Japan In-Depth編集部|Japan In-depthチャンネル 2014年7月5日(土)放送
6月24日、政府が閣議決定した「新たな成長戦略」では、女性のさらなる活躍促進が大きな柱となっている。2020年に指導的地位に占める女性の割合を30%にするという目標に向け、新たな法案提出を目指し、また有価証券報告書に女性役員の比率を記載するよう義務づけるとしている。しかし、果たして本当にそれで女性の活躍が促進されるのだろうか?
ゲストはジャーナリストの山田厚俊氏。パリ出張中の安倍編集長に代わり、社会保障経済研究所の石川和男代表がMCを、サブMC坪井安奈に代わり、千葉県我孫子市の水野友貴議員がサブMCを務めた。セクハラヤジや号泣会見などが話題になっている地方議員の実態も急遽テーマに加え、この3名が女性の社会進出と地方議員の実態、日本社会の二つの問題に鋭いメスを入れた。
冒頭話題になったのは、やはりセクハラヤジに始まり、野々村議員の記者会見、さらには覚せい剤陽性や未成年への淫行などで世間を賑わしている地方議員の実態だ。地方議会が話題になっているとはいえ、実際に議会を見に来る人は非常に少なく、ネット中継も視聴者がほとんどいないという。山田氏は「このような悪い形で地方議会が話題になり、『これだから政治家は…』と市民の政治離れをますます加速させるのではないか」と危機感を示し、水野議員も同意した。
普段は注目されていない地方議会がこのような面で報道され、地方分権による予算削減など地方議会の機能については報道されていない。このようなメディアの姿勢に3名が疑問を呈した。
番組内で国会議員の数についてアンケートをとったところ、「多い」と答えたのが約7割、「ちょうどいい」と答えたのが2割強、「少ない」と答えたのは1割に満たなかった。国民の大半が「多い」と考えている国会議員、この下には都道府県があり、さらに市町村がある。
普段の仕事が見えにくい県だが、県をなくしてしまうと、国の下に市町村になってしまい、それは飛びすぎているという意見が出た。県をなくして道州制にしたほうがいいのではないか、人口の多い政令市は国からダイレクトに市政にしてもよいのではないか等、さまざまな提案がなされた。大切なのは、まずやってみて、少しずつ調整していくことだと3人は一致した。
また、女性の社会進出について。石川氏は、「日本の女性の就業率は他国と比べても決して低くない。平成19年には共働き世帯が専業主婦世帯の数を超えているのに、未だに女性の社会進出などと叫ばれているのは、女性の幹部すなわち意思決定者が少ないことが原因」と指摘した。企業の中の幹部に限らず、政界にも女性は少ない。国会議員の女性の割合は衆議院で一割、参議院で二割程度だ。「選挙の構図自体、女性が立候補しにくい体制になっている」と山田氏は指摘する。この原因に関して、水野議員は、女性政治家を一括りにして“○○ガールズ”などと騒ぎ立てるマスコミの責任もあると指摘した。
女性の幹部が少ないことの一因には、そもそも女性が管理職になることを望んでいないという現状もある。実際、7割の女性が非正規雇用を望んでいるという。これに対して水野氏は「このあたりの意識改革からしていかないと、実現は難しいだろう」との考えを示した。
女性議員が少なく、男性が政策決定をしている日本のままでは、女性が活躍できる基盤を作るのは難しい。女性議員を増やすこと、そして女性議員が前に出て、政策を作っていくことが大切だろう。私たちメディアが報道すべきは、女性議員が取り組む政策や提言である。また、お騒がせ議員の号泣会見やセクハラヤジの犯人にばかり焦点を当てるのではなく、地方分権を行うことによるメリット・デメリットなどを取り上げるべきだろう。
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