食料品の消費税1% 参院で与党の造反はあるか 堀田氏・宮嶋氏
執筆者:安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)
【本稿のポイント】
・食料品の消費税を令和9年(2027年)4月から2年間1%に下げる法案は10月9日に国会へ提出され、参議院では自由民主党・無所属の会と日本維新の会を合わせても、全員出席の場合の過半数に4議席届かない。
・番組では、参議院の焦点は与党側議員の造反にあるとの見方が示され、参議院で否決されても衆議院の解散はないとの見方を2人のゲストが示した。
・首相は2年後に税率を戻すと説明しているが、ゲストの一人は、戻せずに衆参ダブル選挙になるとの見方を示した。
食料品の消費税を2年間だけ1%に下げる法案は、参議院の過半数をどう確保するかが焦点だ。2026年10月17日配信の「G3(爺3)が高市政権を斬る!」で、フォトジャーナリストの堀田喬氏と月刊FACTA編集長の宮嶋巌氏を迎え、参院の攻防と2年後の見立てを語った。
動画URL:2026年10月17日(土)14:00~「G3 (爺3) が 高市政権を斬る!」ゲスト:堀田喬氏(フォトジャーナリスト)、宮嶋巌氏(月刊FACTA編集長)
食料品の消費税1%は、いつからどの法案で実現するのか?
令和9年(2027年)4月1日から令和11年3月31日までの2年間、飲食料品の消費税率を国と地方を合わせて1%にする法案が、10月9日に閣議決定され、第222回国会に提出された。法案名は「租税及び社会保険料による負担の軽減のための飲食料品に係る消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の支給に関する法律案」で、内閣官房の特設ページと法案概要に載っている。法案は、飲食料品の税率引下げと就業者負担軽減支援金の新設を一つにまとめたもので、政府は9月15日に大綱を閣議決定していた。衆議院の議案情報の経過のページには、17日に確認した時点で、付託先の委員会も採決も記載がない。
参議院の議席は、法案の可決に足りているのか?
会派の人数だけで見れば、足りていない。参議院の公式サイトによると、10月16日現在の議員数は自由民主党・無所属の会が101、日本維新の会が19で、この2会派を合わせても120だ。現員は247で、全員が出席して採決する場合、出席議員の過半数(憲法第56条第2項)は124になり、4議席足りない。残りは公明党の21、国民民主党・新緑風会の25、立憲民主・無所属の39などだ。番組でも数の計算が語られたが、本稿は公式の会派別人数だけを使う。
参議院の攻防では、何が焦点と語られたのか?
宮嶋氏は、焦点は野党ではなく与党側の参議院議員が白票や棄権、造反をするかどうかだとの見方を示した(16分17秒〜)。一方で堀田氏は、宮沢洋一前党税制調査会会長が造反するかといったら、それは難しいのでは、との見方を示した。(17分43秒〜)。
番組では、公明党を巻き込めるかも話題になった(20分12秒〜)。公明党は参議院で21議席を持つ。岡本三成代表は10月13日、「(食料品消費税減税は)物価高対策の手段として確立されていない。このままでは賛成できない」と述べた(15日付の公明党ニュース)。党は15日の政務調査会の全体会議で、政府案の対案として給付を提案する方針を決めた(16日付)。公明党が提唱するジャパン・ファンドについて、10月8日付の公明党ニュースは、構想を国の資産を活用して利益を国民に還元する仕組みと説明し、岡本代表が衆議院の代表質問で、来年の通常国会への議員立法の提出をめざすと述べたと伝えている。
参議院で否決されたら、衆議院は解散されるのか?
視聴者から、参議院で消費税減税法案が否決されたら衆議院を解散する可能性はあるかとの質問が寄せられたが、堀田、宮嶋両氏は、否決そのものが考えにくいとしたうえで、解散はないと明言した。一方で、安倍編集長が「政治に絶対はない」と述べた。堀田氏は、自民党は割れない、と言明するなど、過去の事例をめぐるやりとりが続いた(1時間30分19秒〜)。
2年後に税率を元に戻す仕組みは、どう説明されているのか?
政府は、首相が責任をもって2年後に消費税率を戻すと説明している。高市早苗首相は7月30日の記者会見で、1%への引下げを「令和9年4月より2年間先行させる」と述べ、2年後には自らの責任で税率を元に戻すと説明した。景気に応じて減税を続ける景気条項は、法律に盛り込む必要はないとの考えも示した。法案の要綱は、特例を適用する期間を令和9年4月1日から令和11年3月31日までと区切っている。
安倍編集長は、2年後に税率が戻るときの消費に対する反動は相当大きいとの見方を示した(18分28秒〜)。さらに、すでに食料品の値上げが先行しており、税率が下がっても価格がその分だけ下がるとは限らないとも指摘した。(1時間51分54秒〜)。
2年後は、衆参ダブル選挙になるのか?
堀田氏は、2年後は消費税率を元に戻せず、衆議院と参議院の選挙が同時に行われるダブル選挙になるとの見方を示した(1時間51分17秒〜)。公式の日程を並べると、参議院議員のうち123人の任期は令和10年(2028年)7月25日に満了し、特例の期間は令和11年(2029年)3月31日に終わる。
本稿で扱ったのは配信の一部だ。参院で否決された場合の過去の事例をめぐるやりとり(1時間30分19秒〜)や、2年後を「ダブル選」と見る理由の語り口(1時間51分27秒〜)は、間の取り方まで含めて動画で確かめてほしい。
動画URL:2026年10月17日(土)14:00~「G3 (爺3) が 高市政権を斬る!」ゲスト:堀田喬氏(フォトジャーナリスト)、宮嶋巌氏(月刊FACTA編集長)
◆番組で語られたそのほかの論点
・公明党・岡本三成氏をめぐるやりとり(1分6秒〜)
・高市政権に何点をつけるか、3人の採点とその理由(2分22秒〜)
・野党の協力のかたちをめぐる議論(1時間49分43秒〜)
・日本維新の会と同日選をめぐる見立て(1時間50分36秒〜)
【よくある質問(FAQ)
Q1.参議院で否決された法律案は、そのまま廃案になりますか?
A1.衆議院で可決した法律案を参議院が否決しても、衆議院で出席議員の3分の2以上が再び可決すれば法律になる。参議院が60日以内に議決しない場合は、衆議院は否決したものとみなせる(国会休会中の期間を除く)。いずれも日本国憲法第59条に定めがある。
Q2.就業者負担軽減支援金とは何ですか?
A2.法案が新設するとしている給付で、大綱は、中低所得の現役勤労者の手取りを増やし、「年収の壁」による働き控えを緩和することを目的に挙げている。個人を単位とし、原則として年1回支給する。令和9・10年度は、費用が飲食料品の消費税1%相当分の範囲となるよう定める。
Q3.食料品の消費税1%は、国と地方の合計の税率ですか。対象品目は?
A3.国と地方の合計の税率である。法案概要は、国の消費税の特例税率を0.78%とし、地方消費税と合わせて1%とする。国税庁のリーフレットによると、対象は令和9年3月31日以前に8%が適用されていた飲食料品と同じ範囲で、新聞の定期購読は8%、その他は10%。同リーフレットは法案の段階の内容で、成立後に変わる可能性があるとしている。
関連リンク
・緒方林太郎氏「売る人が泣く」 食料品の消費税1%、仕入税額控除を問う(2026/10/9、安倍宏行)
・「飲食料品に係る消費税率の引下げ」及び「給付付き税額控除」について(内閣官房)
トップ写真:フォトジャーナリスト堀田喬氏(左)、月刊FACTA編集長宮嶋巌氏(右)



























