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.経済  投稿日:2015/2/23

[安倍宏行]【外国人観光客大阪ジャックの実態】~春節「爆買い」の先にあるもの~


安倍宏行(Japan In-depth編集長/ジャーナリスト)

「編集長の眼」

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「ここはアジアか!?」決して大げさではない。ついこの間シンガポールに行ってきたばかりだが、それより観光客が多い。おりしも春節真っ只中の21日(土)と22日(日)の2日間、大阪に取材に行った。が、目にしたのは想像を遥かに超えていた・・・

まず向かったのはなんば。南海通りを歩くと、既にかなりの中国人やアジア系のインバウンド(訪日外国人旅行客)が目につく。西欧人もいることはいるが圧倒的にアジア人が多い。

今回はガイドブックに載ってないディープな大阪を取材するのが目的。吉本グランド花月の先にある、道具屋筋なる小路を入っていくと、厨房機器やユニフォーム類、食品サンプルや招き猫、ビリケンさんなどを売る店舗が所狭しと軒を連ねる。刃物を扱う店も多い。山下刃物のオーナーさんは「中国の人がかなり来ますね。ついこないだも、1本4万円する包丁を4本買っていかれました。」とホクホク顔だ。もちろん定番の電気釜も好調だという。
      
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ただ、刃物を買うのは通の観光客。ツアーで来ている日本初心者は何と言ってもお土産は日用雑貨だ。心斎橋筋は圧巻。次から次と停車する大型観光バスが吐き出すアジアからの観光客が大声で話しながら一気に商店街になだれ込む。お目当てはドラッグストアだ。

噂には聞いていたものの、何故ドラッグストア?答えはシンプルだ。「日本のものは本物だから。」誰もがメイドインジャパンの品質を信奉している。それは私たちが考えている以上だ。

人気商品は、温熱シートや何故か馬油関連商品(クリームなど)、ヒアルロン酸配合の化粧水。そして、目薬や頭痛薬、メンソレータムなどの薬類。それ以外には赤ちゃんのミルクや紙おむつなども大人気だ。はちきれんばかりのプラスチックバックを両手に抱えている人がほとんどだ。
     
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どの店も春節を意識した大きな垂れ幕、そして去年10月から始まった日用品などへの消費税免税の案内サインがどの店にもある。免税の透明プラスチックバッグを持つ人も目立つ。2014年の訪日外国人は過去最高の1,300万人。その消費額は前年比43.3%増の2兆305億円にも達している。2015年は更にその数は増えるだろう。

日本橋のメイド喫茶の経営者によると、「やはりアジアのリピーターの方が増えています。これまでにない、ショーやマジックなどの要素を取り入れて、外国人のお客さんを取り込みたい。」と手ごたえを感じている様子。こうしたサービス関連消費も今後は伸びていくだろう。

今後は、中小企業にとって負担の大きい消費税免税制度の運用の改善や、ムスリムの観光客に対するハラール対応の整備などが急がれる。また、リピーターにとって必要なネット上の情報提供サービスも加速していこう。

国内消費がなかなか伸びない中で、急拡大中のアジアの需要をどう取り込むのかが、景気を上昇気流に乗せることができるかどうかの鍵となっている。中小、大手企業問わず、オール日本の知恵が今、試されている。

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