[瀬尾温知]【リオ五輪メダル予想、日本は金20個】~特集「2016年を占う!」オリンピック~
瀬尾温知(スポーツライター)
「瀬尾温知のMais um・マイズゥン」(ポルトガル語でOne moreという意味)
正月三が日には、慶賀すべき予測を立てるのが似つかわしい。主要紙が元旦の紙面に揃い踏みで、日本がリオデジャネイロ・オリンピックで金メダルをいくつ獲得するかを占っていた。新年早々だからこその猿真似で、こちらも20個!と負けず劣らずに根拠もなく大胆予測してしまうのも、新年めでたし、めでたしということで許しを乞う。
ロンドン大会で7個だった金メダルが、増えるのか減るのか、果たして何個になるのかといった興味は当然ある。ただ、結果の善し悪しに関係なく生ずるドラマティックな場面や、選手たちから語られる名言にも期待を抱いている。オリンピック4連覇を狙うレスリングの吉田沙保里選手が結果を受けてどういった言葉を残すのか。勝者か敗者になるかで語る言葉はまったく異なるものになるが、“霊長類最強女子”の人間味ある言葉に期待している。
勝者と言えば、去年のスポーツ界はラグビーが勝者になった。日本代表の元ヘッドコーチ、エディー・ジョーンズが三越伊勢丹ホールディングスの新春広告に登場し、広告の中で語る「勇敢にいこう。失敗すらも糧になるから」の言葉には重みがある。さらに「世界に挑もう。チャンスが、人生が、広がるから」と続くが、歴史を変えた指導者だけが持ち得る説得力がある。
脚光を浴びた五郎丸歩選手は、2月に開幕する世界最高峰のリーグ、スーパーラグビーに、オーストラリアのレッズの一員として参戦する。国内のトップリーグとともに、日本のラグビー人気が定着していくのか楽しみな2016年になる。選手たちのコメントは内容があり紳士的で、2019年には自国開催のワールドカップが控えているので、ラグビー人気は当面、続くと考えている。
ラグビー人気の影響もあって、影が薄くなってきている感があるサッカーは、U―23が今月13日からリオ五輪アジア最終予選。また、なでしこは来月に最終予選となっており、世界に挑むために、まずはアジアを勝ち抜く戦いが待っている。A代表にも言えることだが、U―23はフィジカルをもっと強化し、大舞台でも精神面をコントロールできるように鍛えないと、リオで勝つことはおろか、出場すらもかなわないのではと危惧している。
フィジカルと精神面の強化は、Jリーグを戦うだけでは十分に培われないので、おのずと懸念する材料にあがってくる。まずはリオへ行き、そこで戦ってもらわないことには、A代表の選手との競争意識は芽生えず、ひいては世代交代を脅かすことにつながらない。最終予選の結果は、2018年を標的としたとき、サッカー界にもたらす影響力は甚大となる。
号砲とともに大手町の読売新聞社前から1区の走者たちが駆けだした。月明かりが夜明けに混ざり合う早朝に出かけ、スタートの30分前に私が現地に着いたときには、すでに応援団やチアガールらの声援が飛び交っていた。新春の風物詩となっている箱根駅伝の沿道で振られていた旗は、そのあとの皇居一般参賀では日の丸国旗に様変わりしていた。天皇皇后両陛下らが姿を現わすと、一斉に日の丸がはためいた。めでたい感情からか「天皇陛下、万歳」なる野太い声もあがっていた。
その場で感じたことは、昭和39年の東京オリンピックにはあったと言われている、国民が一体となった愛国心を蘇らせることができれば、我々はリオで、そして2020年の東京で「日本 金メダル万歳!」と声を張り上げることができよう。何個分になろうが、金メダルと万歳は多いに越したことはない。リオをステップに、東京へ向けて、日本・ジャパンを愛していこうではないか。
※トップ画像:ⓒ瀬尾温知