陸自令和8年度予算:主要装備調達と島嶼防衛強化の全貌
執筆:清谷信一 (防衛 ジャーナリスト)
■本稿のポイント
・陸上自衛隊は令和8年度(2026年度)予算で、10式戦車8両(158億円)、25式偵察警戒車18両(276億円)など主要装甲車両を調達
・ミサイル関連では12式地対艦誘導弾道弾(能力向上型)3式(1,770億円、初度費1,147億円)、島嶼防衛用高速滑空弾2式(387億円)を計上
・24式対空電子戦装置2式(52億円)を導入し、2027年度に那覇駐屯地へ対空電子戦部隊を配備予定
陸上自衛隊は令和8年度(2026年度)予算で、10式戦車や25式偵察警戒車といった装甲車両に加え、島嶼防衛作戦を想定した12式地対艦誘導弾道弾(能力向上型)や多目的誘導弾システム改「11式」など主要装備を調達する。ミサイル防衛能力の強化や対空電子戦部隊の那覇駐屯地への配備など、島嶼防衛・統合防空体制の拡充が予算の柱となっている。防衛ジャーナリストの清谷信一氏が、令和8年度予算における陸自の主要装備調達の内容を詳説する。 (Japan In-depth編集部)
10式戦車・25式偵察警戒車を調達
陸上自衛隊は令和8年度(2026年度)予算で以下の主要装備を調達する。
装甲車両では10式戦車が8両で158億、24式120mm迫撃砲が8両で95億、昨年度から調達が開始された25式偵察警戒車が18両で276億、パトリア社のAMVXPを日本製鋼所がライセンス生産する装輪装甲車(人員輸送型)が23両で171億となっている。

写真)パトリア社のAMVXP
筆者提供
03中SAM(改)に弾道ミサイル対処能力
ミサイル関係では現用の地対空ミサイル、03中SAM(改)が数量は非公開で768億、初度費が246億。03中SAM(改)の改善型である03中SAM(改)能力向上型も数量非公開で51億。03中SAM(改)能力向上型は、弾道ミサイルや極超音速滑空兵器の対処を可能とするための能力向上に係る研究開発を実施中(令和10年度に完了予定)である。本(2026)年度はこの研究開発の途中成果を活用し、既存の03式中距離地対空誘導弾(改善型)に、弾道ミサイル対処能力等を順次付与する。

写真)対空電子戦装置
出典)防衛省
多目的誘導弾システム改「11式」を導入
多目的誘導弾システム改 11式を242億円、初度費 293億円。多目的誘導弾システム改は現有の多目的誘導弾システム等の後継として普通科部隊等に装備される。島嶼防衛作戦の際しては、我が国島嶼部へ侵攻する敵エアークッション艇等の上陸を阻止・撃破するために使用する。ライフ・サイクル・コストは約735億円と見込んでいるが、引き続き精査される予定である。
12式SSM能力向上型と高速滑空弾を増強
12式地対艦誘導弾道弾(能力向上型)は3式で1770億、初度費が1147億円。島嶼防衛用高速滑空弾は2式で387億、初度費が387億となっている。 24式対空電子戦装置は2式で52億。早期警戒管制機等のレーダーに対して妨害電波を発射し、レーダーを無力化することで、陸上戦闘をはじめとした各種戦闘を有利にすることを目的とする。2027年度に本装置を運用する対空電子戦部隊が那覇駐屯地に配備予定である。

写真)島嶼防衛用高速滑空弾の発射機
出典) 陸上自衛隊公式Xアカウント
無人機調達は一般競争入札で実施へ
小火器類では20式小銃が10,000丁で56億円、84mm無反動砲M(C)は167門で29億円での調達となっている。無人機に関しては一般競争入札で実施されることになっており、現時点では入札と契約の時期は確定していない。従って、メーカーや代理店、モデル名などはまだ公表されていない。
【よくある質問(FAQ)】
Q1. 03中SAM(改)とは何か?
A1. 03中SAM(改)とは、陸上自衛隊が現用している地対空ミサイルシステム「03式中距離地対空誘導弾」の改善型のこと。低空から高空まで広い範囲の航空機やミサイルに対処できる地対空ミサイルとして配備されている。
Q2. 「初度費」とは何を指す費用か?
A2. 初度費とは、新規装備の調達を開始する際に必要となる、生産設備の整備や治具・工具の準備などにかかる初期費用のこと。装備本体の調達費とは別に計上される。
Q3. 多目的誘導弾システム改「11式」はどのような場面で使用されるのか?
A3. 本稿によれば、島嶼防衛作戦において、日本の島嶼部へ侵攻を試みる敵のエアクッション艇等の上陸を阻止・撃破するために使用される。
Q4. エアクッション艇とは何か?
A4. エアクッション艇とは、船体下部から空気を噴出して水面やや陸地の上に船体を浮かせて移動する揚陸用の艇のこと。水陸両用の機動力を持つため、上陸作戦などで使用される。
Q5. 24式対空電子戦装置とはどのような装備か?
A5. 本稿によれば、早期警戒管制機等のレーダーに対して妨害電波を発射し、レーダーを無力化する装備。2027年度には、この装置を運用する対空電子戦部隊が那覇駐屯地に配備される予定となっている。
関連リンク
・防衛力抜本的強化の進捗と予算-令和8年度予算の概要-(2026年4月8日)(防衛省)
・令和8年度予算案の概要(2025年12月26日)(防衛省)
・予算の概要|防衛省・自衛隊(防衛省)
・12式地対艦誘導弾能力向上型(地発型)及び島嶼防衛用高速滑空弾の研究開発の完了に伴う名称決定等について(2026年3月31日)(陸上幕僚監部)
トップ写真) 25式偵察警戒車
筆者提供




























