G7欠席、説明は辻褄が合うのか 辻元清美氏が語る追及の核心
執筆者:安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)
【本稿のポイント】
・辻元清美氏は、高市首相のG7オンライン首脳会議欠席をめぐる政府の説明を「全部辻褄が合わない」と指摘している。
・茂木敏充外相が代理出席の例として挙げた2021年の会議は、外務省の記録と食い違っており、辻元氏によれば外相は答弁を訂正した。
・会食と欠席の関係は確認されておらず、辻元氏自身も推測だと断っている。事実と見立ては分けて読む必要がある。
高市早苗首相が10月2日のG7オンライン首脳会議を欠席した問題で、立憲民主党の辻元清美参議院議員は、政府の説明は「全部辻褄が合わない」と指摘する。辻元氏は10月16日と27日の国会で、首相や茂木敏充外務大臣を追及してきた。11月5日にプレミア公開したJIDチャンネルで、安倍編集長に追及の根拠を語った。(Japan In-depth編集部)
▶本編動画:「総理不在のG7 日本外交は?」 配信日時:2026年11月5日(木)22:00~
◆なぜ「欠席」が問題になっているのか
首相に加えて外務大臣も出席せず、外務審議官が代理を務めたからだ。外務省の発表によると、会議は10月2日午後9時30分から約30分間、議長国フランスの主催で開かれた。遠藤和也外務審議官が代理で出席し、高市首相のステートメントを代読した。
辻元氏は、G7は議題がどこの問題であっても結束して当たる場だと位置づけ、日本がそこにいると示すためにも首相が出るべきだったとみる(6分56秒〜、16分50秒〜)。きっかけは、欠席を聞いて「どうしちゃったのかしら」と思ったことだという(7分42秒〜)。
◆「ディスプレイの手配が間に合わなかった」は成り立つのか
辻元氏は、成り立たないと考えている。10月16日の参議院予算委員会で、首相は開催時間の確定が遅れたことなどを挙げた。辻元氏によれば、オンライン会議に使う大型ディスプレイの手配が整わなかったとも答弁した。辻元氏は「あんな答弁が返ってくるとは思わなかった」と振り返る(9分18秒〜)。
反論は三つある。第一に、官邸や公邸は、機密性の高い会議を含め、世界中とオンラインで結べるはずだという点だ(10分2秒〜)。第二に、他の首脳が出られたのに日本の首相だけ準備が整わなかったのなら、外務省の「大失態」になるという点だ(10分55秒〜)。第三に、政府がのちに「外務省が出なくてよいと言った」と説明したなら、公邸のディスプレイを急いで手配する必要はなかったはずだという点だ(12分31秒〜)。
◆「日本の総理が出る類いの会議ではない」は通用するのか
辻元氏は、通用しないと強く反発する。政府は、議題が欧米間の問題だったことなどを欠席の理由に挙げた。外務省の発表も、会議の主題を「米欧等のディーゼル価格などへの対応」と記している。辻元氏は、日本の首相が出る類いの会議ではないという趣旨の説明を聞いたとき、「切れちゃった」と振り返る(11分24秒〜)。
理由は二つある。一つは、議題が広かったことだ。辻元氏は、出された声明にホルムズ海峡も含まれ、エネルギー全体の問題として国際エネルギー機関(IEA)の事務局長まで参加していたと指摘する(11分45秒〜)。もう一つは、その理屈の行き着く先だ。欧州が主に関わる議題なら日本は出なくてよいというなら、北方領土や拉致問題を日本が訴えたい場面で、欧州の首脳が出なくてもよいことになる(12分19秒〜)。
◆茂木外相はなぜ代理出席しなかったのか
辻元氏は、外相の答弁に事実と異なる点があったと指摘し、外相はその点を訂正したという。10月27日の参議院外交防衛委員会で、辻元氏は、会議の時間帯に宿舎にいた茂木外相がなぜ代理で出なかったのかを質した(17分25秒〜)。外相は、短い会議で、首相も外務大臣も出るような会議ではないという趣旨で答えたという(18分36秒〜)。
辻元氏が比べたのは、2021年8月24日のアフガニスタン情勢に関するG7首脳テレビ会議だ。外務省の記録によれば、東京パラリンピックの開会式に出席していた菅義偉首相(当時)が会議に到着するまで、茂木外相が代理で出席した。外相はこの例について、日本が議長国で進行役を務めたためだと説明したという(19分21秒〜)。ところが記録では、会議は英国の呼びかけで開かれ、議長は英国のボリス・ジョンソン首相(当時)だった。辻元氏によれば、外相はこの答弁を訂正した(20分1秒〜)。
