[安倍宏行]<2014年度ベストマザー賞>ママが日本を救う。少子高齢化時代に必要なこととは?
Japan In-Depth編集長
安倍宏行(ジャーナリスト)
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「(受賞は)全国のママからの投票のみだと聞いて驚き、エネルギーをいただきました!」
喜びを語るのは、株式会社ワークライフバランス社の小室淑恵代表取締役社長(写真右)。“第7回ベストマザー賞2014”(注1)の経済部門の受賞者である。同部門の受賞者は、2009年以来該当者なしだったこともあり、小室氏の喜びもひとしおだ。
この賞は、NPO法人日本マザーズ協会が2008年から、ママ達を応援するシンボリックなアクションとして開催しているものだ。
今回の受賞者は部門ごとに、
- 【経済部門】 小室淑恵
- 【芸能部門】 小倉優子 (タレント)
- 【文化部門】 内田恭子 (キャスター)
- 【スポーツ部門】 北斗晶 (元女子プロレスラー・タレント) の4名。
特別顧問の蓮舫参議院議員から盾を受け取った。
小室氏は続ける。
「経済部門に該当者がいなかったのは、経済界にママがいない日本社会の表れ。(仕事と育児の両立が難しいことについて)憤ることが一杯あったが、それがエネルギーになってここまで来れた。」
株式会社ワークライフバランス社は、残業を減らすことで、業務効率をアップし、業績を向上させるコンサルティングを行っている。同社の既婚社員のほとんどは、二児の母、三児の母だという。「残業なしは少子化にも効きます。」と笑う。さらに、両立のコツを聞かれると、
「信じて任せる。夫も社員も。自分の家庭は、育児も家事も(夫婦)全く同じ時間やっている。」
と述べ、さらに働くママに向けても、
「残業できる人を羨ましがらない、肩身狭いと思わないことが大事。時間をかけたらいいものが出来るわけじゃない。」
とアドバイスを述べた。
キャスターの内田恭子さんは、二人の男の子のママ。
「(ママは)社会から切り取られた寂しさを感じる時がある。友人と、日本の女性をハッピーにしようという社会貢献活動を始めた。子供を連れて出ていけるイベントなどを企画している。」
「ママの笑顔がないと、社会は元気にならない。」
と語った。
小室氏が指摘するように、日本社会は、少子高齢化で”人口オーナス期“(注2)に入っている。女性の労働力が十分に活かされていない日本は、一刻も早く女性が働きやすい環境を作ることが急務である。
鍵は、男性の意識改革にかかっている。ベストファーザー賞もあっていいのではないか。そう思った。
- 注1) ベストマザー賞 2007年5月創設、2008年5月9日に第一回を開催。今回が第7回。1年間を通して、日本マザーズ協会が全国で開催する子育て応援・ママ応援イベント「マザーズフェスタなど」全国の会場内にて実施のアンケート投票やネット投票、モバイル投票によりママたちの声を部門ごとに分類集計し得票の高い方を表彰しております純粋投票のみで選出される賞です。
- 注2) 人口オーナス期 オーナス(onus)とは重荷・負担の意味。人口構成で、高齢人口が急増し、生産年齢人口が減少した状態。経済成長の鈍化につながる。人口ボーナス期の逆の状態。
- 注3)グラスシーリング 【英】glass ceiling 女性のキャリアパスを阻む見えない壁の比喩表現。
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