無料会員募集中
スポーツ  投稿日:2014/6/26

[瀬尾温知]<2014FIFAワールドカップ>アメリカ代表監督・ドイツ人クリンスマンが挑むドイツ戦


瀬尾温知(スポーツライター)|執筆記事プロフィール

 

ワールドカップブラジル大会の1次リーグ・グループGは、第2戦を終えた時点でアメリカとドイツが勝ち点4で、勝ち点1のポルトガルとガーナを上回っている。27日の第3戦で対戦するアメリカとドイツは、引き分ければともに決勝トーナメントに進出する状況。

負けた場合は、他会場で同日同時刻に行われるポルトガル対ガーナの試合で勝ったチームと勝ち点4で並ぶことになり、得失点差で1次リーグ敗退となる恐れがある。そのことからアメリカとドイツが敗退を回避するために、暗黙に引き分け狙いの試合をすることも考えられる。

そんな状況の中、奇しくもアメリカ代表の監督はドイツ人のクリンスマン。旧西ドイツ時代の1990年にワールドカップイタリア大会で3得点をあげ、優勝に貢献した名ストライカー。その後、指導者となり、2006年の自国開催のワールドカップでドイツを3位に導いている。アメリカ人女性と結婚してアメリカに住むクリンスマンは、2011年7月にアメリカ代表監督に就任し、今大会に出場してきた。

初戦のガーナ戦、試合開始の笛からわずか29秒にデンプシーが先制ゴールをあげ、後半に追いつかれたものの、途中出場のブルックスの決勝点で2対1と競り勝ち、白星スタートを切った。ガーナとは3大会連続の顔合わせで、過去2回はいずれも敗れていた相手に雪辱を果たした。

第2戦はポルトガルと対戦した。勝てば1次リーグ突破が決まる一戦は、アメリカが優勢に試合を進めた。1点リードしていたが、試合終了間際にポルトガルのエース、クリスチアーノロナウドのクロスからバレラに決められ、2対2の引き分け。手にしかけた決勝トーナメントへの切符をつかみ損ねてしまった。 それでも勝ち点1を加え、決勝トーナメント進出には最後の第3戦に勝つか、引き分けでもよい条件となった。

ただ、第3戦の相手が、優勝3回、準優勝4回、15大会連続で8強入りしている強豪国のドイツ。負けてしまうと、決勝トーナメント進出を逃してしまう可能性もある。同じ勝ち点4のドイツにも負ければ敗退の可能性は残っているが、得失点差が+4と、アメリカの+1を上回っているので、ほぼ安泰の状況となっている。

仮にアメリカがドイツに0対1で敗れたとすると、ガーナがポルトガルに2点差を以上つけて勝ってしまえば、アメリカの敗退となる。 危険を孕んだ第3戦。引き分けで終わらせれば、ともに決勝トーナメントに進出できるアメリカとドイツが、どういった試合をするのか注目だ。

クリンスマン監督は第2戦の試合後に「次に進むためにドイツを倒したい」と意気込んだ。一方ドイツの監督は、クリンスマンがドイツの監督時代にコーチを務めていたレーブ。試合前に“引き分け協定”となる“握手”を交わすのか。その手に込められる力の塩梅が気になる。

 

【あわせて読みたい】

【執筆者紹介】

seo_photo瀬尾温知(せお みつとも)

1972年東京生まれ。スポーツライター。

テレビ局で各種スポーツ原稿を書いている。著書に「ブラジ流」。 日本代表が強化するには、ジェイチーニョ(臨機応変な解決策)を身につけ、国民ひとりひとりがラテン気質になること。情熱的に感情のままに。

タグ瀬尾温知

copyright2014-"ABE,Inc. 2014 All rights reserved.No reproduction or republication without written permission."