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.政治  投稿日:2015/4/10

[西村健] 【オリンピック・ボランティア、集めたその先は?】 ~東京都長期ビジョンを読み解く!その18~


 

西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)

「西村健の地方自治ウォッチング」

執筆記事プロフィール

 

先日、親友夫妻が訪日したので、東京観光をガイドした。千鳥ヶ淵、明治神宮、中目黒などを回ったが、とても楽しい時を過ごすことができた。春の息吹や桜を外国人に紹介し、何かを感じた私と同じく、そうした経験をされた観光ボランティアの方もいらっしゃったかもしれない。

都市戦略3 日本人のこころと東京の魅力の発信、政策指針7、「おもてなしの心」で世界中から訪れる人々を歓迎する都市の実現に今回は入っていきたいと思う。

「旅行地としての「東京ブランド」が世界に広く浸透するとともに、魅力的な観光資源が開発・発信され、年間 1,500万人の外国人旅行者が訪れる都市・東京が実現している」ことが指針において目指す姿である。都市ボランティアの育成を2020年までに1万人、外国人おもてなし語学ボランティアの育成2019年度までに3万5千人、観光ボランティアの活用を2020年までに3,000人といった目標が掲げられている。

この数字に疑問を持った。その理由の第一に、本末転倒だからだ。五輪の推進組織がどのような体制で、どれくらいの規模で、業務がどれだけあってその中で、プロフェッショナルがどういった役割を担い、ボランティアに何を担ってもらうのが検討していくべきだと思うからだ。「大会関連ボランティア連絡協議会」を設置し、団体相互の能力や資源配分を確認し、連携体制を構築してから考えることのはず。数字が先にあると体制の運営にも支障が出かねない。

第二に、どのような数値を参考にしたのか、数字を積み上げたのか、その根拠がまったくもって不明であることだ。都市ボランティアの定義は120ページに記載しているように「空港・主要な駅・観光スポット等に設けたブースなどで、観光・交通・会場案内等のサービスを提供」する人々だとしてもあいまいである。

第三に、ボランティアに対する根本的な考え方だ。ボランティア政策の過去の総括、問題点、五輪でのボランティアへの期待やお願い、提供できる価値や経験などが記載されておらず、「活用」という記載など、上から目線的な匂いが端々から感じられる。

確かにブラジルワールドカップではボランティアが活躍していたし、大きなイベントなのでボランティアは見つけられるだろう。しかし、大事なのはその後だ。「あらゆる場面で市民活動の活性化を図り、2020 年大会を契機に一層の醸成が進んだ都民のおもてなし精神をボランティア文化として定着させる」ためには、きっかけとしての念入りな設計が必要である。

数値目標でボランティアを集めて“成果が出た!”で終わらないよう、気軽に参加でき、面白さを感じ、楽しい経験を共有し、地域への貢献活動に目覚めるためには何が必要なのか、「税金を払っているのだから行政がやればいいでしょ」的な思いを強く持っている住民に対してどのようにさりげなく誘い、育ってもらう仕掛けの企画に期待したい。

 

 

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