【世の中は「嫉妬」で構成されている】〜新・社会人へのメッセージ~
安倍宏行(Japan In-depth編集長/ジャーナリスト)
「編集長の眼」
新・社会人にこんな事を言うのは気がひけるが、ずばり世の中は「嫉妬」で構成されている。「んな馬鹿な、言い過ぎだろ!」と思う人も多いだろう。まだ社会に出てない学生にそんな話をしようものなら、「人を信じればどんな人でもわかってくれるはず!」と反論される。その純粋な気持ちはとても素晴らしいし、眩しいくらいだ。しかし、彼らがいずれ社会に失望し、自信までなくしてしまうのは見たくない。備えあれば憂いなし。社会に出たら次の事に注意してもらいたい。
1 簡単に人を信用するな
世の中には、本当にあなたの味方になってくれる人もいよう。しかしほとんどの場合、あなたに近づいてくる人はあなたを利用しようと思っている。なんの利用価値もない人に寄ってくる人間はいない。あなたから何らかの情報を聞き出したいか、もしくはあなたを利用しようとしているかもしれない。なので、相手をすぐ信用して何でもかんでも言う事を聞いてはならない。後で馬鹿を見るのはあなたなのだ。慎重に相手の意図を見抜こう。その上で信頼できる年上の友人か親兄弟に相談することだ。
2 人の陰口を叩く人には近づかない
世の中には“事情通”と呼ばれる人がいて、やれ誰と誰ができているとか、あの人とあの人は実は犬猿の仲だとか、職場の噂を嬉々として広めることに生きがいを感じているのではと疑いたくなるような輩がいる。喫煙室や酒の席、給湯室などで、「知ってる?実は・・・」とか、「あなたにだけ教えるけど、絶対に人に言わないでね」などともっともらしく話すものだからついふんふん、と聞いてしまう。慎重な人でも「あの人が陰であなたの悪口を言ってたよ」などと言われようものなら信じてしまうかもしれない。
うっかり“事情通”の話す「人の悪口」に同調でもしようものなら、その事情通はその人のところに行き、「◯◯さん(あなたの事)があなたの悪口言ってましたよ」と言いつけに行くかもしれない。人の悪口を言いふらす人は陰であなたの悪口も言っている可能性が高いのだ。「人の口には戸は立てられない」絶対の秘密なんてものはない。一旦言葉にしたものは他人に必ず伝わるという覚悟が必要だ。
なので、人の陰口は言わないことだ。人の悪口を言う人は信用されない。信用を無くすのは簡単だが、築くのは一朝一夕に出来るものではない。陰口や悪口を言いふらす人には手痛いしっぺ返しが待っている。「人を呪わば穴二つ」なのだ。
3 人を妬むな
自分より人気があったり、チャンスに恵まれていたり、出世が早かったりしたら、心穏やかではないだろう。「何であいつが・・・」とか「俺の方が仕事できるはずなのに・・・」とか思い悩み、挙句の果てに嫉妬にかられてその人の足を引っ張ろうとする輩は少なくない。
こちらに非がなくても相手が勝手に妬み嫉み、影で悪口を言うくらいならまだしも、悪意のある噂を広めたり、嵌めようと策を弄したりする人がいる。そんな罠にはまり左遷でもさせられたらたまったものではないが、そうした事が起きないとも言えない。何とも恐ろしい話だが、「天網恢恢疎にして漏らさず」これまた人を貶めるような人間にはちゃんとそれなりの結末が待っている。
4 情けは人の為ならず
そんな社会ならデビューしないほうがまし、と思うような話ばかりしたが、どっこい社会とは捨てたものじゃない。自分の夢をかなえることのできる大きな“舞台”でもあるのだ。あなたの努力次第で道は拓ける。「お天道様は見ていて下さる」のだ。他人が悪口を言おうと、足を引っ張ろうと、自分さえ間違ったことをしなければ、ちゃんと社会は評価をしてくれるものだ。大事なのは、他人の評価に一喜一憂しないこと。自分を信じ、進むべき道を歩んでもらいたい。
最後に、皆さんが人を想い、人の為に仕事をし続ければ、いずれ回り回って自分にその人にしたことが返ってくるということを伝えたい。それが「情けは人の為ならず」の意味である。自分が人を想うことで、その人がまた別の人を想う。「想いのバトン」はあなただけでなく、社会全体に還元される。そう信じて、今は辛くても前に進むことをあきらめないでほしい。