[俵かおり] 【世界を席巻するエチオピア製革製品】~日本の女性起業家も現地生産~

俵かおり(在エチオピアジャーナリスト)
日本ではまだあまり知られていないが、アフリカの中でもエチオピアはバッグや靴など革製品の生産で有名な国だ。まず、データが驚異的。エチオピアには5000万頭の牛、3000万頭を超える羊とヤギがいる。エチオピアの人口は約9400万人なので、人間よりも多い家畜がいるという計算だ。家畜の生産はアフリカ1位で、世界10位を誇る。そして、年間1700万個の革を供給しているという。この豊かな家畜、革の生産を背景に、海外メーカーは次々とエチオピアに進出し、エチオピア産革製品の生産を拡大している。
例えば英国の有名な革製品メーカーPittards は2009年から首都アディス・アババ郊外に3つの工場を持っている。その工場では生の皮を加工する。その革がタイの工場で手袋などの製品になり、FootJoyという世界のゴルフ手袋の70%を占めるメーカーに出される、といった具合だ。このように、エチオピアで作られた製品は日本を含め世界各地に輸出されている。
米国の有名ファションブランド、カルバン・クラインなどのために靴を作っている中国メーカーHuajian Shoesは最近、アディス・アババ郊外に靴を作る工場を作った。この会社が海外に工場を持つのは初めて。今後、この工場を拡大し、”shoe city”を作り、2022年までに3万人の地元雇用の創出を計画している。
エチオピアの革の製品化に熱心なのはもちろん海外勢だけではない。エチオピア人では有名な女性起業家Bethlehem Tilahun Alemuが2004年に始めた “soleRebels”。エチオピアでデザインし、エチオピアの革や原材料を使い、エチオピア人の手により作られるこの靴はエチオピアの大成功例で、今では世界中で売られるほどに成長した。
日本で最近女性起業家として注目されている一人、バッグデザイナー鮫島弘子さんも、エチオピアの最高級の羊の皮を使用したレザーブランド「andu amet」を立ち上げ、エチオピアでバッグを生産している。
エチオピアはこの10年、経済成長率が毎年ほぼ10%という高い伸びを達成している国だ。加えて、アフリカ諸国では比較的安定した政府。それに加えて、エチオピアが持っているとされるのが、安く、若い潤沢な労働力。そして他のアフリカ諸国に比べ、真面目でおとなしい気質が、工場で働く人材としても適切であると言われている。今後の成長が楽しみな分野である。







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