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.国際  投稿日:2015/6/2

[宮家邦彦]【今後長く続く米中対立の始まり】~南シナ海人工島建設を巡り~


宮家邦彦(立命館大学 客員教授/外交政策研究所代表)

「宮家邦彦の外交・安保カレンダー(2015年6月1-7日)」

執筆記事プロフィールblogWeb

先週末のシャングリラ会合で中国が再び孤立した。米国防長官は人工島建設自体を即時中止するよう明確に求めた。だが、出席した中国人民解放軍幹部は「小国は挑発するな、地域の安全保障を自国の利益のため乗っ取るな」などと述べただけ。

同会議に出席した友人は、「中国側は南シナ海での埋め立てを正当化し、米国等の関与を批判する一方、米国との正面対立は慎重に避けている」と見た。今回の事件は今後長く続く新たな米中対立の始まりに過ぎない。中国は決して譲歩しないだろう。

解放軍幹部の鈍感さには敬服するしかない。ある通信社は米第7艦隊司令官が「南シナ海での偵察飛行を続ける」一方、「不測の事態を避けることが重要」と述べ、「緊張緩和に取り組む意思を鮮明にした」と報じていたが、ちょっと違うんだなぁ。

 

〇欧州・ロシア

7-8日にドイツでG7首脳会議が開かれる。昨年の政治宣言はロシアのクリミア併合に対する非難が中心で、中国の南シナ海での活動につき名指しの非難はなかったと記憶するが、今年はどうだろうか。欧州が中国にどの程度配慮するかも要注目だ。

直前の4-5日にタジクのドシャンベで上海協力機構の内相会合が開かれる。中露ともISを含むイスラム過激派の動きが気になるのだろうか。当然だろう。既に数百人のウイグル人がキルギスやパキスタン経由でISに加わりシリアで戦っている。

 

〇東アジア・大洋州

31日から6月2日まで米国防長官がベトナムを訪問する。同国国防相と共同ビジョン声明に署名し、米越両軍の「作戦面での協力」に初めてコミットするそうだ。ベトナム戦争終結時に一体誰がこのような米越協力を予想しただろう。正に隔世の観がある。

G7サミット前の5-7日に安倍首相がウクライナを訪問する。G7直前でもあり、タイミングも良いだろう。6日には日中の財務相会談が行われる。中国側が「段階的に」行うとした対日関係改善は今のところ一定レベルで進んでいるようだ。

 

〇中東・アフリカ

2日にパリでIS、イラク、シリアについての国際会議があるが、肝心の米国務長官は自転車事故のため欠席する。運の悪い人だが、悪いのは運だけではなかろう。7日にはトルコで総選挙がある。現政権政党AKP過半数割れの可能性も囁かれるが・・・。

 

〇インド亜大陸

6月2-3日に米国防長官が訪印する。上記の通り、ベトナムで両軍の作戦協力を議論した後のインド訪問。どう考えても、共通の議題は対中関係だろう。このところ、インドは軍事面で急速に米、イスラエルに接近しつつある点は要注目だ。

 

〇アメリカ両大陸

今週は特記事項なし。

今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。


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