[山田厚俊]【多様な価値観認める社会築け】~渋谷区「同性婚証明書」に見る~

山田厚俊(ジャーナリスト)
「山田厚俊の永田町ミザルイワザルキカザル」
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LGBT--。レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーの頭文字を取った「性的マイノリティ」のことで、同性愛者との括りで長く“奇異な括り”で見られていた人たちだ。
しかし、世界に目を向けると、夫婦に準じるパートナーシップが認められている国は現在、ドイツやイタリアなど25カ国、同性婚自体が認められているのはスペインやカナダなど18カ国(いずれも一部は州や地域に限られている)で、2016年からはエストニアも同性婚を認めるという。
日本ではなかなかそこまで進むには時間がかかることだと思っていたが、渋谷区が3月区議会に同性カップルを「結婚に相当する関係」と認め、証明書を発行する条例案を提出すると発表した。法律上の効力はなく、婚姻とは「全くの別制度と考えている」とはいうが、行政で初の試みで、世田谷区も何らかの形で追随していく方針を示している。
LGBTをはじめ、外国人や障害者などさまざまなマイノリティ問題を扱う「ダイバーシティ研究所」の田村太郎代表(43)はこう語る。「世界ではLGBTの権利を認める流れになっている。違った価値観を認めて、共存できる社会づくりを進めていこうとしているのです。日本でも、一部企業では、LGBTを認める動きがいくつも出てきています。今回の渋谷区の条例化の動きは行政として画期的な試みですが、本来フツーにならないといけません」
しかし、立ち塞がるのは「家族制度を維持せよ」とか「憲法24条の『婚姻は両性の合意のみに基づいて成立する』を堅持しなければいけない」との声も根強い。
渋谷区や世田谷区が同性カップルの存在を認めたとしても、一気に国が制度改正という話にはならない。しかし、そろそろこの国も違った価値観を排除するだけの論理から脱出することを考えるべきではないだろうか。多種多様な価値観や存在を認めることこそ「アベノミクス」の柱に相応しいと思うのだが、いかがだろうか。







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