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.社会  投稿日:2015/6/3

[俵かおり]【いつ実現するの?日本の室内禁煙】~禁煙、喫煙間のフェアさを望む~


俵かおり(在エチオピアジャーナリスト)

執筆記事プロフィール


2020年の東京オリンピック前に、東京都はレストランなどの飲食店での全面禁煙の実現をねらっていたが、喫煙者を顧客とするレストランに配慮して、これを断念した、とのニュースを読み、愕然とした。

エチオピアに住み、日本に帰るのが楽しみで仕方がない私が帰国のたびに唯一、気が重いのが、飲食店での喫煙だ(実は、気が重いことはもう一つあり、それは歩道を猛スピードで走る凶器の自転車)。あまりにも室内禁煙に慣れてしまっている私は、室内で煙がもくもくしているのを見ると、あまりの非日常光景に、一瞬ぎょっとする。

私はこれまで、オーストラリア、ニューヨーク、ローマ、エチオピアに住んだ経験があるが、タバコを吸う人が非常に多いあのローマでさえ、今ではレストランでもバーでも室内では一切禁煙である。そして最貧国の一つ、ここエチオピアでさえも。

欧州人(特にフランス、スペイン、イタリア人)の喫煙率はとても高い。私の知人も多くがタバコを吸う。けれども、吸う際には屋外で吸う。レストランであれば、ドアの外に出て吸うか、テラスのような場所で吸う。これは世界の常識になっている。アメリカにおいては、喫煙者に対して自分をコントロールできない人、というレッテルを貼る人もおり、これは確かに行き過ぎである。

私は正直、理解ができない。日本でも吸わない人がこれほど増えているのに(分煙のレストランで、禁煙席は満席、喫煙席はガラガラ、という光景を良く目にする)、なぜレストランで吸うことが許可されているのか。そして、受動喫煙は体に害を及ぼすと科学的に実証されているのに、吸いたくない人をどうしてそのリスクにおいておかれるのか。

私はタバコを吸うこと自体に反対しているのではない。(アメリカの一部議論では、喫煙と肺がんは明確に相関関係が実証されており、喫煙を許すとその分医療費が高くなり、国家予算を圧迫するので、タバコそのものを禁止すべきだという主張もある)。私は、タバコを屋外で吸ってもらうことに全く異論はない。 レストラン内が禁煙でも、一歩外に出て吸うことは可能である。

日本を訪れたことのある私の海外の知人、友人も皆、口を揃えて室内喫煙だけは辟易した、という。これから日本を訪れたいと私に言う海外の友人もたくさんいる。しかし、彼らにこのタバコ事情を説明すると、「え?信じられない」とあからさまに嫌そうな顔をする。

屋内喫煙が許されているのは先進国では日本だけで、日本は遅れている、というのは事実である。けれども、禁煙は世界の潮流だから日本もそれに追いつくべきだ、という理由ではなく、そもそも、閉ざされた空間で、自分がタバコを吸いたいからと吸うことができる人たちがいる一方で、その煙で嫌な思いをし、健康を害される人がいるという状況自体がフェアではない、から室内禁煙は実行されるべきなのだ。つまり、これはフェアさの問題であり、健康の問題であると思っている。

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