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.国際  投稿日:2015/8/11

[宮家邦彦]【トランプ旋風で得するのは誰だ?】~米大統領選、ワシントン不信根深く~


 

 宮家邦彦(立命館大学 客員教授/外交政策研究所代表)

「宮家邦彦の外交・安保カレンダー(8月10日-8月16日)」

執筆記事プロフィールblogWeb

今週はいよいよ戦後70年総理談話が発表される。先週も書いたとおり、国内メディアは木を見て森を見ず、例の四つの「キーワード」が入るか入らないか、ばかりに注目している。この体たらくでは日本のマスコミも韓国や中国を笑えない。

興味深いのは辺野古沖埋め立て工事の一カ月中断決定だ。マスコミは安倍政権支持率低下と関連付けたが、この「冷却期間」がどの程度機能するかは未知数だ。ガス抜きにしては不十分だが、さりとて沖縄県にも決定打はない。暫くは様子見だろう。

 

〇アメリカ両大陸

先週から今週にかけてCNNの最大の話題は共和党のトランプ旋風だった。米国共和党の友人は「米国を信じてほしい、トランプは大統領にならない」とメールを送って来た。そんなことは判っている、問題はトランプ出馬で真に得するのが誰かだろう。

それにしても、このトランプ氏、メキシコ人差別、女性蔑視などなどトンデモ候補であることだけは間違いない。彼が大統領選から消えるのは時間の問題だが、トランプ人気の真の原因は国民の根強いワシントン不信である。

これが続けば続くほど、ジェブ・ブッシュ以外の共和党候補には不利となる。一方、それでは共和党が割れる可能性すらあるので、ブッシュは本選で勝てないかもしれない。最後に笑うのはヒラリーか、ジェブか、それとも無名の新人か。1991年秋のビル・クリントンの台頭を思い出す。どうやら米国内政の受難も続きそうだ。

〇欧州・ロシア

ヨーロッパは完全にヴァカンス・モード、動いているのはギリシャの借金だけだ。14日に同国国債14億ユーロ分のリファイナンスが必要だが、あれほど大騒ぎした欧州が今週は静かそのもの。休みは休みということか、日本では考えられないが。

〇東アジア・大洋州

10日に九州電力が川内原発を再稼働させる。中東・エネルギー屋にとっては当然の措置だが、国民の反応が気になるところだ。安倍総理談話は14日の予定だが、韓国では14-15日が連休になる。15日に韓国大統領が行う演説は要注意だ。

〇中東・アフリカ

欧州は開店休業だが、中東は仕事をしている。トルコでは10日以降も連立政権議論が続いている。レバノン議会では大統領選びが再延期された。もう26回目というから、半年間何も決まらないということだ。そのレバノンを12日イラン外相が訪問する。

14日から十日間、上海でエジプト観光展が開かれる。今頃、カイロ、ルクソールに行く中国人がいるとすれば、余程の物好きか、冒険家だろう。先週、カイロで拉致されたクロアチア人がISISの宣伝ビデオで殺害予告されていた。エジプトの受難は続く。

〇インド亜大陸

10日にパキスタン首相がベラルーシを訪問する。15日はインドの独立記念日でもある。今週はこのくらいにしておこう。

いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。

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