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.国際  投稿日:2015/2/10

[山田厚俊]【後藤さんの行動は「蛮勇」か?】~パスポート返納の裏に恐ろしい予兆~


 

山田厚俊(ジャーナリスト)

「山田厚俊の永田町ミザルイワザルキカザル」

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自民党の高村正彦副総裁が2月4日、イスラム過激派組織「イスラム国」(IS)に殺害されたとみられる後藤健二さんについて「どんなに使命感が高かったとしても、真の勇気ではなく“蛮勇”とも言うべきものだったと言わざるをえない」と、語った。

高村氏は後藤さんについて「優しく使命感が高く、勇気のある人だった。」とした前置きし、「後藤さんの遺志を継いで後に続く人たちが、使命を果たすためであっても細心の注意を払って、蛮勇にならないように行動してほしい。」と、語った。ある意味、願いが込められたと見てもいい発言だが、「蛮勇」という言葉の選択に批判が込められていると見えるのは私だけだろうか。

続く2月7日、外務省はシリアへの渡航を計画していたカメラマンの男性に、パスポートを返納させた。外務省はこの男性に「旅券を返納しなければ逮捕する。」と告げたという。旅券法19条には「名義人の生命、身体又は財産の保護のために渡航を中止させる必要があると認められる場合」、パスポートの返納を命じることができる、と定められている。今回の返納はこのケースに当てはまるが、実際の適用は初めてだ。

この流れは、明らかな報道規制に見える。報道の自由を制限しようとする動きだ。もちろん、ジャーナリストと名乗れば、誰もが危険地帯であっても行けるというわけではない。一国民である以上、法を遵守するというのも当たり前の話だが、一国民であるとともに、身の危険に晒されながらも自身に課した職責があるということを忘れてはならない。

というのも、国がやっていることはすべて正しいわけではない。米国をはじめとした西側諸国がやっていることがすべて正義であるわけでもない。現場で起きている真実をありのままに伝えようとするのが、ジャーナリストの仕事だ。

だから、あえて危険な場所であっても行こうとする。自らの責任において行動を決めていくのだ。その行動さえも制限しようとすれば、かつて大本営発表しか報道できなくなった“忌まわしい過去”と同じ道をたどっていくことになるのではないか。「蛮勇発言」と「パスポート返納」は、そんな恐ろしい予兆を感じさせるのだ。

 

 


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