.社会 投稿日:2014/8/14
[石川和男]<国立社会保障・人口問題研究所 調べ>結婚後に「夫は仕事・妻は専業主婦」と考える既婚女性は45%
石川和男(NPO法人社会保障経済研究所理事長)
国立社会保障・人口問題研究所の「全国家庭動向調査」(配偶者のいる女性[妻]からの回答の分析結果を取りまとめたもの)は、下の<調査結果の概要>の通り。意外だったのは、「結婚後は、夫は外で働き、妻は主婦業に専念すべきだ」と回答した既婚女性の割合が45%もいたこと。
<調査結果の概要>
(1)出産・子育ての支援を求める相手
- 出産・子育ての場面で妻が支援を頼む相手の優先順位を確認したところ、「親」の優先順位が最も高かったのは、「第1子出産時の妻の身の回りの世話」(71.3%)、「経済的に困ったときに頼る人」 (64.9%)、「出産や育児で困ったときの相談」(46.9%)、「妻が働きに出るときの子どもの世話」 (42.2%)。
(2)夫と妻の家事・育児の分担
- 夫と妻の合計を100%としたときの夫の家事分担割合14.9%、夫の育児分担割合20.2%。
- 夫の家事、育児の遂行頻度をそれぞれ20点満点で評価すると、家事5.1点、育児10.5点。
(3)夫の家事・育児遂行と、今後子どもを持つ予定の有無
- 子どもがいない場合、今後、子どもを持つ予定がある妻の割合は、夫が家事を「ほとんどしない」場合48.1%に対し、「よくする」場合70.4%。
- 子どもが1人いる場合、今後子どもを持つ予定がある妻の割合は、夫が「家事」を「ほとんどしない」場合54.9%に対し、「よくする」場合61.7%。夫が「育児」を「ほとんどしない」場合45.5%に対し、「よくする」場合60.7%。
(4)家族に関する妻の意識
- 「夫も家事や育児を平等に分担すべきだ」、「結婚後は、夫は外で働き、妻は主婦業に専念すべき」、「夫婦は子どもを持ってはじめて社会的に認知される」に賛成する妻の割合は、それぞれ80.5%、44.9%、32.1%。
- 「子どもが3才くらいまでは、母親は仕事を持たず育児に専念したほうが良い」、「家庭で重要なことがあったときは、父親が最終的に決定すべきだ」に賛成する妻の割合は、それぞれ77.3%、71.6%。
近時、『女性の社会進出』が強く叫ばれているにもかかわらず、である。 政府機関によるこうした調査は、民間で行われる調査と並んで、あくまでも調査の一つに過ぎない。しかし、政府機関による調査の結果は、民間のそれに比べて、国や自治体の政策の材料として利用されることが多い。
今までがいわゆる“男性中心社会”であったとして、それを本質的に『男女共同参画社会』に移行していこうとするならば、この全国家庭動向調査のような女性のみを対象とした調査の結果を基に新政策を試行していくことは十分あり得ることだ。
但しその場合、政策立案者を現役若年世代の女性で占めるようにするなど、目新しい体制づくりが必要だろう。
【あわせて読みたい】
- <待機児童問題>社会保障は高齢者対策よりも「子育て」への予算配分を手厚くすべき(石川和男・NPO法人社会保障経済研究所理事長)
- <アベノミクス「女性活用」のかけ声に疑問>わずか1割の女性管理職がそれ以上に増えない本当の理由(藤田正美・ジャーナリスト/Japan In-Depth副編集長)
- <女性の6割が結婚と出産で退職する日本>子供を産んでもキャリアを継続けたい女性に必要な制度とは?(ulala・ライター/ブロガー)
- 母親の、母親による、社会のための活動〜母親の起業をいかに「母親と社会との接続」が達成させるのか(江藤真規・サイタコーディネーション 代表)
- <モンスターママは悪くない?>母親たちはなぜ妊娠した幼稚園教諭を退職に追い込んだのか (木村映里・日本赤十字看護大学生・ライター)
タグ:石川和男