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[Ulala]<フランス子育て事情>補助金よりも、教育費の負担の低さが出生率向上に貢献?

ulala(ライター・ブロガー)

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「フランスは子供に関する補助が手厚い。」とよく言われるが、それも子供が3歳までの話で、実はその後の額はぐんと減る。3歳以上の子供2人対象なら、 日本の児童手当の方が金額が多いのではないかと思うぐらいだ。

でも、子供の人数が増えてもあまり金銭的負担は増大しない気がする。なぜだろう?その理由は「教育にかかる費用が少ないこと」が一番の大きいのではないだろうかと考えた。

私立に行くなど、求める教育のレベルによって費用は大きく変わってくるが、公立の学校に行っている限り学校にほとんどお金がかからない。しかも公立に行く生徒の割合は全体の約83%で、大多数のフランスで学校に通う子供達が受けている恩恵とも言える。そして、学校だけじゃなく、学校外での習い事に関しても質が高いのに料金が良心的なところが多いのにはいつも感心してしまうのだ。

「公立に通うなら日本も同じよ」と思われるかもしれない。そこで調べてみた。下記は、文部科学省の学習費調査 注1)による、日本の公立の学校に通っている生徒にかかる給食費以外の平均費用である。

 

<幼稚園での年間平均>

<小学校での年間平均>

これを以下のフランスの一般家庭と比べてみると、かなりの差があるのをわかってもらえるだろうか?

<幼稚園・小学校での年間費用>

 

◆学校教育費の金額の違い

日本は、小学校以降授業料は無料とは言っても、学校に通うために購入すべき物が多く、毎月の給食費以外にも遠足・修学旅行費、学級・PTA会費などを払っている。でもフランスではそれらがない。地域にもよるが、少なくとも筆者の子供達の通う学校では、ノートや筆記道具、クラス写真以外に学校にお金を払うことがほとんどないのだ。

さらに、

 

◆学校外活動費

日本では塾の費用も多いが、何かお稽古事をするにしても月謝や用品費が高い。しかしフランスでも家庭教師は必要な人もいるが、日本のような学習塾はない。

それどころか国は学校外での勉強を必要としない教育を目標にし、宿題まで無くそうとしているぐらいだ。お稽古事にしたって、低料金で通えるコースも多いので費用があまりかからない。

その結果、日本でよく聞く、「公立だけ行くとしても大学まで行ったら1000万円はかかるのよ。そんな簡単に2人も3人も子供は作れないわ。」なんて声はフランスではあまり聞かれない。支出の少なさは、子供を生む不安も確実に軽減しているのではないだろうか?教育にかかるコストと出生率は、切っても切れない関係なのだと思わずにいられない。

注1) 文部科学省の学習費調査 平成24年「子どもの学習費調査結果」による

 

【執筆者紹介】

ulala(ブロガー/ライター)

日本では大手メーカーでエンジニアとして勤務後、フランスに渡り、パリでWEB関係でプログラマー、システム管理者として勤務。現在は二人の子育ての傍ら、ブログの運営、ライターとして活動中。ほとんど日本人がいない町で、フランス人社会にどっぷり入って生活している体験をふまえたフランスの生活、子育て、教育に関することを中心に書いてます。

 

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