◆会食と欠席に関係はあるのか
確認された事実はなく、辻元氏自身も推測だと断っている。首相は10月2日夕、公邸で会食していた。辻元氏によれば、相手は自民党の麻生副総裁らで(8分48秒〜)、会食は午後6時半ごろから7時45分ごろまでだった(23分21秒〜)。首相は、欠席との関係を否定している。
辻元氏が官房副長官に、会食の後にG7会議があると知っていたかを尋ねると、「知りませんでした」という答えだったという(21分29秒〜)。そのうえで辻元氏は、会食が盛り上がって首相が出られなくなったのか、外務省が出せないと判断したのではないか、との見立てを示した(23分44秒〜)。ただし、本人には直接聞いておらず、本人も言わないだろうと断っている。この見立てを覆す説明はまだ出ていないというのが辻元氏の認識だ(24分40秒〜)。
本稿で扱ったのは配信の一部だ。辻元氏が追及の最中にどこで「切れちゃった」のか。その語り口と間の取り方は、11分24秒前後から動画で確かめてほしい。
▶本編動画:「総理不在のG7 日本外交は?」
◆番組で語られたそのほかの論点
0分36秒〜 巨大与党の衆院で、参院に残された「歯止め」
2分11秒〜 食料品の消費税減税をめぐる立憲民主党の判断
4分46秒〜 同じ奈良出身・同学年、高市首相との関係
25分1秒〜 サイバー攻撃と超AI、G7で議論すべきこと
27分47秒〜 辺野古の埋め立てと、安全保障費の「棚卸し」
30分50秒〜 衆院定数削減をめぐる参院での攻防
34分0秒〜 野党再編、「年内に」と語った構想
【よくある質問(FAQ)】
Q1. G7首脳オンライン会議では、何が合意されたのか。
A1. 外務省が公表したG7首脳声明(仮訳)では、国際エネルギー機関(IEA)を通じて4か月にわたり1億バレルを協調して放出するとした。G7メンバー間のエネルギー輸出制限を控える方針も再確認した。ホルムズ海峡での航行の権利と原則の即時かつ完全な回復も求めている。
Q2. 外務審議官が代読した高市首相のステートメントには、何が書かれていたのか。
A2. 外務省の概要によると、日本が3月に石油備蓄の放出を決め、IEAの協調放出に貢献したことを説明した。4月にアジアを中心とするエネルギー強靱化の協力枠組み「パワー・アジア」を立ち上げたことにも触れた。世界のエネルギー安全保障に向けた3つの柱として、自由で透明なエネルギー貿易の確保、石油備蓄の国際協調、生産国と消費国の連携強化を挙げた。
【関連リンク】
・ 外務省 G7首脳オンライン会議(概要)(令和8年10月3日)
・ 外務省 世界のエネルギー安全保障及び市場の安定に関するG7首脳声明(仮訳)
・ 外務省 アフガニスタン情勢に関するG7首脳テレビ会議(令和3年8月25日)
・ 立憲民主党 【参院予算委】辻元清美議員(2026年10月16日)
・ 立憲民主党 【立憲ライブ】「G7欠席・日本の外交は大丈夫か?」(2026年10月28日)
(本稿のポイント、リード、FAQの文責:Japan In-depth編集部)
トップ写真:立憲民主党辻元清美参議院議員会長代行©Japan In-depthチャンネル
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この記事を書いた人
安倍宏行ジャーナリスト/元・フジテレビ報道局 解説委員
1955年東京生まれ。ジャーナリスト。慶応義塾大学経済学部、国際大学大学院卒。
1979年日産自動車入社。海外輸出・事業計画等。
1992年フジテレビ入社。総理官邸等政治経済キャップ、NY支局長、経済部長、ニュースジャパンキャスター、解説委員、BSフジプライムニュース解説キャスター。
2013年ウェブメディア“Japan in-depth”創刊。危機管理コンサルタント、ブランディングコンサルタント。












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