国民民主党代表選 投票用紙2,447件の未着はなぜ起きたのか
執筆者:安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)
【本稿のポイント】
・国民民主党代表選挙2026で、有権者45,155人のうち2,447件の投票用紙が宛先不明で返送された。
・原因は名簿の住所データの欠落で、全国117支部のうち13支部では有権者登録そのものが行われていなかった。
・橋本幹彦候補はこれを組織の課題の「氷山の一角」と述べ、玉木雄一郎候補は執行部の運営を60点と自己採点した。
国民民主党代表選挙2026で、投票用紙が有権者に届かない事態が起きている。同党の代表選挙管理委員会は8月29日、8月28日12時時点で有権者45,155人のうち2,447件が宛先不明で返送されたと発表した。返送率は5.4%で、前回2023年の3.0%を上回る。同じ8月29日に埼玉県で開かれた候補者討論会では、両候補がこの問題に触れていた。
本編はこちらから:【LIVE配信】国民民主党代表選挙2026/候補者討論会(埼玉県)
◆どれだけの投票用紙が届かなかったのか
2,447件である。代表選挙管理委員長の上田清司参議院議員名で出された8月29日の報告によると、8月28日12時時点の有権者数は45,155人、返送数は2,447件、返送率は5.4%(暫定値)だった。前回の2023年代表選挙は有権者36,682人、返送1,084件、返送率3.0%で、原因は「有権者の転居」「支部による登録ミス」が主だったという。委員会は、今回との差は宛名から一部の住所が欠落した影響だと推定している。有権者数はこの3年で約23%増えている。
◆なぜ住所が欠落したのか
名簿の住所データが途中で分かれ、その一方が党に提出された名簿に入っていなかったためである。8月26日の最初の告知によると、同日9時時点で268件が宛先不明で返送された。有権者名簿を再点検したところ一部の住所が欠けており、システム会社に確認すると「長い住所についてはセルが分割され、2つのデータに分かれることがあり、提出された名簿の『住所』欄にこの分かれたデータが入っていなかった」ことが判明した。落ちたのはマンション名や部屋番号にあたる部分である。26日9時時点で268件だった返送は、28日12時時点で2,447件に膨らんだ。委員会は、住所が欠けていても届いた例が多数あったとして、日本郵便への謝意も記している。
◆有権者登録そのものがされていない人はなぜ生じたのか
支部の登録漏れである。8月29日の報告は、全国117の支部(都道府県連合会と総支部)のうち104支部では正確に有権者登録が行われていた一方、13支部では一部または全部で適切な登録がされていなかったと明らかにした。
投票用紙は、支部が登録し名寄せされた名簿に対して委員会が送る仕組みのため、登録がなければ送りようがない。代表選挙の有権者になるのは、7月31日までに各支部から党本部に登録があり、代表選挙規則の要件を満たした人に限られる。7月31日以前に資格の有効期限が切れている人は有権者に含まれない。
なぜ登録がされていなかったかといった個別の事情については、登録先の総支部か県連に問い合わせるよう委員会は求めている。名寄せ(同じ人の重複した登録をひとつにまとめる作業)は氏名と住所の両方で行うので、同じ人でも登録された住所が違えば別人と判定される。党員とサポーターの両方で登録があり、投票用紙が2枚届いた例も報告されている。
◆投票用紙が届いていない人はどうすればよいのか
党の本人確認申請フォームで手続きをすれば、電子投票の案内が届く。8月28日12時時点で申請は852件、名簿で氏名を確認できてメールで投票案内を送ったのは749件(暫定値)だった。
フォームの受け付けは8月30日23時59分まで、本人確認が取れた人への電子投票権の送付は9月1日までに完了する予定とされた。本人確認ができなかった人には、その旨が知らされる。所属する総支部・県連に連絡し、議員経由で申請する場合はフォームによる連絡は要らない。投票の締切は9月3日23時59分である。後日投票用紙が届いてから郵便で投票すると二重投票となり、郵便投票が有効になる。
◆両候補はこの問題をどう受け止めたのか
