.政治  投稿日:2016/1/14

[西村健]【東京一極集中は加速化する】〜特集「2016年を占う!」東京都政~

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西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)

「西村健の地方自治ウォッチング」

執筆記事プロフィール

東京がドローン特区。

有害鳥獣対策や山間部・島嶼部対策での特区を検討していることがニュースになった。東京都はドローンの活用可能性を実証実験などで確認する模様だ。ドローン、人工知能、テレワーク。これら科学技術が進化し、東京以外でも仕事や生活ができる基盤ができつつある一方で、毎年差し引き7万人以上の人々が東京に流入してくる(RESASデータ、2013年)。2014年においては東京都の転入超過数は3年連続の増加というデータを見ると、東京への集中はまた加速しはじめているかのようだ。

青山学院大学の箱根駅伝制覇、国学院久我山高校の高校サッカー選手権での躍進、八王子実践・下北沢成徳の東京同士の高校女子バレー決勝など東京五輪に向けた東京の勢いも加速化している感じの年頭。

こんな東京を西洋占星術でもない、2015年の流行語を使って、自称「東京の兄」は占います!

一千総活躍社会? 騒動リターンズで騒動完成トリプルスリー? エンブレムの爆買い? まいにち!迷走?・・・・いやいや「安心してください、都政の動きは入っています」。

前置きが長くなったが、「五輪と観光のために加速する開発」が占いの結果だ。昨年、国立競技場建設やマンション杭打ち問題で騒動の渦中にあった建設業界が「大吉」といったところか。

東京都の平成28年度の予算要求では、一般財源で6兆9785億円(前年の予算額からの増減率は0.4%)となっている。新規・レベルアップを行うもの、見直した施策以外は「シーリング」(つまり制限を加える)していることを見ると、財政当局が厳しい姿勢でコントロールしている。ちなみにオリンピック・パラリンピック準備局は643億円の予算要求額であった。やはりそれなりの大きな開発が行われる。観光とビジネスの動きから3つほど紹介しよう。

1. 築地市場の豊洲移転と豊洲「千客万来」

卸売市場としては世界的な規模の築地市場が豊洲に移転する(跡地利用はまだ未定)。豊洲市場に隣接する商業施設「千客万来」についても11月にオープンする予定だったが、間に合わない模様だ。この移転、大和ハウス工業、運営会社喜代村(すしざんまい)の辞退、業者再公募など色々とすったもんだが続いていた。事業者は3月に決定し態勢を立て直するようだが、食に関する魅力の発信で420万人の来場を見込んでいる。どうなるか。

2. 観光・インバウンド

知事は年頭の会見で「海外の個人旅行者が東京を起点に気軽に日本各地を訪ねることのできる観光ルートの開発をやりたい」と話し、東北・中国・四国地方との連携を進める方針を明らかにした。イベントも進めるようだ。この動きは素晴らしいが、一方、大田区は年度中に民泊条例を制定する動きを目指している。これが都内に広がる動きが加速化する可能性もある。

3. 都市開発

開発は進む。2020年の東京五輪に向けて、大規模なものが目白押しだ。主なものは:

六本木三丁目東地区再開発事業
東京ガーデンテラス紀尾井町:ホテルニューオータニの西、プリンスホテル赤坂跡地

の完成を我々は目の当たりにする。

最後に。東京都の財政当局は「大判振る舞い」を抑制しているが、世界経済に相当なことがあっても(原油安、株価下落、北朝鮮の核実験などの不安定要素はあるが)、東京五輪という世界的イベントに向けた東京の加速は止まらない、そして揺るがない。昨年末、国は地方創生加速のための交付金を補正予算案に計上することを明らかにしたが、東京への集中が加速というのはまさに皮肉である。

東京への集中は本当に東京都民を、そして東京を幸せにするのかについて私はかなりの疑問を持っている。外国人観光客が増えますます混雑するターミナル駅、盛り場。キャパシティは限界に達している。他方、富と仕事が東京に集中するため地方に帰りたくても帰れない若者。ますます広がる駅前のシャッター通り化。日本全国に増える空き家の数々。そして限界集落。余りにも偏った状況は是正されないままだ。東京の開発を減速する動きは果たしてでてくるのか、今後も検証していきたい。

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