14日の記者会見で、オリヴィエ・ヴェラン保健相は「月に最大100万人の子供と教師を検査することを目的としたプロトコルを設定する。」と発表した。現時点では学校封鎖する理由がないとしているものの、今後、学校閉鎖するかしないかの判断材料にもなるため、調査結果が待たれるところだ。

▲写真 オリヴィエ・ベラン仏保健相 出典:Aurelien Meunier / GettyImages

子供たちが入院に至るケースは今のところ以前と同程度

原因は学校ではなく、変異種については詳細が分からないとしたら、それ以外に0〜14歳の感染者が増加するどんな理由が考えられるだろうか?

以前、パリのネッカー小児病院とパスツール研究所が775人の子供(0〜18歳)を対象にした研究によれば、新型コロナの検査結果が陽性となっても、69.4%の子供はあまり症状が見られなかったという。症状がみられても大抵は軽いインフルエンザ程度だ。また、15歳以下の子供は、感染しても、味覚や嗅覚の変化が観察されたことはないという。この研究により、新型コロナウイルスに感染したとしてもほとんどの場合顕著な症状は出ず、接触ケースがはっきりしていない限り、検査も診察も受けなかった子供が多かったのではないかと考えられる。

また、フランス公衆衛生局によれば、2021年1月12日の時点で新型コロナが原因で入院している0歳~14歳までの子供は51人であり、そのうち8人が集中治療を受けている。しかし、入院した0歳~14歳の子供が55人おり、そのうち11人が集中治療を受けていた12月22日時点とほぼ同じ状況であり、感染者が増加しても子供が入院する人数は増加していないことが分かっている。

▲写真 パリ19区 コロナ禍の中での学校再開(2020年5月15日) 出典:Veronique de Viguerie / GettyImages

こういったことより、今回14歳以下の感染者が増加したのは、インフルエンザや胃腸炎などが流行ることにより、以前なら検査を受けていなかった子供でも念のためにコロナの検査するようになったため、それに伴い感染者人数が増加したように見えるだけではないか?という意見もでている。

いずれにせよどの仮説に対してもはっきりとした確証はなく、因果関係は不明のままだ。今後も子供の感染が増加していくかは、フランス公衆衛生局が注意深く追っていくこととしている。

参照リンク:

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トップ写真:コロナ禍で閉まっているノートルダム近郊の土産物店前を歩く親子(2020年10月22日) 出典:Chesnot / GettyImages




この記事を書いた人
Ulalaライター・ブロガー

日本では大手メーカーでエンジニアとして勤務後、フランスに渡り、パリでWEB関係でプログラマー、システム管理者として勤務。現在は二人の子育ての傍ら、ブログの運営、著述家として活動中。ほとんど日本人がいない町で、フランス人社会にどっぷり入って生活している体験をふまえたフランスの生活、子育て、教育に関することを中心に書いてます。

Ulala

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