受け止め方には差があった。8月29日の埼玉県での討論会で、橋本幹彦候補は執行部の組織運営を採点してほしいという党員の質問に「10点満点で行くと私は4点だと思ってます」と答え、「直近のこの投票の件、代表選挙の投票の件も、これは一つの氷山の一角に過ぎない」と述べた。国会での政策実現と国民からの信頼獲得で4点、党職員・党員サポーター・地方議員との関係構築に6点の伸び代がある、という内訳である。
玉木雄一郎候補は同じ質問に「まあ60点かな」と答えた。玉木候補がこの問題に触れたのは、橋本候補から組織の課題を問われた場面で「今回投票用紙の話もありましたけども、様々な課題があることも事実であります」と述べた一度だけだった。
橋本候補は同じ会場で、自ら実施した党員サポーター向けアンケートの分析にも触れ、地域の声が反映されていないという回答が多かったと述べた。玉木候補は、ネット上で寄せられた党員サポーターの声を受け止める部署と担当者を明確にすると答えている。会場には、8月29日の報告に名を連ねた上田清司代表選挙管理委員長が同席し、冒頭と閉会で挨拶した。委員会は、代表選挙の終了後に総括を行い、次回はこうした事態が起きないよう努めるとしている。
本編はこちらから:【LIVE配信】国民民主党代表選挙2026/候補者討論会(埼玉県)
◆討論会で語られたそのほかの論点
・玉木候補の政権構想。次の3年間を政権準備期間とし、内閣総理大臣になった場合は「2期6年」(30分8秒〜)
・残業代の割増率を1.25倍から1.5倍に引き上げる案と、可処分時間確保法をめぐる党内の合意形成(35分13秒〜)
・党勢拡大に伴うガバナンスと、公認プロセスの透明化(48分51秒〜)
・外交・安全保障の方針と、政権交代がもたらすもの(53分56秒〜)
・野党の立場で「手取りを増やす」をどう実現するか(58分47秒〜)
・規約10条と、党の政策決定の手続き(1時間21分3秒〜)
【よくある質問(FAQ)】
- 政党の代表選挙に公職選挙法は適用されるのか
- 適用されない。公職選挙法は第2条で「この法律は、衆議院議員、参議院議員並びに地方公共団体の議会の議員及び長の選挙について、適用する」と適用範囲を定めており、政党内部の選挙は含まれない。投票の方法や有権者の資格は、各党が自ら定める規約や規則によることになる。
- 政党の代表に選ばれると内閣総理大臣になるのか
- ならない。日本国憲法第67条は「内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する」と定めており、指名するのは国会である。
関連リンク
・代表選投票用紙 未着対応に関するご報告(2026年8月29日、国民民主党代表選挙管理委員会)
・【お知らせ】代表選挙の投票用紙が未着の場合のお問い合わせ先について(2026年8月26日、国民民主党)
・代表選挙2026 本人確認申請フォーム(受け付けは8月30日23時59分まで)
・国民民主党代表選 年金の支給開始年齢は引き上げるべきか(Japan In-depth 2026年8月29日)
・国民民主党代表選 外国人政策 玉木・橋本両氏の主張はどう違うのか (Japan In-depth 2026年8月29日)
・代表と総理を分けるべきか 国民民主党代表選「総総分離」論 (Japan In-depth 2026年8月23日)
写真)橋本幹彦候補(左)、玉木雄一郎(右)2026年
出典)国民民主党
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この記事を書いた人
安倍宏行ジャーナリスト/元・フジテレビ報道局 解説委員
1955年東京生まれ。ジャーナリスト。慶応義塾大学経済学部、国際大学大学院卒。
1979年日産自動車入社。海外輸出・事業計画等。
1992年フジテレビ入社。総理官邸等政治経済キャップ、NY支局長、経済部長、ニュースジャパンキャスター、解説委員、BSフジプライムニュース解説キャスター。
2013年ウェブメディア“Japan in-depth”創刊。危機管理コンサルタント、ブランディングコンサルタント。












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