"Japan In-depth"[ジャパン・インデプス]

外交・安保カレンダー(2013年10月21-27日)

宮家邦彦(立命館大学 客員教授/外交政策研究所代表)

執筆記事プロフィールblogWeb

今週からはご縁があってJapan In-Deapthに掲載されることになった。引き続きご愛読願えれば幸いである。従来同様、今週起きることを中心に、世界の外交・安全保障問題の動向を宮家邦彦の独断と偏見と責任で書き殴っていきたい。

米国政府閉鎖は先週解除されたが、問題は単に先送りされただけだ。米国民の多くは共和党に責任ありと考えている。そのことは同党の良識派も分かっているのだが、どうしても手が打てない。筆者にとってこれは一種のデジャヴュ(既視感)だ。

イラク戦争直後のバグダッドで米国人はイラク人政治家に政治的妥協の重要性を説いていた。今やワシントンでも共和党強硬派が政治的妥協を拒絶しているではないか。2003年のバグダッドとどこが違うのか。米国の民主主義とはその程度なのか。

米専門家はワシントンの体たらくにより三つの結果が生じたという。第一は米外交の影響力低下。第二はワシントンのコミットメント対する同盟国の懸念。第三が世界経済への悪影響だそうだ。その通り、世界の米同盟国は本当に心配しているぞ。

今週も重要な外交日程が目白押しである。

米国務長官は欧州訪問、中東和平問題も含め関係者と話し合う。ロシア首相が中国を訪問する。インド首相も訪露の後に訪中し中印関係について話し合うそうだが、当面中印間に大きなブレークスルーはないだろう。

ほぼ同時にパキスタン首相が訪米する。アフガン、テロリズム、無人機など議題は事欠かない。影響力低下が懸念される米国外交だが、やるべきことはやっている。これに対し、日本では臨時国会がある。偶然とはいえ、このギャップは大きい。

10年ほど前から総理・閣僚が外遊し易いよう制度は改善されたと思っていたが、今も国会開催中の外遊は難しいという。世界の主要国が活発な外交を展開している時に、日本は10年一昔のまま。あの儀式のような国会審議、何とかならないものか。

今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。

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