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.社会  投稿日:2015/2/21

【夕方ニュース戦争、フジが仕掛けた!】~昼・夕キャスター大チェンジ~


安倍宏行(Japan In-depth編集長/ジャーナリスト)

「編集長の眼」

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三冠王を日本テレビに譲って久しいフジテレビが反転攻勢に出た。昼・夕のニュース番組を思いきって一新するのだ。17年間続いた「スーパーニュース」(月~金 午後4時50分~午後7時)から何とあの安藤優子キャスターが消える。後番組はその名も「みんなのニュース」。新キャスターは局アナの伊藤利尋アナウンサーが務める。放送時間も午後3時50分からと1時間前倒しで、午後7時までの約3時間もの超ロング生番組となる。

スーパーニュースのキャスターだった、安藤優子氏は午後1時55分からの新情報番組「直撃LIVE グッディ!」に移る。「情報ライブ ミヤネ屋」に対抗することになる。これはかなり思い切った編成だと思う。

まず、フジテレビの夕方の顔だった安藤優子キャスターを午後の情報番組に移したことに驚いた。これまでフジテレビの局内には安藤キャスターの後継と思われるアナウンサーは育っていなかった。過去にこれは、というアナはいたが、皆フリーになったり、結婚して辞めたりしてなかなか適材がいない状況だった。

そうした中、伊藤利尋アナに白羽の矢が立った。これはある意味当然といえば当然だと筆者は思う。伊藤アナはもともと、FNN系列の“めざましテレビ”などでニュースを読んでいた。アナウンサーは記者が書いた原稿をきちんと読むのが仕事。実際に記事を書くわけではない。記者よりそのニュースに詳しくなることはまずありえない。

しかし、伊藤アナは目覚ましの後情報系の番組、例えば「知りたがり!」(2010年3月29日から2013年3月29日まで)など、長い間、情報番組でメインキャスターとしてキャリアを積んできた。特に、その日のもっともホットなニュースを徹底解説するコーナーの“さばき”は出色だった。めざましテレビでニュースを読み、その後午前の情報番組でそのニュースを徹底解説する、という日々を送っていたことが功を奏したのだろう。ニュースの背景をきちんと理解できる稀有なアナウンサーとして成長した。

ニュースをちゃんと理解していないと、そもそも説明できない。また解説者に的確な質問を振ることもできない。ところが、彼はそれを破綻なく毎日やってのけた。稀有な才能ではある。

気になるのは、夕方の視聴者が、慣れ親しんだ安藤優子という顔がいなくなることに、どう反応するかだ。彼女の凄さは、いつ何時でも視聴者目線を忘れないことに尽きる。それはジャーナリストにとって基本的な資質のように思う。

安藤氏はフジテレビの社員ではなかった。にもかかわらずフジテレビの表看板まで成長し、長いことアンカーの場にいたということは、並々ならぬ努力と、天性の才能によろう。

伊藤アナは、安藤キャスターがいなくなった跡を埋めることが出来るかどうかは未知数だ。いずれにしても、ニュースをきちんと理解しているアナウンサーの登壇にエールを送りたい。ある意味、フジテレビは賭けに出ようとしている。

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