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.社会  投稿日:2015/4/5

【うつになるまで仕事するな】~新・社会人へのメッセージ~


 

安倍宏行(Japan In-depth編集長/ジャーナリスト)

「編集長の眼」

 

 
今回は人間関係について話そう。これから皆さんは、先輩たちに、時には厳しく、時には優しくOJTを受けるだろう。失敗して怒られたり、あきれられたり。そんな時は落ち込むだろうし、小さな成功でも褒められたら天にも昇る気持ちになるに違いない。サラリーマンの世界、上司と部下は選べない、と言うがまさにその通り。社会にはセクハラ、パワハラ、モラハラ、マタハラ、なんでもありだ。脅すわけではないが、それが事実なのだ。

自分が教えた学生が一流商社に就職し、3年ぶりにあったら「セクハラが、すごいなんてもんじゃないです。もはや慣れました。(笑)」とのたまったのには驚くやらがっかりするやら。外資はともかく、日本の企業はまだまだこんなもんかと残念だ。無論、すべての会社がそうだといってるわけでもないが、多かれ少なかれそういうことはある。

かつてメーカー勤務の時に人事の管理職が私に言っていたことには、「この会社には“自分は副社長だ”と信じている人間が大体100人に1人いる。」と。つまり、それほどメンタルをやられている社員が多い、と言う意味だったのだが、実際うつで会社を休む人は多い。

34年ほどサラリーマンをやっていたが、メンタルをやられている人に何人会ったか数えきれない。そこで、皆さんに言いたいのは、「精神的に追い詰められるまで仕事をすることはない」ということだ。これは無理だ、と思ったら休暇を取るか、仕事の環境が変わらないなら辞めることも選択肢に入れていい。健康を害しては元も子もないのだ。体を壊しても会社は何もしてくれない。

次に、メンタルがやられるのは大体、人間関係だ。これほど厄介なものはない。組織とは何らかの目的に向かって動いている。その限りにおいて他人と付き合っているだけで、それ以上の関係を作る必要はない。べったりになると、ろくなことはない、というのが筆者の経験からの結論だ。「職場の関係はなるべく淡泊に、深入りしないこと」だ。先輩などに可愛がられ、毎日一緒に飲みに行く、などというのは時間の無駄、最低限にしておこう。同期でつるむなどもってのほかだ。同期はライバルにしかすぎないのだ。

会社と言うのはみなが競争している社会である。“嫉妬”が渦巻いていると言っても過言ではない。隙あらば人の足を引っ張ろう、という輩が跋扈している。こんな事を新社会人に言いたくはないが、事実なのだから仕方ない。筆者はそうしたことには疎い方だが、周りは敵ばかり、くらいに思っていてちょうどいい。だからと言って、人のうわさ話に花を咲かせたり、悪口を言い触らしたりすることは絶対やめよう。それではあなたの足を引っ張ろうとしている人間と同じレベルになってしまう。人の悪口はまわりまわって必ずその人の耳に入る、と覚えておこう。

ということで、皆さんはあくまで、仕事の目的に向かってまい進し、結果を出すことだけに集中しよう。そして仕事以外は、体を鍛え(=精神を鍛えることにも通じる)、知識を増やすことだ。知識は仕事に関係するものでも、そうでないものでも、後々必ずあなたを助けてくれる。社会に出て、辛くなった時、思い出してもらいたい。

 


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