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.経済  投稿日:2014/2/24

[安倍宏行]クラウドファウンディングによる資金集めから始めたオリジナル日本酒“First Kiss”〜清酒業界に新風を吹かせる2人の社長


Japan In-Depth編集長

安倍宏行(ジャーナリスト)

執筆記事プロフィールWebsiteTwitterFacebook

 

二日酔いになる、オヤジくさい、美味しくない・・・と敬遠されがちな日本酒。

2013年11月25日、日本酒が苦手な人や馴染みのない人に日本酒の魅力を伝えようと、クラウドファンディングサイトCAMP FIREにて、とあるプロジェクトがパトロンの募集を開始した。それが、オリジナル日本酒“First Kiss”プロジェクト。まだこの世に生まれていない日本酒に多くの人が期待を寄せ、目標額200万円は達成、結果、237万円集まった。

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今回、このFirstKissプロジェクトの発起人の株式会社clear. の代表取締役・生駒龍史社長とFirstKissの製造を行う群馬県館林の清水屋酒造・渡辺昌宏社長に話しを聞いた。そもそもFirstKissとはどんなコンセプトの日本酒なのだろうか。

「初心者の方に日本酒といえばまずはこれ!とおすすめできる日本酒です。乾杯酒や一杯目として楽しめるようなフルーティーな味わいにしました。最近流行っている発砲酒についても、FirstKissはあくまでも普通の日本酒の入口として提供したかったので入れませんでした。先日実際完成したばかりのFirstKissの搾りたてを飲みましたが、びっくりするくらい期待通りでした。笑」(株式会社clear. の代表取締役・生駒龍史社長)

gazou527「一度きりのファーストキスのような甘酸っぱい初体験」をしてほしいという思いから名づけられたFirst Kissというロマンチックなネーミング。

ラベルデザインは日本を代表するファッションブランドKEITA MARUYAMAの丸山敬太さんが手がけた。

清水屋酒造で造っている日本酒は全て750mlのワインボトルに入れられる。

 

「私はこの酒造を再開する前はワイン業界で働いていた人間なので、同じ醸造酒である日本酒もワインと同じようなテイストで楽しむことができるのではないのか、ということでアンテナを張っていたんですよ。するとやはり、玄人の方は日本酒を独自に寝かせていたりするんです。そういう方は日本酒の製造年月を見て購入し、すぐには飲まずに1年位寝かせておくそうなんです。もしくはわざと抜栓してまず空気に触れさせてから寝かせていたりしていたんです。ワインボトルで日本酒を提供するというアイデア自体、私自身が初めから清酒業界に身をおいていたら試みていなかったことだと思います。」(清水屋酒造・渡辺昌宏社長)

容器がワインボトルのため、栓はもちろんコルク。コルクはブショネ(コルク臭)がでないよう樹脂のものを使用しており、空気を抜いて栓をしている。

「搾りたてのすくいたての日本酒を召し上がっていただきたいというのが作り手の私の想いです。どうしたら再現できるのかを考えたとき、空気に触れずに真空で栓をすることだと思ったんです。」(同・渡辺昌宏社長)

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 (清水屋酒造の日本酒「栄万寿~SAKAEMASU~」のコルク)

保存温度管理にも徹底的にこだわる。自社センターを埼玉県につくり、ラベル貼や検品などは全て5℃に管理された冷蔵センターにて行われているという。驚くのは事業を進めるスピードだ。生駒社長と渡辺社長がタッグを組むことになったのは2013年の8月とついこの間だという。

「もともと運営していたeコマース SAKELIFEや、昨年出資して経営に参加している日本酒ダイニングsakebaでの取り組みを通して、お店で自分たちの自慢の一本を出せたら良いよねという話が上がってきたんです。お酒の毎日の変化や表情を伝えていきたいので、すでにブランドも酒質も完成されたお酒を売ることが僕らの仕事ではないよね、というのがコンセプトを考える上で存在していました。そこでプレイヤーが若く、その人も成長段階にあってまだこれからのブランドを作っていく野心のある人がパートナーになるためには必要でした。その時に思い浮かんだのが3年前に復興蔵として新たにスタートを切った清水屋酒造の渡辺社長だったんです。」(生駒龍史社長)

「若い方がこういう風に熱意を持っているのは、なんだか心に響くものがあったので率直にすごく嬉しかったです。僕ももともとゼロから蔵を立ち上げるに当たって色々な方に協力していただいたんですね。とくに業界の沢山の大先輩の方々から恩恵をいただきました。その恩恵というのは次の世代を応援し力になることが大先輩の方達への恩返しだとおもったんですよ。その力になりたい次の世代の方がまさに生駒さんでした。伝統産業を守るというのは維持することではなく創造して行くもの、つまりチャレンジし続けていくことなんですよね。」(渡辺昌宏社長)

これからますます多様化する可能性を秘めた日本酒。二人の若き経営者の日本酒への想いは市場にどう評価されるのか。

 gazou529 (左から:渡辺社長、生駒社長、安倍編集長)

 

gazou531【文責】工藤沙織(Japan In-Depth インターン)

法政大学グローバル教養学部4年次休学中。

休学中エシカルジュエリーHASUNAにて6ヵ月広報アシスタントしてフルタイムインターンを経験。2013年12月より、Japan In Depthの学生インターンを開始。いかに対話を通して話を引き出すことが出来るか、日々奮闘中。人生における姿勢は「常に凛とし自然体であること」

 

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