国民民主党玉木代表「19減は朝日新聞対策」発言撤回問題とメディア対策
執筆者:安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)
【本稿のポイント】
・玉木雄一郎代表は11月6日、YouTube番組で、定数削減の19減案を「朝日新聞対策で出した」と語り、その場で取り消した。
・足立康史参議院議員はXで「その通りだが、それだけではない」と認め、自身は党内会議で19減案に反対したと説明した。
・筆者は、党首が「メディア対策」だったと自ら明かすことも、その後の撤回も、得策ではないと考える。
国民民主党が一時示した定数削減の「19減」案は、玉木雄一郎代表が「朝日新聞対策で出した」と語り、すぐに取り消した数字だった。2026年11月6日のYouTube番組での発言だ。足立康史参議院議員はXで「その通り」と認め、8日には玉木氏が「意図的に切り取られた」と投稿した。足立氏は11月2日のJapan In-depthチャンネルの配信で、党内の経緯をすでに語っていた。それぞれの発言を整理し、政党とメディアの関係を考える。(Japan In-depth編集部)
本編動画URL
番組:【緊急ライブ】やすすに聞いてみよう!国民民主党の猟犬、足立康史参議院議員が臨時国会真っ只中、定数削減と食料品消費減税の行方を占う!
配信日時:2026年11月2日(月)16:15〜
https://youtube.com/live/Xaeophn9xg0
◆玉木雄一郎代表は、何を語り、何を取り消したのか?
玉木氏は、19減案を「朝日新聞対策で出した」と語り、その場で取り消した。11月6日(金)のSIGNALで、反町理キャスターから「19で頑張れと暴れたのは足立氏だと与党から聞いた」と問われ、「逆です」と答えた。足立氏は「31で行ったらいい。変に19とか出すな」と言っていたという。
続けて玉木氏は、19は内々でずっと議論していた数字だが、31が出たので「はっきり言って、朝日新聞対策で出した」と述べた。反町氏が「そんなこと言っちゃいけないと思うよ」と返すと、玉木氏は「朝日新聞対策と申し上げたのは取り消します」と応じた。
◆足立康史氏は、Xで何を認めたのか?
足立氏は11月7日、Xへの投稿で、玉木氏の「19減案は朝日新聞対策で出した」との発言は「その通りだが、それだけではない」と書いた。19減案はもともと現場の交渉担当者の持論で、総務会や政調国対合同役員会などの党内会議で、足立氏が「絶対にダメだ。定数を人口に比例させる議論に乗るな。31減案で妥結すべきだ」と反対し、いったんは消えたという。
ところが週末に朝日新聞が「国民民主党が31減に賛成」と報じたため、「朝日へのジャブとして、一日だけ浮上させた」と説明している。
◆足立康史氏は、11月2日の配信で何を語っていたのか?
11月2日(月)のライブで、筆者が「19は出す必要があったのか」と尋ねると、足立氏は「いらなかったと思います」と答えた。19を出せば人口と定数のリニアな関係を認めたことになり、維新の主張を補強する。党内でそう訴えたが、強行されてしまったという(31分51秒〜33分30秒)。
この配信で、足立氏は「朝日新聞対策」には触れていない。19の根拠をどう見ていたのかなど、足立氏本人の言葉の温度は、動画で確かめてほしい。
◆玉木雄一郎氏は、8日に何と反論したのか?
玉木氏は8日、Xへの投稿で、朝日新聞発言を取り上げている人は「たぶん番組をご覧になっておらず、ネット切り抜きだけで反応されている方だ」と書いた。反町氏の言うとおり、発言直後に自ら撤回しているからだという。
玉木氏によると、19減は与野党の交渉で出ていた話だった。党の方針を正式決定する会議の前に、国民民主党が31減で決めたかのような報道が出たため、党の考えと算定根拠を改めて示す経緯になったという。19減を足立氏が主張したという話は「事実に反する」とし、「意図的に切り取られた一部の情報で判断しないよう」求めた。
◆党首が「メディア対策」と明かすのは、得策なのか?
