[山田厚俊]【衆参ダブル選挙の有無が焦点】~特集「2016年を占う!」国内政局~
山田厚俊(ジャーナリスト)
「山田厚俊の永田町ミザルイワザルキカザル」
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2016年政局最大の眼目は、衆参ダブル選の有無に尽きる。15年11月28日、自民党の佐藤勉国対委員長が講演で「来年ダブル選挙があるかもしれない」と発言し、谷垣禎一幹事長も「いろいろ考え方がある」と、同日選についての可能性を否定しなかったことから、メディアは一斉にダブル選の可能性を書き始めた格好だ。6年が任期の参院は、計242人。半数の121人が改選期を迎える。非改選議席は与党側が自民65、公明11。さらに改憲勢力として安倍官邸が組むとみられているおおさか維新は5。次世代は3となっている。これだけで計84。無所属で自民会派に所属した議員などもいるため、さらに増える計算だ。改選議席の過半数は61で、与党はラクラク過半数は取れる見込み。しかし、問題は3分の2の162に達するかどうか。
その参院選の情勢を踏まえながら、衆院解散のカードを安倍晋三首相が切るかどうか、さまざまな憶測や見立てが飛び交っているわけだ。17年4月の消費増税施行後には、首相は解散カードを切れなくなる。増税後の選挙で与党は勝てないからだ。つまり、16年の6月から11月までが“切り札”を切る期間と見ていて、場合によっては衆参ダブルがあり得るとの論法にたどり着くわけである。
しかし、解散権は首相の専権事項で、いつにするかは安倍首相の考え方次第。結局のところ、現時点では予測にしか過ぎない。
そこで、ダブル選となるかどうか、重要なキーワードをいくつか挙げてみたい。一つは、北海道補選。町村信孝前衆院議長の死去に伴い、16年4月24日投開票の「衆院北海道5区補選」。まさに参院選を占う前哨戦との位置付けがされており、この結果がカギを握ると指摘する永田町関係者も多い。
続いて、「伊勢・志摩サミット」。安倍首相のホストぶりが連日“宣伝”され、支持率がどう動くのか。急上昇すれば、強気のダブルは可能性が高まるという。
次に「景気・株価」だ。消費増税を決めた一方で、法人税減税は進めた。加えて、軽減税率では酒、外食を除く食料全般としたものの、新聞も対象となったことへの国民の不満は大きい。それで景気が著しく後退でもしようものなら、ダブル選をやっているヒマはないというのが正直な感想だろう。
加えて、安倍首相の「健康問題」。これまでも筆者はあらゆる場面で安倍首相の健康不安について書いてきた。安倍首相は、2020年の東京五輪までの長期政権を狙っているようだが、果たしてーー。
最後に「野党連携」。野党統一候補の調整、民主と分裂した維新の党との合併、もしくは看板の架け換えなど、こちらもさまざまな憶測が絶えない。いずれにしても、野党はダブル選があることを前提に準備すべきだ。野党が与党からの球を待つようでは、万が一にも勝てないからだ。参院選までまだ7カ月あるわけではない。「もう7カ月しかない」のだ。
16年は始まりからヒリヒリした状態が当分続きそうである。