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[石川和男]<5期連続で非正規雇用が高まる>主な原因は「正規の仕事がないから仕方なく」ではない

石川和男(NPO法人社会保障経済研究所理事長)

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総務省統計局が今週発表した「労働力調査(詳細集計)2014年1〜3月期平均(速報)」の概要は次の通り。

アベノミクスが始まってからの雇用情勢は“良し悪し混交”と言える。完全失業者数も非労働力人口も減ってはいるが、非正規が増えて、正規が減っている。この調査によると、雇用者数における正規・非正規の割合は62:38にまでなっており、四半期5期連続で非正規割合は高まってきている。

非正規という雇用形態が増えていることを憂う向きが多いようだが、非正規について現職の雇用形態に就いた主な理由については、下の資料にある通りだ。「自分の都合のよい時間に働きたいから」が24.6%、「家計の補助・学費等を得たいから」が21.8%、「正規の職員・従業員の仕事がないから」が18.9%となっている。

つまり、正規の仕事がないから仕方なく非正規という雇用形態に就いているのは最多の理由ではなく、2割にも満たない。「家事・育児・介護等と両立しやすいから」が11.0%とあるが、これには積極的理由と消極的理由の二つがあるだろう。いずれにせよ、これは今後増えていくだろうから、消極的理由の人々のためにも保育サービスや介護サービスに係る公的支援策への門戸を広げておく必要がある。

 

<資料:現職の雇用形態についた主な理由別非正規の職員・従業員の内訳(2014年1〜3月期平均)>

(出所:総務省統計局資料)

 

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