[瀬尾温知]【アギーレ解任、協会幹部も代表選手も刷新せよ】~日本サッカー界に必要なのは新風~
瀬尾温知(スポーツライター)
「瀬尾温知のMais um・マイズゥン」(ポルトガル語でOne moreという意味)
一報は父(80歳)からのメールで入った。
件名:解任
本文:アギーレ監督を解任しました。正式に裁判になるので大仁会長発表。後任未定。
簡潔に記されていた。そのメールを受けたのが成田空港のANAスイートラウンジ。シカゴへのフライト間際だった。後任は誰になるのか。それ以前に協会は誰がどう責任をとるのか。それらのことよりも先に頭によぎったのは、協会が決断を下す理由が訪れてくれたことは、日本サッカー界にとって不幸中の幸いだったなという感慨だった。
スペイン・バレンシアの予審裁判所が、アギーレ監督の八百長疑惑に関する検察側の告発を受理した。日本サッカー協会はその事実を確認。解任する理由が明確になったタイミングで正式発表となった。大仁会長は「受理には根拠がある」と話し、八百長の疑惑が深まったことを認めた。さらに「私を含む役員や関わった責任者に対する処分を検討し、今後理事会に諮りたい」との意向を明らかにした。
一部報道では、違約金は派生せず、1年間の給与・推定2億円の支払いになるとあった。協会はとんだ無駄遣いをしたことになる。アギーレは就任から5か月間だけ働き、アジアカップではろくな仕事もしなかった。そんな監督に大金を支出したのである。アギーレの任命責任がある者たちを辞職させ、協会幹部が一掃するくらいの大鉈を振るってもいいだろう。
日本のサッカーを強くさせたいと願っている拙者は、日本サッカーの現況に失望している。ブラジルワールドカップから途切れることなく失望し続けている。そこにダメ押しの一撃。日本サッカー界に漂う気風を一新させたい。再スタートでは新風が吹くように、協会幹部も代表選手も新たな顔が並ぶべきである。
シカゴに到着した。このあとブラジルへのフライトが残っている。さらにはブラジル国内線も残されている。これ以上ない長旅である。オヘア空港のユナイテッド航空のラウンジで乗り継ぎ便を待つ間、この原稿を書いている。滑走路の辺り一面は真っ白。間断なく舞う粉雪を眺めながら、後任監督を想像する。
協会は、外国人監督を起用する方針に変わりはないようなので、日本人が抜擢されることはないだろう。協会幹部のこれまでの発言等から察するには、好みはヨーロッパサッカーに精通している人物のようである。
新監督が選ばれたら、日本の各メディアは、その監督の国のジャーナリストを連れて来ることを求めたい。日本のメディアは、サッカーを厳しい目で見る人材が不足している。選手・監督・コーチを輸入して強化を図るのと同じように、サッカージャーナリズムを輸入して強化を図ることの方が、日本サッカーが強くなるために必要なことのような気がする。