無料会員募集中
.国際  投稿日:2014/1/22

[留学リポート・イタリア|嘉山幸子]フェラーリ社への5人のインターンに5300人が応募〜従業員をも魅了する!イタリアのブランディング戦略から学ぶ


gazou380

嘉山幸子(イタリア・ミラノ留学中)

執筆記事

 

イタリアは、多くの人を魅了され、世界中から人が集まる。ミラノに行けば、最先端のファッションを享受し、ショッピングを楽しむことが出来る。フィレンツェに行けば、ルネッサンスを体感し、歴史的絵画に触れることが出来る。ローマに行けば・・・、とあげたら切がない。“made in Italy”は、それだけで価値を提供し、品質の保証を意味する。

しかし、現地で実際に生活をしてみると、高い失業率から想像できる通り、人々が憧れるイタリアは、そこにはない。イタリアの名声はどのように作り上げられただろうか。日本でも、経済産業省が推進する“Cool Japan”から伺える通り、今後の日本は独自の技法を活かすと共に、新たなサービスを提供し、グローバル市場で勝負していくことが必要となってきている。そんな中、私はイタリアから、これからの日本が生き残っていく為の突破口を探すことができるのではないかと考えている。

gazou378

今回取り上げるのは、誰もが知っているフェラーリ。

昨年スタンフォード大学やオックスフォード大学などの一流校卒業生を対象にした「Ferrari Graduate Program」の募集が行われた。このプログラムからは、最終的に5人選ばれ、その後6ヵ月のインターンを経て、正社員として契約を結ぶ。

このプログラムに対し、世界中から5,300人の応募が殺到した。その中から96人が最終選考に残り、現在オンライン・インタビューが行われている。何人の候補者が選ばれるかはわからないが、残った者だけが、本社で最終選考を受けることになる。最終決定は3月だ。。

フェラーリは、毎年ファイナンシャル・タイムズが行う「Best Workplaces in Europe(欧州で最も働きがいのある職場ランキング)」で、2007年に1位に選ばれている企業でもある 。従業員には、フィットネスなどの施設や家族手当など色々な福利厚生がある。

しかし、これだけの人が殺到したのは、フェラーリというブランドが提供する価値と、その名声によるものだろう。 フェラーリは、自動車メーカーとしては小規模な生産体制をとっていることで知られ、2013年には、競合他社に顧客を奪われるリスクを冒してまでも、ブランドイメージを保つため、意図的に生産量を減らしている 。徹底したブランディングで、今でも自分たちのアイデンティティを崩さないよう努力を続けている。

フェラーリの神髄であるレーシング部門に関しては、たった2人のレーサーがレースで力を尽くすために、多くの人材を投入している。 こうした経営方針からは、強いブランド・アイデンティティが見えてくる。それがブランドをより強固なものにし、人々を魅する要素となっているのだろう。ブランドの情熱に、顧客のみならず、従業員さえも魅了し、彼らは自らが生み出すフェラーリという車に関わることで、その情熱を分ち合うのだ。それゆえに顧客のみならず、優秀な人材も同じように、そのメンバーになりたいと世界中から人々が集まってくるのではないだろうか。

gazou379

一方、こうした華やかな側面を持つイタリアに反し、イタリアの若者の失業率は悪化の一途を辿っている。

2013年11月の時点での、15歳から24歳の失業率は、41.6%。 経済危機を契機に失業率は上がる一方だ。最近では、高い失業率を反映してか、求人募集に対し、定員よりはるかに多くの応募が殺到する。去年8月には、IKEA italiaの200人の求人募集に対し、28,000人の応募者が殺到ている。

去年8月には、IKEAの200人の求人募集に対し、28000人の応募者が殺到した。誰もがあこがれるイタリアブランドは、その価値を保つ一方で、イタリア政府は有効な雇用政策を打てておらず、失業率は上がり続けているのが現状である。ミラノで、頻繁に起こるストライキ。こうした経済状況は、一体いつ解消されるのだろうか。

世界一のブランディングと、低迷する経済。この狭間でイタリアで何が起きているのか、つぶさに見て行こうと思う。

 

【リポーター紹介】嘉山幸子

コンサルティング会社勤務を経て、エシカル・ファッション・ブランドの立上に参画。次のステップを踏むことを決意し、新たな挑戦の場として、イタリア・ミラノに留学中。

 

【あわせて読みたい】

タグ嘉山幸子

copyright2014-"ABE,Inc. 2014 All rights reserved.No reproduction or republication without written permission."