スポーツ  投稿日:2015/4/9

[瀬尾温知]【Jリーグ最年長得点記録の算出法にミス?】~カズのゴールで露わに、48歳38日が正しい~

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瀬尾温知(スポーツライター)

「瀬尾温知のMais um・マイズゥン」(ポルトガル語でOne moreという意味)

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その日も横浜FCのカズ(三浦知良)が先発出場していたので、「自らの最年長出場記録を更新しました」という出場する度に書くことになる定型文をニュース記事の中に付け足す作業を済ませておいた。今シーズンは開幕戦から先発で起用されているカズにとって4試合目の出場だった。

そして前半14分、カズが先制ゴールを決めた。得点を決めたとなると最年長出場記録など、どうでもよくなる。ニュースはJ2リーグ戦最年長得点記録の更新に変わった。カズは1967年2月26日生まれ。この試合が4月5日だったので、48歳と何日になるのかとカレンダーを開き、2月27,28、3月は31日あって、4月の5日目なので48歳38日。「およそ1年5か月ぶりにゴールを決め、自らのJ2リーグ戦最年長得点記録を48歳38日に更新しました」と書き換えた。

ところが、Jリーグの公式記録を提供するJリーグデータセンターから職場にファックスで送られてきた用紙を手にし、疑問が生じた。用紙には48歳1ヶ月10日と印字されていたのである。これは腑に落ちない。なぜなら2月は28日までしかないのに、公式記録を集計する機関が、カズの誕生日の2月26日から3月26日を1ヶ月と算出し、そこからゴールを決めた4月5日までの10日間を足して48歳1ヶ月10日と安易に数字にしたからである。

例えば5月生まれだとすると、公式記録が48歳1ヶ月10日と算定しても、実際には48歳40日になる。2月生まれのカズを抜く最年長得点記録になるのだが、曖昧な表示方だと並んだだけのタイ記録にとどまってしまう。2月は28日しかなく、月によって30日もあれば31日もあるのだから、公式記録の算出法は間違っている。目安としては何カ月と区切るのがわかりやすいのかもしれないが、公式記録は歴然たるべきである。カズの記録は48歳1ヶ月10日ではなく、48歳38日なのである。

このような傍から見ればどうでもいいような些細なことに神経を尖らせているからか、拙者の血圧は上昇するばかりで下がることを知らない。今朝はついに上170・下110と42歳208日にして自己最高血圧を更新。これはまずいと内科へ駆け込んだ。「料理を作ってくれる方に、味噌汁の味を少し薄めにしてもらうよう伝えてください」と言われ、「先生、手料理を作ってくれる人なんていないんです」と、中年おやじ医師の膝に涙をこぼして薬を頂戴してきたのである。

「涙をふいて抱きしめ合えたら あの日のお前に戻れるはずさ」と三好鉄生は歌ったが、中年医師に肩を叩かれ励まされても、正常な血圧だったあの日の俺には戻れない。気をとり直して、最年長記録をあれこれ調べてみると、同年代の野球選手には凄腕がいるんだなあと感心。

メジャーリーグの最年長勝利投手はJ・モイヤーの49歳151日。モイヤーは47歳170日での最年長完封記録も持っている。R・ジョンソンは40歳251日で完全試合達成。最年長本塁打記録はJ・フランコの48歳254日。プロ野球の最年長勝利投手は山本昌の49歳25日。41歳のイチローは今シーズン、メジャー最年長野手になったが、いまだに強肩だし盗塁も決める。体力は第一線で働くための礎だと、近頃の不摂生を反省するのであった。

カズはゴールを決め、恒例の「カズダンス」と呼ばれるパフォーマンスを披露した。これまではサンバのステップを踏んだあと、右手の人差指を空へ向けて突き上げるのが最後のポーズだったが、この日は腕を下げたままで上がらずじまい。「五十肩でしょ」と本人は冗談を飛ばしたが、次の機会ではきっとファンのために人差指を突き上げてくれることだろう。ラストダンスはまだまだ先だと張り切る“48歳と38日”のゴールだった。

※トップ画像/カズに扮してダンスを踊る“寄稿子” (C)カリカチュア・ジャパン

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