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[安倍宏行]<訪日外国人の旅行消費額・前年比30.6%増>消費増税の反動減対策に「外国人旅行客」

Japan In-Depth編集長

安倍宏行(ジャーナリスト)

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◆消費増税初の週末~あの手この手の反動減対策、頼みの綱は!?

消費税率が8%に上がってから初の週末。筆者は大手家電量販店にパソコンを買いに行ったが売れ筋商品は軒並み売り切れていて駆け込み消費の凄まじさを実感した。この週末、各業界はその反動減に神経をとがらせていたようだが、当初から予想された通り、高額商品を扱うデパートや車の販売店などで客足が落ちたようだ。

また、買いだめが効く水やビールなどの飲料系商品、トイレタリーなどの日用品も反動減は免れ得ないだろうが、買いだめと言っても限度があるので、数か月単位でみると、現下の経済状況が続く限り、販売はプラスマイナスゼロかもしくは若干プラスに近い数字に落ち着くのではないか。そこには大手企業の好調な業績から夏のボーナスアップへの期待感が滲んでいる。

とはいえ、直近、4、5月の反動減を少しでも食い止めるために小売各社は知恵を絞っている。セブン&アイホールディングスは、電子マネーnanacoのポイントを4月一杯通常の倍の2%に引き上げれば(注1)、ライバル、イオン株式会社は電子マネーWAONのポイントを5月6日まで3倍(注2)に引き上げるといった具合だ。スーパーマーケットも負けてはいない。

東急ストアの一部店舗では、お買い得品として92円均一(本体価格)セールを開催中。8%の消費税がついて丁度100円になるように価格設定した。野菜やカレールーなどの目玉商品を対象にして1人でも多く客を呼び込む涙ぐましい作戦だ。更に5月9日まで買い物に自社のポイント1000ポイント以上を使って買い物をしgたら抽選で200名に500ポイントをプレゼントするキャンペーンを展開、工夫を凝らす。こうした販促策が功を奏するか、答えが出るまでまだ少し時間がかかりそうだ。
◆景気を下支えしてくれる、外国人旅行者の消費に注目

さて、この週末はちょっとした用があり、新潟県は越後湯沢に立ち寄った。スキーシーズンもピークを過ぎたとあって駅前は閑散としていたが、駅構内には外国人旅行客が目立った。

それもそのはず、2月の訪日外国人数は前年同月比20.6%増の88万人で、2月として過去最高、1~2月の累計でも前年同期比30.5%増の182万4千人と過去最高ペースで推移している。(注3)市場では中国、台湾、香港、タイ、マレーシア、インドネシア、ベトナム、インド、豪州が2月として過去最高だった。円安やビザ発給条件の緩和等が後押ししている。

こうした外国人旅行客の増加は、国内消費を下支えしている。なにしろ、平成25年の訪日外国人の旅行消費額は1兆4167億円で、前年比30.6%増の過去最高を記録している。(注4)これは1人当たり13万6千円の消費に当たると推計されている。この数字を更に増やす必要があろう。ざっと見て回った限り、言葉の壁は解消されていないと感じた。

英語や中国語が話せる人員が常駐するインフォメーションセンターの設置、各国語に対応した無料観光案内アプリの配布、案内表示板やレストランメニューの他言語表記など、最低限の環境整備を急ぐべきであろう。否応なしに急増する外国人旅行客をどうもてなし、どう消費してもらうか。

景気を下支えしてくれるのは、彼らの消費だと言う認識がまず必要だ。民間の努力もさることながら、基礎自治体も自らの観光資源の価値を最大化する努力を怠るべきではない。

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