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.JID,IT/メディア  投稿日:2015/7/27

[Japan In-depthチャンネルニコ生公式放送リポート]【“安保法案”メディアが報じない憲法学者の言説】~GoHoo楊井人文氏~


2015年7月22日放送

Japan In-depth 編集部(Emi)

誤報検証サイト「GoHoo」とのコラボ企画は、安全保障関連法案をめぐる報道についての第2弾。日本報道検証機構の楊井人文氏が、「違憲」「合憲」についての新聞報道を中心に解説する。

まず今回「GoHoo」が調べたのが、6月の1か月間に新聞紙面に憲法学者が登場した頻度。6紙を対象にした調査で、登場頻度と共に、その学者が「違憲」派か「合憲」派かという点にも注目した。6紙とも違憲派だけの記事が多かったが、特に朝日新聞、毎日新聞、東京新聞の3紙では、違憲派だけを取り上げた記事が圧倒的に多かった。

残りの3紙(読売新聞、産経新聞、日経新聞)に関しては、そもそも憲法学者が登場する記事自体が前出の3紙と比べて少なく、特に読売新聞は、朝日新聞の3分の1以下となっている。

楊井氏が注目するのが、朝日新聞の7月11日付朝刊の一面に掲載された安保法制に関する憲法学者への独自アンケートの結果だ。見出しは、「憲法学者122人回答 『違憲』104人 『合憲』2人」。続く紙面で「憲法判例百選」に執筆した憲法学者209人を対象にアンケートを実施し、122人から回答を得た結果として、安保法案に関して大半が「違憲」か「違憲の可能性がある」と答えたことを報じた。

憲法学者へのアンケートは、テレビも含め他の新聞も実施し、回答した学者の大半が違憲性を指摘する結果となっており、朝日新聞のアンケートも同じ傾向を示すものだった。ここで楊井氏が指摘するのが、朝日新聞のアンケートには、新聞紙面では触れず、デジタル版でのみ短く紹介した別の質問が存在したという点だ。

その質問が、「現在の自衛隊の存在が憲法違反にあたると考えるか」というものだ。この問いに対し、「憲法違反」が50人、「違反の可能性」が27人。その一方で「憲法違反にあたらない」が28人、「違反にあたらない可能性」が13人だった。回答者の6割超が自衛隊の存在自体の違憲性を指摘し、同時に20%超が合憲と回答していることを、質問しておきながら紙面に掲載しなかった理由は何か?という点については、日本報道検証機構から朝日新聞に対し、質問しているという。

楊井氏は、自衛隊の存在と憲法をどう考えるかということについて、政治家も国民もこれまで目を背けてきたのではないかとする。この問題を避け続けている以上、今回の安保法案や更には憲法改正についての十分な議論や正確な判断は難しいのではないか。

今回のJapan In-depthの放送を視聴した人たちにもアンケートを実施。「自衛隊は違憲か?」との問いには、「YES」が68.2%、「NO」が31.8%。また「安保法制は違憲?」という問いには、「YES」が45%、「NO」が55%となった。ちなみに「憲法改正は必要か?」という問いには、「YES」91.4%、「NO」8.6%という結果だった。


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