得策ではない、と筆者は考える。玉木氏と足立氏の説明は、朝日新聞の報道を受けて19減を出した、という点では重なる。問題は、それを党首が口にしたことだ。
第一に、裏の事情を公言したことである。玉木氏の説明では、19減は党として検討してきた案で、朝日新聞の31減報道への対抗として、そのタイミングで表に出した。だとしても、そうした裏の事情は、党首が公の場で明かすべきではない。駆け引きの一環だったなら、狙いを自ら明かせば効果は薄れる。
第二に、撤回の仕方である。玉木氏は「朝日新聞対策と申し上げたのは取り消します」と応じた。だが、言った事実は消えない。取り消しても、「言ってはいけない本音だった」と受け取る人がいることは否めない。番組も、取り消しを受け流さず、その意味を聞くべき場面だった。
第三に、政党とマスコミとの関係だ。マスコミは、政党や政治家の思い通りにはならない。彼らは絶えずスクープを狙っており、時として政党の利益にならないことも記事にする。だからこそ政党はメディア対策を練るわけだが、それには高度なテクニックがいる時代になった。
インターネット時代では、政党だけでなく個々の政治家も発信しやすくなった。YouTuberも一般人も自由に発信する。政党にとっていい情報も悪い情報も、SNSで日々拡散される。玉木氏は即座に取り消したが、氏自身が8日のXで書いたとおり、ネットの切り抜きだけで反応する人がいる。そこにAIも加わり、拡散される情報の質も、拡散のスピードも刻々と変わっていく。そういう時代にどうメディア戦略を取るべきかを考える時代になったといえよう。
本編動画URL
番組:【緊急ライブ】やすすに聞いてみよう!国民民主党の猟犬、足立康史参議院議員が臨時国会真っ只中、定数削減と食料品消費減税の行方を占う!
配信日時:2026年11月2日(月)16:15〜
https://youtube.com/live/Xaeophn9xg0
本稿で扱ったのは、11月2日の配信の一部にすぎない。中盤では、副首都法の予算要求や消費減税とバーターの関係についても、足立氏が語っている。ぜひ動画で。
◆番組で語られたそのほかの論点
・吉村洋文氏の「玉木氏は信用できない」発言への見方(33分35秒〜)
・副首都法の予算要求をめぐる、内閣官房とのやり取り(36分13秒〜)
・消費減税とバーターの関係(43分17秒〜)
・国保逃れ対策への取り組み(50分20秒〜)
【よくある質問(FAQ)】
Q1.定数削減の「45」「31」「19」とは、何の数字ですか?
A1.「45」は連立与党が約束した削減数です。自民党は2015年から2030年までの推計を含む人口動態に基づいて31を、国民民主党は実数を重視して19を示したと、榛葉賀津也幹事長が説明しています(国民民主党公式サイト)。
Q2.衆議院の定数は何人ですか?
A2.465人で、うち289人が小選挙区選出、176人が比例代表選出です(総務省「選挙の種類」)。
関連リンク
・国民民主党・定数削減合意は「満点」足立康史氏が語る3つ目の大金星
(本稿のポイント、リード、FAQの文責:Japan In-depth編集部)
トップ写真:国民民主党足立康史参議院議員 ⓒJapan In-depthチャンネル
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この記事を書いた人
安倍宏行ジャーナリスト/元・フジテレビ報道局 解説委員
1955年東京生まれ。ジャーナリスト。慶応義塾大学経済学部、国際大学大学院卒。
1979年日産自動車入社。海外輸出・事業計画等。
1992年フジテレビ入社。総理官邸等政治経済キャップ、NY支局長、経済部長、ニュースジャパンキャスター、解説委員、BSフジプライムニュース解説キャスター。
2013年ウェブメディア“Japan in-depth”創刊。危機管理コンサルタント、ブランディングコンサルタント。












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