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都議会自民党の公約分析② 東京都長期ビジョンを読み解く!その47

 西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)

「西村健の地方自治ウォッチング」

【まとめ】

・都議会自民党の公約「実績」はそれなりの成果もある。

・「情報開示徹底」を実績として挙げるのはいかがなものか。

・都庁の経営や事業をきちんとチェック・監督してもらいたい。

 

■誰の実績?

自民党の都議会議員選挙公約には「実績」が書かれている。知事与党であった長期のその実績をいくつか上げてみよう。

確かに、あの黄色の防災のハンドブックはわかりやすかったし、渋滞解消は確か。色々と進んだことは事実だろう。さすが小池都知事の前まで政権与党だっただけある。その「政策力」はそれなりに評価できる。

しかし、これらは行政職員が頑張ったからできたことのような気がする。

そもそも議会の実績って何?行政機関ではないし、あくまで住民の意見をつなげ、予算を承認し、条例を議決し、都政をチェックし、政策を提案したりするのが役割としては先ではないかと、ふつうの都民は思うのである。

 

■実績「盛りすぎ」?

 一つずつ突っ込んでいこう。「都議会改革」として2つの実績が掲げられている。

気になるのは後者だ。都議会公明党の提唱による「身を切る改革」だったはずだが、自分たちが先導してやったかのような主張である。「情報開示を徹底」というのは本当だろうか?

他方、小池都知事は「都政の透明化」公約より)と主張していた。

客観性を担保するためにある事例を紹介したい。早稲田大学マニフェスト研究所の評価「議会改革度調査 2015」では、

などの点から東京都議会は都道府県ランキングで35位であった。

改革をいかにも自分がやったかのように見せるのはさすがに「盛りすぎ」で、真面目な住民はひいてしまうのではないか。

 

■長年解決されない子育て支援

そして、多くの都民が関心を持っているテーマ、子育て支援の実績を見てみよう。そこでの記載は以下の通り。

待機児童問題は28年度4月の段階で8466人。東京都の「都内の保育サービスの状況について」の資料の中にある「保育所等利用待機児童等の状況」の図を見てもらいたい。

 

 

「いろいろ頑張ってきたけど、問題が根深く、複合的な問題ゆえ解決にはいたらなかった」と正直に反省したほうがよっぽど誠実であろう。

ちなみに、これまで自民党が掲げてきた公約というと、都民と自民党の約束「政策パンフレット」がある。この11ページには、「保育サービスを大幅に拡充し、待機児童をゼロにします」と記載があるのだが・・・・。過去の総括はないのだろうか。

 

■都民の期待は?

改めて言うが、都民による都議会議員への期待は様々であろう。都政への関心度順に言うと以下のタイプがあるだろう。

(タイプ1)自分や所属団体のために、なにかやってくれる

(タイプ2)自分たちの声や意見を聴いて、都政に伝えてくれている

(タイプ3)東京都庁の経営や事業をきちんとチェック・監督してい

(タイプ4)都民の問題解決のために取り組んでいる

(タイプ5)税金を安くしてほしい

(タイプ6)特にない

政権与党であったときはタイプ1、2の人へのアピールでもよかったが、小池都政になった今はタイプ3の視点が求められるのではないか。その視点から「実績」をアピールにしてもよかったのではないかと考える。

都議会自民党に期待する。

 

【注意】上記あくまで私の意見ですのでご参考に。繰り返しますが、特定団体を応援する目的で記載していませんので悪しからず。