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.経済  投稿日:2013/10/2

消費税率引き上げに思う


Japan In-Depth編集長

安倍宏行(ジャーナリスト)

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 安倍総理が2014年4月からの消費税率8%への引き上げを決定した。思えば長い道のりだった。橋下内閣で3%から5%に引き上げてから16年、それ以降税率引き上げはなかったわけだ。日本経済はデフレの真っ只中であり、当然といえば当然であった。

私が担当していたBSフジプライムニュースでも幾度となく消費税増税は是か非か、与野党の政治家が、学者、エコノミストが、入り乱れて侃々諤々の議論を繰り広げてきた。

数々の情報番組でもコメントを求められた。私が首尾一貫して主張してきたのは、消費税増税は、財政再建の為に避けては通れない道だということだ。

私たちは実感していないが、国と地方の累積債務は1000兆円に上る。本来なら財政破綻状態になるはずだが、個人金融資産が1500兆円あることと、世界的に消費税率が低い為、日本は増税の余地が残されていることから、日本の国債は売られないのだ。これまでのところは・・・。

3%の増税で景気が腰折れする、と主張する人たちは、国際的に増税を表明しておきながら、先送りした時のリスクをどう考えていたのだろうか?

この議論は、増税賛成派反対派に分かれていつまでも結論が出ないのが常だ。経済は生き物であり、世界経済の情勢や、天変地異によっても大きく左右される。政府がやらなければいけないことは、本筋、つまり、財政再建を着実に進めることに尽きる。それを抜きにして、景気刺激策も、社会保障対策もない。

人の身体で例えれば、先ず体幹を整えなければ、いたずらに運動しても、体をシェイプアップするどころか、怪我をして寝込んでしまうのが関の山だろう。

増税は決めた。後は、どう贅肉をそぎ落として行くのか、だ。一朝一夕には取れない脂肪を計画的に燃やす。それが機動的な経済運営というものだ。法人税減税や軽減税率、給付付き税額控除、規制緩和、そして社会保障の抜本改革。それらに目が奪われがちだが、幹は財政再建にあり。そう言った主張が最近あまり見られないのは不思議なことだ。

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