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スポーツ  投稿日:2015/5/28

[瀬尾温知]【衝撃、FIFA理事7人マネロン容疑で逮捕の背景】~29日、ブラッター現会長は辞任せず再選狙う~


瀬尾温知(スポーツライター)

「瀬尾温知のMais um・マイズゥン」(ポルトガル語でOne moreという意味)

執筆記事プロフィール

スイス司法省は27日、アメリカ司法省の要請によりFIFAの理事7人を贈収賄やマネーロンダリングの罪で逮捕した。同時にスイス司法省は、ワールドカップの2018年大会と2022年大会の開催地選定を巡って不正があったとして捜査していることを発表。FIFAから関係書類を押収し、当時のFIFA幹部10人から事情を聴く方針であることを明らかにした。

逮捕されたFIFAの理事は、
エウジェニオ・フィゲレド(FIFA副会長、南米サッカー連盟元会長)
ジェフリー・ウェブ(FIFA副会長、北中米サッカー連盟会長)
ジョゼ・マリア・マリン(ブラジルサッカー連盟元会長・現副会長)
ラファエウ・エスキヴェウ(ベネズエラサッカー連盟会長)
エドゥアルド・リー(コスタリカサッカー連盟会長)
コスタス・タッカス(北中米サッカー連盟会長代行)
フリオ・ロッチャ(ニカラグアサッカー連盟会長)の7人。
1991年から賄賂などで総額1億5000万ドル以上が利権の見返りに上記の7人を含むFIFA関係者に渡っていた。

アメリカ司法省の警察機関であるFBIが捜査に動いた理由は、賄賂の取引がアメリカの銀行を通じて行われていたことにある。それに2018年ロシア大会と22年カタール大会の開催地決定の調査をするため、2014年にFIFAと契約した元アメリカ司法省職員のマイケル・ガルシア氏の「一連の不正があった」との最終報告を、FIFAが没却したことにも起因している。さらには、アメリカは2022年のワールドカップ開催に立候補していたが、投票でオーストラリア、日本、韓国が順々に落選し、カタールとの決選投票で逃したという背景もある。

逮捕されたFIFAの7人の理事のほか、FIFAの元幹部やスポーツマーケティング会社の幹部らも起訴されている。その中で、放映権を扱うスポーツマーケティング会社「トラフィック・スポーツ」の創業者であるブラジル人のジョゼ・ハウィラやアメリカ人で元FIFA幹部のチャールス・ブレイザーは有罪を認めている。

トラフィック・スポーツ社は、南米の主要なサッカー大会のスポンサー集めを一手に担う会社で、放映権の販売、選手の移籍ビジネスも手掛けている。サンパウロに本社を置き、アメリカやポルトガルにも事務所を持っている。ブラジルサッカー連盟がナイキとスポンサー契約を結ぶ際の仲介役になった会社でもある。この種の会社とFIFAの内部が利権絡みの揉め事を起こし、それに端を発して不正が暴かれることになったとも考えられる。今後の捜査でアメリカ司法省がどこまで踏み込んで事実を明らかにできるのかが注目である。

不正問題の声明が出されたのはFIFA会長選を2日後に控えたタイミングだった。欧州サッカー連盟は会長選を延期すべきだとの見解を示したが、汚職事件の渦中にありながら、FIFAは29日の会長選を予定通りに行うと発表した。1998年から会長を務め、5期目の当選が有力視されるブラッターは「信頼回復に努める」と発言。責任をとって辞任するような考えはまったくないようである。最大権力を持つ機関のトップが交代しなければ、大きくな変化は望めないだろう。

参照:globo.com

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