「ネバネバ構文」炸裂 石破首相の反省響かず
安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)
【まとめ】
・自公過半数割れを受け、28日石破首相が記者会見。
・相変わらず「ねばねば構文」を連発、反省の弁もどこか他人事のように聞こえる。
・国民の支持を受けるには、「ねばならぬ」を封印し、自主性を前面にだすべき。
自公過半数割れを受けての石破茂首相の記者会見。10月28日14時から始まったが、安定の「ネバネバ」構文でげんなりした。以前も指摘したが、この「~せねばならない」という石破首相の決まり文句は、聞く人の心を全く打たない。
冒頭、石破首相はこう述べた。
「わが自由民主党は国民の皆様方から極めて厳しいご審判を頂戴をいたしました。我が自由民主党、そしてともに連立政権を構成しております友党公明党、有意な方々を多く失ったことは痛恨の極みであります。これを真摯に厳粛に受け止め、わが自由民主党は心底から反省し、生まれ変わっていかなければなりません」。
そもそも、国民から厳しい審判を受けたのは、自身の発言のブレと、政治とカネの問題に真剣に取り組む姿勢を見せなかったから、につきる。いまさら、「国民のみなさまの厳しいご叱責を受けたものと受け止めております」と言われても、「なに他人事みたいなこと言ってるの?」としか思えない。
この「ネバネバ構文」は、自分が何をするかを明確にしない点で、極めて無責任に聞こえる。「(自民党が)反省して生まれ変わらなくてはならない」と思っているのはわれわれ国民の方だ。だからこそ、この選挙結果になっている。いまさら自民党の総裁に言われることではない。
それに加え、必要以上に慇懃な言い回しは、かえって聞く人の神経を逆なでする。しかも、こんな当たり前のことを言うのに、石破首相は7回も紙に目を落とした。心底反省していると相手にわかってもらいたいなら、紙を読み上げるのはNGだろう。聞いている人は「本気で党を変えようとしているの?」と思うに違いない。その想像力が決定的に欠けている。
上の発言後、公明党と政策合意したと述べ、ようやく、政治とカネの問題への取り組みに言及したが、本来、上の発言のすぐ後に言うべきだった。
石破首相の「ブレる」、「手のひらを返す」という印象はすでに国民の間に定着してしまった。それを払拭するためには、「ねばならない」は封印し、「私は~をします!」と自分の意志を明確に打ち出すスタイルに変えるべきだ。さもなくば、内閣支持率は下がり続け、石破おろしに拍車がかかることになるだろう。
トップ写真)記者会見する石破茂首相 2024年10月28日 東京都千代田区
出典) Kim Kyung-Hoon – Pool/Getty Images