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.政治  投稿日:2026/1/27

山本太郎不在でどうれいわ新選組の存在感を示せるか?【「日本病」を治療する政策はこれだ!②】


西村健 (NPO法人日本公共利益研究所代表)

 

【まとめ】

・山本太郎氏不在のれいわ新選組の存在感維持と、リベラル派の旗手としての新たな地平開拓に期待。

・れいわ新選組の公約は国民目線で分かりやすいが、子育て手当や介護・保育の賃上げなど、実現性に課題がある。

・積極財政と所得税累進強化、トンデモ法見直しで「日本病」の低所得・既得権益・説明責任不足の改善を評価。

 

山本太郎さんの辞任。エネルギッシュに頑張っていて、国民目線で街頭で説明し、意見は違っても相手と対話してきました。かってこんな政治家はいたでしょうか?政治家としての「あるべき像」を示してきた、日本の救世主かもしれない、ロスジェネ期待の星でもあります。

本当に闘病頑張って欲しいと願っています。

 

第2回はれいわ新選組の公約を見ていきましょう。れいわは、「生きててよかったと思える国」「あらゆる不条理に立ち向かう」という存在意義と理念があります。誰でも場合によっては弱者になる可能性があるという認識の下、セイフティーネットの大切さ、お互いが支えあう社会を理想として掲げています。

 

◆事実に基づいた人にやさしい政策

【出典】れいわ新選組マニフェスト

 

れいわ新選組のマニフェストですが、とても分かりやすく作られています。数字に基づいた裏付けもあります。

 

【出典】れいわ新選組マニフェスト

 

しかし、それはいくらなんでも・・・という政策も見受けられます。

 

子ども手当一律月3万円、教育を大学院までオール無償化、奨学金チャラ。

介護・保育の月給10万円アップで人手不足解消!


こういった政策は実現性という面が課題でしょう。

 

◆日本病の問題解決度は?

 

さて、「社会の医者」こと筆者西村健は、「日本病」として9つの問題を提示しています。経済の「日本病」と言われる、「低所得」「低成長」「低金利」の問題だけでなく、

 

政治面では、

・機能しない行政経営:(例)政策の見直し・マネジメントも不十分、定着しないEBPM、スリム化しない・DX化が進まない肥大する行政機関など

・既得権益過剰配慮:(例)政治に近い業界団体・利益団体の過剰な政策への影響力、旧態依然な産業構造、進まない規制改革など

・説明責任不足:(例)過去に「失敗した」政策・施策・事業の検証不足、事業の見直しが進まず財政悪化、予算の使い道の詳細が未公開など

 

社会面では、

・権威主義社会:(例)低い幸福度、仕事やりがいの低さ、低いモチベーション・エンゲージメント、高ストレス、組織の病理など

・戦後の社会モデルのまま:(例)少子高齢化に対応できない硬直した制度と拡大志向、新卒採用・長期雇用・年功序列、パートナーシップ型企業経営など

・説明責任不足:(例)不明確な政策の目的達成度、説得不十分の為政者の説明、追及が甘いメディア・ジャーナリズム、緩い公益通報保護など

 

【出典】日本病、9つの特徴、筆者作成

 

これらの問題解決度合いを考えていきます。

れいわ新選組はこの9つの問題の中で、

 

【問題】

・低所得

・既得権益過剰配慮

・説明責任不足

については改善できるだろうと思われます。日本病の問題解決としての評価は〇になります。

 

◆問題解決の政策提案

 

こうした「日本病」とその問題解決としてのれいわの「政策」は以下のようにまとめられます。

 

【出典】れいわ新選組、公約

 

具体的にこの中でも秀逸なのは、

 

☆年間3兆円の財政投資で介護従事者の給与を月10万円引き上げ

☆所得税の累進を強化する

☆金融所得が1億円を超えると負担率が下がっていく現行の優遇税制を見直す

☆いわゆる「トンデモ法」の見直し

 

といった政策です。大企業や裕福な人に負担をしていただくことを明確に語っています。支えあい社会の理念を明らかに説いていますし、その明確な理念と政策が論理的にもつながり一貫性がうかがえます。また、関係者のためにつくられた問題法制を「トンデモ法」として定義し、以下のようにリストアップしています。

 

【トンデモ法リスト】

■安保・防衛関連
・防衛財源確保法(軍事費倍増・増税を可能に、第211回国会 2023年)
・防衛産業基盤強化法(武器輸出促進、第211回国会 2023年)
・特定秘密保護法(全体像が見えない機密指定のしくみ、第185回国会 2013年)
・組織犯罪処罰法改正(「共謀罪」法、第193回国会 2017年)
・重要土地利用規制法(外資規制を口実にした国民監視・私権制限、第204回国会 2021年))
・「安保法制」(平和安全法制整備法と国際平和支援法)(集団的自衛権行使容認、第189回国会 2015年)
などの対米従属の外交政策と戦争経済を推進する法制の見直し


