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.政治  投稿日:2015/5/25

[岩田崇] 【これからの政治に必要なのはメディアのイノベーション】~大阪都構想住民投票と国立競技場の失敗から~


 

岩田崇(株式会社ハンマーバード 代表)

執筆記事プロフィール|Web|Twitter|Facebook

大阪都構想の住民投票の結果が出て1週間が経ちました。ひと通り、各界からのオピニオンが出揃ったと思います。すでに周知になっていることは、

・いわゆるシルバーデモクラシーによって結果が出たとはいえない

・いわゆるキタ・ミナミの地域別の賛否も明確に分かれていない

ということです。

都構想について、私は賛成です。選挙結果を受けて、今後は改めて話し合いの機会が持たれなければなりませんが、いままでの負の遺産が、話合いで済むレベルと超えているのが大阪です。二重行政による失政や、大阪における公務員の逮捕者の多さを解消してゆくために都構想や新たな制度は必要であると考えます。

ただ、制度を導入したから、問題が解消することはないのです。制度は運用の仕方次第で、ようやく成果を出すことができます。導入=ゴールというのはさまざまなケースで、勘違いが起こりやすく注意が必要です。

この制度を誰が運用するの?という暗黙の答えは維新の会であったかもしれませんが、もしかすると、自民党が運用することだってあるかもしれません。制度は政党と紐づくものでありませんから。

そのような視点で今回の住民投票を見ると、コミュニケーション面で制度に対して賛否をとるという二項対立に勝負を狭めてしまったことで、未来感が薄れ、勝機をみすみす失ったと見ています。

同時期に、国立競技場の屋根がオリンピックまでに間に合わず、舛添都知事に政府が建設費として500億を要求することがニュースになりました。一見、関係のないニュースですが、誰も責任を負わず国民の富が無駄に使われているという点で、大阪が積み重ねてきた失政が首都東京でも起こっているわけです。それも現在進行形の事象として。

新国立競技場は、仕様変更によって実は旧国立競技場の改修でもよいことが明白になったのですが、このニュースが報じられた時には、歴史ある国立競技場は壊されて更地になっていました。

そして、この責任は誰も取りません。1300億円といういい加減な初期見積もりは3000億円に膨れ上がり、工期が間に合いませんから、規模縮小、その半分は東京都にお願いという、なんというか、どこの発展途上国だという荒れっぷりです。貧乏ゆえ、規範が弱い社会ではなく、豊かゆえ、見ている方向がバラバラな社会である21世紀の日本では、こんなことが日常化しています。

私は、投票日にこんな連続投稿をツイッターに入れていました。《大阪都構想の住民投票の日に考えた》この中で、”都構想成立後は、役所にいままでのおまかせ行政をさせず、政策のおまかせ意識を住民から取っ払うコミュニケーションデザインを打ち出して、いままでの政治とはちがう世界が来たんだよーと言えるようにした方がいい。”と書いていました。

維新の会は、その登場当時の期待感は今よりももっと高かったですし、革命を起こしそうな勢いを醸し出していました。現役世代から支持を集めていた要因はこのなんというか、”もうひとつの未来感”(オルタナティブ感)であったわけです。

今回の都構想の住民投票で、二重行政を解消する/しないという二項対立の見せ方によって、この”もうひとつの未来感”(オルタナティブ感)が希薄になっていました。都構想になったとしても属人的な運用がされないとは言い切れない弱さがありました。

こうした政治家が変わっても世界は変わらないという諦観に対して、たとえば、PCやスマホから主要政策についての意見表明、議員とのマッチングを通じた政策意思形成を行える新しい行政コミュニケーション(あるいはポータブルガバナンス)をベースとした都構想であると打ち出していれば結果が変わったかもしれません。制度が属人的に運用されないということをアピールでき、たとえ、政党が変わっても制度運用の基礎によって、失政の可能性を最小限にできると言えたら、確実に、未来の政治が実現しそうな感じを打ち出せたと思います。

橋下氏は最後の会見で、メディア、民主主義について言及していましたが、これは

とても示唆的です。これからの政治には、イノベーションの競い合いになるような場所(メディア)が必要です。もしかすると、夢の様な話ではなく、マイナスを如何に小さくするかのイノベーションになるのかもしれませんが、それでも、”もうひとつの未来感”(オルタナティブ感)を既存政党という存在に現時点では期待できない以上、私やこのテキストを読んでいらっしゃるあなたが、今までとは違う場所(メディア)をもっと考え、創ること真剣に考えなければならないと思うのです。

 

 


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