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小説の舞台は高岡市、知名度アップを 「高岡発ニッポン再興」その5

出町譲(高岡市議会議員・作家)

【まとめ】

・今年7月発売予定の小説「父の声」の舞台は、富山県高岡市である。

・高岡市の弱点は、知名度不足である。

・高岡市が小説の舞台として認知されることで、地域の知名度アップが期待できる。

 

高岡市議会議員にとって、高岡市を売り込むというのも大事な仕事です。高岡を舞台にしたサスペンス小説、「父の声」が7月に発売されますが、私は小説誕生の舞台裏で、お手伝いしました。

主人公は高岡大仏近くに住んでいる中年の男性です。

どのようなストーリーなのかは、のちほどお伝えしますが、

高岡大仏や、飲食店街などの風景描写、行きつけの飲み屋も具体的なイメージをもとに設定されています。

また、高岡市民の憩いの場である古城公園、さらには、主人公が通勤に使っている路面電車の万葉線なども登場します。ベストセラーになり、ドラマ化されれば、高岡が聖地になる可能性があるのです。

▲写真 高岡古城公園 出典:「たかおか道しるべ」Ⓒ公益社団法人 高岡市観光協会

筆者は、大御所の小杉健治さんです。小杉さんは実力派の作家で、これまでサスペンス小説や時代小説など300冊ほど手掛けています。

ゴールデンウィーク前に小杉さん取材のため、担当編集者と高岡を訪れました。

この本のタイトルは「父の声」(文藝春秋)。疾走した父と家族との絆を描いて、ドラマ化された『父からの手紙』(光文社文庫)に続く、感動のミステリー長篇です。

この本は50万部の大ヒットとなりましたが、「父の声」も大いに期待が持てる作品です。 私は一応、ゲラを読みました。 詳細は書けませんが、最後のあたりの急展開に、胸が熱くなりました。

今回の小説の舞台はなぜ高岡市なのでしょうか。きっかけは今回同行している担当編集者の鳥原龍平さんが、小杉さんに高岡を舞台にと強く勧めたからです。その鳥原さんは実は私の担当編集者でもありました。私が、高岡市で高校時代を送った丸井の創業者、青井忠治さんについて、「景気を仕掛けた男『丸井』創業者・青井忠治」を出版しましたが、鳥原さんはその担当だったのです。

▲写真 筆者(左)小杉健治さん(真ん中)、鳥原龍平さん(右):筆者提供

鳥原さんが私と一緒に、高岡を訪れた際に、魅了され、高岡を舞台にした小説を出したいと、思ったそうです。「高岡市で食べた、あの寿司をもう一度食べたい。」そんな経験から、高岡に吸い寄せられたとのことでした。ちなみに今回の「父の声」はこんなストーリーです。

―関東信越厚生局麻薬取締部の捜査官・篠田幸造は、覚醒剤の取り締まりに日々追われていた。ある日、張込み先で売人の男が死亡する。自殺か、それとも口封じの殺しなのか? 篠田は警察と協力しながら捜査にあたることに――。一方、高岡市に暮らす奥村順治は、東京で暮らす娘ののぞみが婚約者を連れて帰省するのを待っていた。娘の婚約者である本間明を明るく迎えた順治だが、彼のある言動に不審を抱く。娘の変化も気になり、順治は娘のことを追って東京へ向かう。どうやら、のぞみは本間に騙されて覚醒剤に手を染めているらしい。娘を救おうとする順治だったが……。男とクスリに溺れた娘を、父親の愛は救うことができるのか? ラストに大きな感動が待ち受ける感動のミステリー。

私は高岡の弱点は知名度不足だと思っています。積極的にアピールする必要があるのです。そうすれば、もっと多くの小説や映画の舞台になる可能性は十分あります。

ちなみに、小杉さんは、鳥原さんと一緒に、高岡を私と回りました。その際、私はさまざまな話をしましたが、小杉さんは、その話の中から、あと2冊高岡を舞台に本を出したいと明言なさいました。そのテーマについては、ここでは申し上げられませんが、それもぜひ実現したいと思っています。今度は、サスペンス小説ではなく、歴史小説になりそうです。

私は今後もさまざまな方面に働きかけ、高岡を売り出したいと思っています。

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トップ写真:高岡大仏 出典:「たかおか道しるべ」Ⓒ公益社団法人 高岡市観光協会