■原発推進関連
・GX電源法(老朽原発運転延長、第211回国会 2023年)
・GX推進法(脱炭素に原発活用、第211回国会 2023年)
などの脱炭素と脱原発を阻害する法制の見直し


■マイナンバー関連
・マイナンバー法改正(保険証廃止、第211回国会 2023年)
・デジタル改革関連法(第204回国会 2021年)
などの財界の要望によるデジタル規制緩和法制の住民視点での見直し


■農業関連
・種子法廃止(種子法を廃止する規制緩和、第193回国会 2017年)
・種苗法改正(登録品種の自家増殖の権利を制限、第203回国会 2020年)
・農業競争力強化支援法(公的機関が有する種苗の知見民間事業者への提供を促進、第193回国会 2017年)
などの新自由主義的農業関連立法の見直し


■規制緩和関連
・PFI法及び水道法改正(水道コンセッション推進、第196回国会、第197回国会 2018年)
・国家戦略特区法及び一連の改正(総理のトップダウンで利益誘導、第185回国会ほか 2013年)
・特定複合観光施設区域推進法及び整備法(IR整備法、カジノ解禁、第189回国会、第196回国会 2015年、2018年)
・TPPなどのISDS条項を持つ自由貿易協定の見直しや再交渉(第192回国会ほか 2016年)
・大深度地下使用特措法(道路陥没による住民生活への影響や環境破壊のリニア新幹線などを促進)


■労働・社会保障関連
・労働者派遣法改正(雇用の不安定化の根源、2004年)
・労働基準法改正(高度プロフェッショナル制度)(定額働かせ放題、第196回国会 2018年)
・医療介護総合確保推進法(病床削減推進、第186回国会 2014年)
・健康保険法改正(後期高齢者自己負担2倍、第211回国会 2023年)
・技能実習法及び入管法(1993年に創設された外国人労働者低賃金労働、廃止を目指す)
・入管法等改正(非人道的な難民の強制送還規制緩和、第211回国会 2023年)
など


■緊縮財政関連
・財務省設置法(設置目的に「健全な財政の確保」として緊縮財政・PB黒字化の根拠に、1999年)
・財政法(4条に赤字国債発行の禁止をうたうことが実情に合わない、1947年)
など国民経済の健全な発展のための積極財政の阻害要因になっている法律


■文教科学関連
・改正国立大学法人法(国立大学運営に財界の意向を反映、第212回国会 2023年)
・科学技術振興機構法改正及び国際卓越研究大学法(大学ファンド法)(一部の先端大学だけに投資収益を配分、第204回国会、第208回国会 2021年、2022年)
などの財界への利益誘導のために公教育の在り方を歪め、競争的な資金配分を強化し、長期的に科学技術力を低下させる法制度

※これらは一部であり、上記の以外にも問題のある法制度は多数存在する

【出典】れいわ新選組、公約

 

トンデモかどうかは検証が必要だが、それなりに問題がある政策であることは確かです。理由が提示されていればよかったのにと思います。

 

◆れいわへの期待

 

立憲民主党が中道改革連合に吸収合併されることで、リベラル派の空白がおきました。資本主義経済について正しく理解しているのか、という課題はありますが、リベラルの理念の旗、弱者保護、連帯といった理念を体現する、ロスジェネや苦しむ国民に寄り添うのは、れいわ新選組だけになってしまいました。山本太郎さんがいない中、迫力のあるカリスマなしで党として頑張れるのでしょうか。カリスマ不在でも存在感を出せる活動が出来たら、リベラルの旗手としての新たな地平線を拓けるようになるはずです。

 

トップ写真)れいわ新選組

出典)れいわ新選組HP




この記事を書いた人
西村健人材育成コンサルタント/未来学者

経営コンサルタント/政策アナリスト/社会起業家


NPO法人日本公共利益研究所(JIPII:ジピー)代表、株式会社ターンアラウンド研究所代表取締役社長。


慶應義塾大学院修了後、アクセンチュア株式会社入社。その後、株式会社日本能率協会コンサルティング(JMAC)にて地方自治体の行財政改革、行政評価や人事評価の導入・運用、業務改善を支援。独立後、企業の組織改革、人的資本、人事評価、SDGs、新規事業企画の支援を進めている。


専門は、公共政策、人事評価やリーダーシップ、SDGs。

西村健

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