トランプ支持率史上最高：NBC世論調査
古森義久（ジャーナリスト／麗澤大学特別教授）
【まとめ】
・NBC世論調査で、トランプ支持率47%で史上最高、不支持51%。
・「この国は正しい方向へ進んでいると思う」と答えた人が全体の44％、「そう思わない」は54％。
・個別政策で最も多くの支持を得たのは国境警備と不法入国者対策。
アメリカのドナルド・トランプ大統領の支持率がこれまででは最も高いことを示す全米世論調査結果が3月16日、発表された。しかしなお不支持率の方が高く、さらにトランプ大統領が前向きな評価を一貫して受けてきた経済政策面での支持の後退が目立った。
その一方、アメリカがトランプ政権下で国として正しい方向へ進んでいると答えた人が増えたという。またウクライナ戦争など個別の外交案件に対してのトランプ大統領の対外政策には意外なほど支持率が高かった。
アメリカの主要テレビ局のNBCニュースは3月7日から11日までの期間に全米約1000人の登録有権者を対象に実施した世論調査の結果を16日に発表した。
その結果によると、トランプ大統領の支持率は47％、不支持率は51％となった。不支持率の方がやや高いわけだが、支持率の47％という数字はこれまでのNBCのトランプ氏に関する世論調査では最高の水準だった。他の機関による世論調査でもトランプ大統領への支持率は第一期目も含めて45、46％が最高だったから、今回の数字は史上最高と呼べるという。
同調査結果によると、二期目のトランプ大統領の下で「この国は正しい方向へ進んでいると思う」と答えた人が全体の44％となった。この数字はNBCがこれまでトランプ氏に関して実施してきた世論調査のなかでは最高の数字だったという。ただし「正しい方向に進んでいるとは思わない」という回答が54％を記録し、なおアメリカ国民全体のなかでのトランプ氏への支持には断層のような切れ目があることを印象づけた。
一方、このNBCの世論調査ではトランプ大統領の経済政策に対しても支持が44％なのにくらべて、不支持が54％に達した。ただし経済に関してはトランプ氏は2024年の大統領選挙期間から一貫して50％以上の支持率を保ってきた。とくに選挙キャンペーンでは民主党候補のカマラ・ハリス氏を常に引き離してきた。その経済政策への国民多数派の信頼感が減ったわけだ。
ただし「貿易と関税」のトランプ氏の政策に対しては同じ世論調査では「正しい変化を進めている」と答えた人が全体の41％で、「誤った変化を進めている」と答えた人の38％を上回った。「変化があるとは思えない」と回答した人が18％だったという。
トランプ大統領の個別の政策で最も多くの支持を得たとされたのは国境警備と不法入国者への対策だった。同NBCの世論調査によると、同大統領の国境警備と移民・不法入国者対策を支持すると答えた人は全体の55％だった。それに対して支持しないと答えた人が43％だったという。この国境警備と入国者管理に関するトランプ大統領の政策変化に対してはその変化に賛成するという人が全体の56％を記録し、その変化に反対という人の25％を大きく引き離した。
また外交政策ではトランプ大統領のイスラエルとハマスの衝突への対応では支持が42％で、不支持が20％、ウクライナ戦争の調停に対しては支持が41％、不支持が34％、欧州とNATO（北大西洋条約機構）への政策では支持が40％、不支持が37％という世論調査結果がそれぞれ判明した。いま注目されるウクライナ戦争でのロシアへの対応姿勢や中東紛争でのイスラエル支持、さらには欧州諸国との同盟関係の堅持というトランプ対外路線がみなより多くのアメリカ国民の支持を得ていることを示すこれらの数字は注目に値するといえよう。
このNBCの調査はさらに一般アメリカ国民のニュース・メディアに対する態度をも対象としていた。メディアがトランプ大統領に対して批判的すぎると答えた人が46％、寛容すぎると答えた人が25％、適切だと回答した人が24％、という結果だったという。
トランプ大統領に対してはアメリカ国民のなかでもその態度が激しく分かれることで知られているが、今回のNBCの調査でも共和党支持者の間での同大統領支持率は90％と、これまたNBCが同様に世論調査を始めて以来の党派別の支持率では最高の数字を記録したという。
トップ写真：NATO 事務総長マーク・ルッテ氏と会談するトランプ大統領 （2025年3月13日ワシントン DC、ホワイトハウス）出典：Andrew Harnik/Getty Images
