大阪都構想の住民投票、来春は可能か 維新・馬場伸幸氏「まだ分からない」
安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)
【本稿のポイント】
・日本維新の会の馬場伸幸顧問は、大阪都構想の住民投票を来春の統一地方選挙と同じ日に実施できるかについて「まだ分からない」と述べ、同日実施にならない可能性も否定しなかった。
・馬場氏は副首都法と大阪都構想は「土俵が違う」とし、まず副首都として大阪の体力を上げ、その後に基礎自治体のあり方を問い直すのが望ましいとの考えを示した。
・住民投票は直接民主主義を経験する機会であり、憲法改正の国民投票への理解を深める道筋にもなると語った。
日本維新の会の馬場伸幸顧問は、大阪都構想の住民投票を来春の統一地方選挙と同じ日に実施できるかについて、「必ずできるかと問われれば、まだ分からない」と述べた。吉村洋文代表が同日実施を目指すと表明する一方、特別区の区割りなどを話し合う法定協議会の議論が残っているためだ。2026年8月27日に配信したJapan In-depthチャンネルで語った。
▶ 本編動画(Japan In-depthチャンネル)日本維新の会 顧問 馬場伸幸氏が登壇!「各党に聞く!国会総括」
馬場伸幸氏は同日実施をどう見ているのか
馬場氏は、慌てて同じ日に実施する必要はないという国会側の見方に一理あるとの立場を示した。
番組では、副首都法の成立過程で国会から同日実施に慎重な意見が出た一方、吉村代表が同日実施を目指す考えを表明していることをどう見るかを問うた。馬場氏は「慌てて一緒に同日選挙でやる必要はない、というのが国会の皆さんの意見で、それは一理ある」と述べた。
そのうえで自身の考えとして、間隔を空けるべきだとの見方を示した。まず副首都として大阪の体力を上げ、活性化させる。そのうえで、大阪府下の基礎自治体のあり方をどうするかを改めて議論した方がよい、という順序である。馬場氏は、大阪市のように元気な自治体ばかりではなく、単独では立ちゆかないと自ら表明している自治体もあると指摘した。
なぜ副首都法と大阪都構想は「土俵が違う」のか
副首都は東京の機能を補う国全体の制度であり、大阪都構想は大阪の基礎自治体のあり方を問うものだからだ。
2026年7月24日、「国家社会機能継続性確保施策及び副首都の整備に係る施策の推進に関する法律」が参議院本会議で可決され、成立した。採決の結果は賛成123、反対121。2票差だった。
馬場氏はこの法律について、東京で不測の事態が起きたときに機能を補う都市をつくり、一極集中を多極分散に変えるための制度だと説明した。さらに個人の考えと断ったうえで、日本維新の会が掲げてきた統治機構改革の一手段でもあると位置づけた。将来的に道州制のような仕組みが導入されれば、それぞれの州に中心となる都市が必要になる。副首都はそこまで見据えた制度だという理解である。
一方の大阪都構想は、大阪府と大阪市で行政が二重になっている状態をどうするか、つまり基礎自治体のあり方を問い直すものだとした。だから土俵が違う、というのが馬場氏の整理である。
副首都の候補地についても、札幌や名古屋、福岡など複数の都市が手を挙げており、同時に指定されても構わないとの認識を示した。大阪への利益誘導という批判については、副首都と都構想が混同されたまま地元の首長選挙と一体で語られている面があるとして、説明を尽くす必要があると述べた。
来春の住民投票は実施できるのか
馬場氏は「必ずできるかと問われれば、まだ分からない」と述べ、実施を前提とした見通しを示さなかった。
理由として挙げたのが、法定協議会の存在である。大阪都構想を実現するには、特別区の区割りや府と特別区の役割分担などを協議会で詰める必要がある。馬場氏は、その議論がいま進んでいる最中であり、来春の住民投票までにはまだいくつものハードルがあると説明した。そう簡単なものではない、という言い方をしている。
同時に、同日実施の可能性そのものを否定したわけでもない。「同日選挙にならないということも断言できない」とも述べており、現時点では確定していないというのが馬場氏の説明である。
大阪都構想の住民投票は過去に2度行われ、いずれも反対多数で否決された。2015年5月17日と2020年11月1日の2回である。実施されれば3度目となる。
吉村洋文代表はなぜ同日実施を目指すのか
馬場氏は、吉村代表が大阪都構想を実現させたいという強い思いを持っているためだと説明した。
吉村代表は大阪・関西万博を主体的に成し遂げた人物であり、将来の大阪のために都構想を成就させたいという意思が、同日実施を目指すという発言につながっているのではないか、というのが馬場氏の見方である。同日実施の利点としては、吉村代表自身が挙げているコスト面が番組でも話題になった。
では、顧問として何か伝えているのか。馬場氏は「いろんな機会に、いろんなアドバイスはさせていただいている」と述べるにとどめた。自身の立場については、出過ぎず引き過ぎず、気づいたことは先回りして進言するようにしている、と語った。
▶ 本編動画(Japan In-depthチャンネル)日本維新の会 顧問 馬場伸幸氏が登壇!「各党に聞く!国会総括」
■番組で語られたそのほかの論点
・[06:29]〜 連立合意の実現度は「60点。赤点ではない」
・[09:39]〜 内閣改造と維新の閣内協力のかたち
・[26:41]〜 議員定数削減法案の「2段構え」
・[29:05]〜 選挙制度の本丸 小選挙区制と「小中選挙区制」
・[53:23]〜 租税特別措置の見直し 120件のうち1件
・[1:02:11]〜 自民党に飲み込まれることへの懸念
【よくある質問(FAQ)】
Q1.特別区設置の「法定協議会」とは何か
A.大都市地域における特別区の設置に関する法律に基づき、特別区を設置しようとする道府県と関係市町村が共同で設置する協議会。特別区の区割りや名称、事務の分担、税源の配分などを定めた協定書を作成する。協定書は関係する議会の承認を経たうえで、住民投票にかけられる。
Q2.大阪都構想の住民投票は過去に何回行われたか
A.2回行われた。2015年5月17日と2020年11月1日に実施され、いずれも反対が賛成を上回り、否決された。
Q3.統一地方選挙とは何か
A.全国の地方公共団体の首長と議会議員の選挙期日を、4年に1度、統一して実施する仕組み。有権者の関心を高め、選挙事務の効率化を図る目的がある。次回は2027年春に行われる。
関連リンク
・Japan In-depthチャンネル(YouTube)
トップ写真:日本維新の会 顧問 馬場伸幸氏 ⒸJapan In-depth編集部
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この記事を書いた人
安倍宏行ジャーナリスト/元・フジテレビ報道局 解説委員
1955年東京生まれ。ジャーナリスト。慶応義塾大学経済学部、国際大学大学院卒。
1979年日産自動車入社。海外輸出・事業計画等。
1992年フジテレビ入社。総理官邸等政治経済キャップ、NY支局長、経済部長、ニュースジャパンキャスター、解説委員、BSフジプライムニュース解説キャスター。
2013年ウェブメディア“Japan in-depth”創刊。危機管理コンサルタント、ブランディングコンサルタント。












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